月刊バスケットボール5月号
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オコエ桃仁花
PF/182cm
富士通 レッドウェーブ[/caption]

 

[東京2020 女子日本代表の横顔]

「心から楽しむこと」を忘れず代表の座をつかんだ成長株

 

 2016年、女子日本代表の先輩たちがリオオリンピックで死闘を繰り広げたのと同じ夏、当時高校生だったオコエはU17日本代表としてU17世界選手権に出場していた。ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、体の強さや身体能力は抜群。ただその頃はまだ粗削りなプレーが目立ったが、そこから経験と地道な努力を重ね、現在に至るまでの成長は目覚ましい。2018年には最年少の19歳でA代表に初選出され、ワールドカップを経験。その翌年のアジアカップではメンバーから外れたものの、今年は強化合宿や6月の国際強化試合で存在をアピールし、見事にオリンピック代表の座をつかんだ。

 国際強化試合では特に、体を張ったディフェンスや迷いのない3Pシュートなど、指揮官から求められる仕事をしっかりと遂行した。その理由について「セレクションということで最初はプレッシャーがありましたが、『楽しめばいい』と思えるようになってそれがいい形になりました。自分が楽しんでそれを見てもらうのが一番。プレッシャーに負けて良くないプレーをしてしまうより、自分が心から楽しむことが一番だなと切り替えられました」と、吹っ切れた様子で語るオコエ。また、ディフェンス面は「Wリーグで5番ポジションをやる中で、髙田真希選手(デンソー アイリス)や渡嘉敷来夢選手(ENEOSサンフラワーズ)といった自分より大きい選手を守ってきました。その経験値を作れたことが試合でも生かせていると思います」と自身で分析。リーグ戦で揉まれた経験を、確かな自信に変えているようだ。

 そんなオコエについて、トム・ホーバスHCは「若くてまだ波がある。天井はもっと高い」とポテンシャルのさらなる開花を期待している。オリンピックに向けて「支えてくれた家族や友人、チームメイト、監督、ファンの方々、そしてこれまでの長く厳しい合宿を共に乗り越えてきた仲間。たくさんの方々への感謝の気持ちをプレーで表現できるよう、精いっぱい頑張ります」と意気込むオコエ。初の大舞台でどんなプレーを見せるか、無限の可能性を秘めた注目の逸材だ。

(中村麻衣子/月刊バスケットボール)



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