月刊バスケットボール5月号
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三好 南穂
SG/167 cm
トヨタ自動車 アンテロープス[/caption]

 

[東京2020 女子日本代表の横顔]

酸いも甘いも味わって成長を遂げた3Pシューター

 

 今年3月、今季のWリーグはトヨタ自動車アンテロープスの初優勝で幕を閉じた。そのチームをけん引したキャプテンこそ、高いシュート力を誇るガードの三好だ。

「皇后杯のときは、流れが悪くなるとお互い顔を見ずに個人プレーをしていました。それ以降、流れが悪くても必ず目を合わせる、目を合わせない選手は多少怒ってでも強制的に目を合わせることをやってきました」と、どんなときでも常に周りを鼓舞し続けた三好は「プレーオフでは苦しい時間帯が続くことがありましたが、逃げないでみんなで前を向いて攻め続けたことが初優勝につながったと思います」と振り返る。桜花学園高時代から日本一まであと一歩届かなかった彼女自身にとっても初めての優勝で、喜びはひとしおだった。

 こうして最高の形で今シーズンを締めくくると、その後の代表強化活動の中でも高パフォーマンスを発揮した。「私の仕事は3Pシュートのチャンスがあったら打ち続けること」と自ら語るように、代表チームの中ではシューターの役目を担うが、6月に行われた国際強化試合では3試合で計9本の3Pシュートを決めて大会MVPに。トム・ホーバスヘッドコーチも「期待以上。合宿中の練習ではあまり調子が良くなかったのですが、良い仕事をしてくれました」と高く評価し、それが今回の代表選出につながった。

 さかのぼれば、5年前のリオデジャネイロ五輪に当時22歳で出場した三好は、フランス戦で価値ある3Pシュートを決めるなど手応えを得たものの、それ以降はなかなか代表に定着しなかった。特に2018年のワールドカップでは、開催地のスペインまで帯同しながら開幕直前に最終ロスターから落選。ただ「自分のやるべきことをやったので、後悔はありませんでした。そのときの経験が今につながっています」と言うように、苦い経験を着実に自らの糧としてきたからこそ現在の三好があるようだ。

 また、今年は強化合宿前に手のケガでシューティングができない時期があったが、「マークされたときにバックカットやシュートフェイクからドライブを仕掛けるなど、違う突破の仕方を考えるいい機会になりました」。転んでもただでは起きない姿勢で、結果的には3Pシュート以外のプレーを磨くことにつながった。

 2大会連続のオリンピックに向け、「選手にとって最高の舞台であるオリンピックのコートに立てることに感謝しながら、自分の強みである3Pシュートを積極的に狙い、チームの勝利に貢献したいです」と三好。

 前回のオリンピックからこの5年間、苦い思いから最高の喜びまで、ありとあらゆる経験を自らの糧としてきた彼女は、自信を持って決戦の舞台に臨もうとしている。

(中村麻衣子/月刊バスケットボール)

 



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