バスケ男子日本代表、対イラン強化試合で見えてきた世界レベルの自分たち

Bリーグ屈指のショットメイカー金丸の活躍


国内組の成長という意味では、金丸がこの日の試合後に語った、自身の3Pシューティングについての考察も興味深かった。3試合戦ったフィリピンでのアジアカップ2021予選では、15本のアテンプトで10本を成功させ66.7%の驚くべき高確率。続く今回のイラン代表とのシリーズでは2試合に出場し、12本のアテンプトで6本成功の50.0%と、これも好成績だ。

 両大会での成功率は、Bリーグ2020-21シーズンにおける46.6%を上回っている。仮にAからEまでの5段階評価をするなら、A+をつけられる数字ではないかと思う。
金丸は「代表ではキックアウトからのノーマークで打っているのが大体なのに対し、Bリーグはマークがいても打っていました」と話し、プレーの質の違いを要因に挙げた。これは、目的意識を持った日本代表のハーフコート・オフェンスが、多くの場合で機能している証しだろう。しかし、かと言って上記のような個人成績が簡単に達成できるものでもない。
アジアカップ2021予選最終戦後、中国代表のドゥー・フェンHCは金丸を要注意プレーヤーとして挙げていた。相手には金丸を抑えたい意思があったのだ。ところが金丸の方は、対イラン最終戦後の会見で「あまり代表に参加できていなかったので、(国外チームに)知られていないという思いがありました。だからノーマークで打てたのかなと」という感触を明かしていた。相手が意識してプレッシャーをかけようとしていたにもかかわらず、それをさほど感じることなく3Pショットを打てていたのだ。
金丸のケースは、Bリーグで実績を残そうとした努力の成果が代表活動でのレベルアップにつながった好例のように思う。また、これは金丸だけではないだろう。この日9アシストを挙げた富樫も、要所でペイントに切れ込み自らの高いフィニッシュ力を印象づけた安藤誓哉(アルバルク東京)も、その好例に違いない。
Bリーグが成熟してくるとともに、それに伴って個々のレベルアップが進んでいる。その結果いつの間にか、日本代表が世界レベルにかなり近づいてきた。こう書いたら買いかぶりすぎか?

 そうかもしれないが、マラソンに例えれば、トップグループの背中くらいは見える位置まで追い上げてきたと思う。そんな感触を得られたイランとの3連戦だった。

 


ペイントで脅威となれる安藤(誓)のようなガードの存在も重要だ(写真/©JBA)

 

【関連記事】 5人制バスケ男女日本代表、7月に海外強豪国と腕試し


取材・文/柴田 健(月バス.com)



PICK UP