バスケ男子日本代表、対イラン第2戦黒星に見る光

豪快なダンクを決めるエドワーズ ギャビンは、ゲームハイの18得点を記録した(写真/©JBA)

 

後半に波に乗った3Pシューティング

 

 もったいないターンオーバーをはじめとしたミスからの失点もあり、終盤追いつききれなかったのは残念だった。しかし多くの収穫があり、また課題も感じられた。国内組で戦う男子日本代表が、Bリーグでの切磋琢磨の結果として間違いなく前進していることが伝わってくる内容だった。
課題と感じられた点の一つは、プレッシャーが高まったときの3Pショットの精度だ。これはFIBAワールドカップ2019で十分すぎるほど痛感した課題であり、チームオフェンスとしても、個々のシューターとしても、さらに磨きをかける必要を感じたに違いない。田中大貴は試合後のズーム会見で、「アグレッシブに来た相手に対し、こちらが受けてしまって試合の入り方がよくなかった」と話していたが、内面の受け身となった状況がプレーメイクとシューティングに出てしまったか…。

 ただ、後半は前述のとおりベンドラメの一撃にはじまり安藤(周)も3本を沈めるなど、チームとして10本中5本を成功させた(試合全体では20本中5本成功)。勝負強さを持つ辻がこの面で本領を発揮しきれていないのは気になるが、逆にイランとの最終戦には辻のビッグゲームが飛び出すのかもしれないという期待感もある(執筆時点で辻がこの試合に登録されるかは未確定だが…)。
いずれにしても、アジアカップでメドをつけられた3Pシューティングは、守りに入らず積極的に自信を持ち続けていきたいところだ。

 

自らのスティールからダンク! 後半の安藤周人には迫力と自信が感じられた(写真/©JBA)

 

 ディフェンスでは、ローテーションでミスがあったと思われるシーンが何度かあった点も、今後改善が望まれる。この試合では、ボールハンドラーの受け渡しがうまくいかずにイージーレイアップやオープンルックでのミドルショットを許したり、バックドアカットやベースラインカットからペイントに侵入してくるプレーで得点機を作られた。
10-11の1点劣勢で迎えた第1Q終盤の2分間、相手の185bmのポイントガード、#5プジャン・ジャラルプールに8点連取を許した流れがあった。マッチアップしていた富樫(167cm)はこの間、失点の場面以外では激しくプレッシャーをかけターンオーバーを誘う好ディフェンスを見せており、ミスマッチを突かれた2本の3Pショットはある程度折り込み済みかもしれない。ただ、クォーター終了間際、ロシターのフリースローが落ちた後のディフェンスでジャラルプールに決められた右エルボー付近からのプルアップ・ジャンパーは、相手の“スクリーン・ザ・スクリーナー”からのピックに続くドライブに対し、完全に振られてオープンにしてしまった。イランのみごとなオフェンスを褒めるべきところなのはもちろんなのだが、時間帯を考えると、またスペインやアルゼンチンなどとの対戦を思えば、この状況でのオープンルックからの失点は是が非でも食い止めたい。
試合後エドワーズは、「それぞれ異なるチームで異なる型のディフェンスに慣れていて、特定の状況で掛け合う言葉も違います。今は同じ目的意識で動こうと頑張っているところで、間違いなく良くなってきています」とディフェンス面の連係の現状を説明してくれた。確かにこうしたコミュニケーションが簡単なわけはないだろう。

 しかし、そのような状況でイランを2試合平均で64.5得点に封じている点は、高く評価できる。ハッスルと運動量というディフェンスの土台について、最大限取り組めているのは非常に明るい材料であり、今後連係を研ぎ澄ましていくことを期待したい。

 6月27日(日)の第3戦は、15人の登録プレーヤーたちにとっては選考の観点から、チームとしては仕上がりを確認する試運転として非常に重要な機会になる。ケガなく結果を残してほしいという思いは、多くのファンの心の中で強くなっているに違いない。7月に向け飛躍のステップにできるか、またしても見どころ満載の一戦になりそうだ。

 

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