月刊バスケットボール5月号

Bユース期待の星! レバンガ北海道U18・内藤耀悠が描く未来「まずは今年、特別指定選手を狙っていきたい」

©︎B.LEAGUE

 

 7月27日から8月1日にかけて香川県で開催された高校バスケのインターハイは、男子・福岡第一、女子・京都精華学園の優勝で幕を閉じた。今大会でも光る活躍を見せたU18世代のトップ選手たち。この中からも将来、日本を背負って立つ選手が現れるかもしれない。しかし、才能豊かな選手は何も高校界のみにいるわけではない。内藤耀悠。レバンガ北海道U18に所属する彼は、6月、7月に開催された『U16アジア選手権』と『U17ワールドカップ』の日本代表として活躍した逸材だ。この2大会には高校界の名だたる選手が出場する中、内藤はBユースのチームから選出された唯一の選手となった。そんな内藤に話を聞いた。

<取材協力>レバンガ北海道マクダビッド

 

※取材は7月22日に実施

 

ーーまずはこれまでのプレー歴を教えてください。

 

 小学校1年生からバスケットを始めて、地元の北海道札幌市の新琴似北ミニバスケットボール少年団でプレーしました。その後、中学生からはレバンガ北海道U15に所属して、高校に入学すると同時に北海道のU18に所属することになりました。

 

ーーレバンガ北海道U15に入り、そこからU18に進んだ理由を教えてください。

 

 U15に入る前から将来はプロ選手になることを考えていて、実際にプロになるためには何が一番の近道なのかを考えたときにユースチームに入ることだと思ったんです。中学3年生のときに初めてトップチームの練習に参加させていただいたことがあったのですが、自分には今何が足りないのかを考えることができて、またプロの選手たちと一緒に練習できる可能性があるというところを考えると、このままU18に上がって続けた方がいいのかなと思いました。それに(リーグ戦などもあって)試合が多くできる点も、U18を選ぶにあたっては大きかったです。

 

ーー全国区の高校からの誘いなどもあったとは思いますが、やはりトップに近い環境というのが大きかったのですね。

 

 そうですね。高校に関してはインターハイやウインターカップの知名度もかなり上がってきていて、選手それぞれのレベルや、大会としてエンターテインメント面での魅力も高まってきたと思います。そういうこともあっていろいろ悩んだのですが、ユースではトップチームのホームゲームの前座試合などをさせていただくこともあって、プロと同じような環境下で試合できる点も魅力的に感じました。

 

©︎B.LEAGUE

 

ーー普段は高校に通いながら、放課後の時間で練習という流れになるのですか?


そうですね。チームメイト全員が北海道文教大付高に通っていて、学校が終わった後にチーム練習をしている感じです。僕はいつも自宅から高校に通って、そのあと練習という流れですね。

 

ーーユースチームに入って、設備の面などで驚いたことはどんなことでしたか?

 

 ほとんど全部ですね(笑)。そもそもミニバスにはトレーナーというポジションの方がいなかったので、テーピングなんかも全部ミニバスのコーチがやってくれていました。ですが、レバンガのユースではサポーターやインナーのサプライヤーがいて、その分野ごとに担当の方がいるので、そういうのはユースならではなのかなと思いました。それにバッシュやボールなどの個人で持っていなければいけない必要最低限の道具以外の練習用具がすごく充実しているのはすごいなと思いました。

 

ーーちなみにユースチームに入ったときの身長はどれくらいでしたか?

 

 ユースに入って一番最初の身体測定(中学1年時)が170cmくらいでした。そこから20cmくらい伸びました。

 

ーーサイズとフィジカルを鑑みるとインサイドでも戦える体格ながら、内藤選手は3Pシュートなどのアウトサイドの武器が印象的です。そういったプレースタイルになったのはユースに入ってからですか?

 

 実はミニバスの頃からずっとアウトサイドをやっていたんです。ユースに入って身長が伸び始めてからチームの中でもより大きい方になってきたので、そこでインサイドもできる力が必要かなと思ってインサイドをやり始めたという感じです。ミニバス時代のコーチが基本自由にやらせてくれて、自分でボール運びをしてから仲間にパス出してという感じでした。そこから中に入ったり外へ出て仕掛けたりすることが多かったので、インサイド、アウトサイドに関わらずやらせてくれたミニバスのコーチには感謝しています。

 

©︎B.LEAGUE

 

ーー6月に開催された『U16アジア選手権』では準優勝という結果を残しました。連戦を戦う中で得られた手応えはどんなものでしたか?

 

 アジア選手権はワールドカップほど体の当たりが強いわけではなかったです。その中でもチームとして体を張り続けてリバウンドとボックスアウトを徹底できたのは、アジア選手権で準優勝までいけた要因の一つだと思います。川島悠翔選手(福岡大附大濠高)を筆頭に、僕らの世代には点を取れる選手がたくさんいたので、得点面に関してはあまり心配していなくて、ディフェンス面を徹底しようと思って戦っていました。

 

ーーその経験を持って『U17ワールドカップ』では世界と戦いました。世界レベルを体感できたことによる収穫には、どんなものがありましたか?

 

 まずリバウンドの強さという面で僕たちは全試合で負けてしまいましたし、最後のシュートのところ、ペイントエリアでのシュートなどを決め切る力やアウトサイドの確率という面では差を感じましたね。それ以外のいろいろな面を比較しても強豪国に比べると自分たちはまだまだレベルが低いんだと感じましたし、それぞれに通用した部分としなかった部分が見えた気がします。僕の場合、ディフェンス面はわりとできたのかなと思うのですが、オフェンス面では何もできなかったので…。オフェンスのレベルをもっともっと上げていく必要があると思っていますし、それを経験できたのは収穫でした。

 

ーー対戦チームではどこが印象に残っていますか?

 

 やっぱりスペインとフランスはすごかったですね。世界のトップに近い国はちょっと質が違うというか、そういう印象でした。

 

ーー帰国後も練習に励んでいると思いますが、大会を経てより重点的に取り組んでいることなどがあれば教えてください。

 

 ワールドカップともなるとフィジカルの強さがどの国も高かったので、『ペイントエリアでのシュートは基本的にファウルは取られない』と考えてやっていかないと、シュートの強さは生まれてこないと思いました。なので、ペイント内でのシュートの強さはすごく意識していますね。それに世界では200cmを超える選手が各チームに結構いて、その中でシュートを決め切らなければならないとなると、いつものボールの高さでやっていたら簡単にブロックされてしまいます。ボールの高さの部分も意識し始めています。

 

ーー実際に世界の同世代と戦って、実感できた部分ですね。チームメイトには高校界のトッププレーヤーが顔をそろえました。そういった同世代の有力選手と一緒にプレーしたのはどうでしたか?

 

 すごく良い経験になりました。メンバーの中には中学3年時のJr.ウインターカップやBリーグのU15チャンピオンシップなどに出ていた選手もいて、知っているメンバーも結構多かったです。それもあってコミュニケーションなどもうまくできたと思いますし、プレー面でもそれぞれの持ち味を生かしながら戦えたのですごく良かったです。

 

©FIBA.U17WC2022

 

ーーチームメイト同士は仲も良かったですか?

 

 アジア選手権のときは若干の距離感がありましたけど(笑)、やっぱり時間が経つにつれて距離が縮まっていったイメージでした。僕は特定の誰かと一緒にいたというよりも、みんなと満遍なくしゃべっていた感じです。

 

ーーこの記事が公開される頃には高校バスケ界はインターハイの真っただ中です。代表のチームメイトだった選手も数多く出場しますが、どんな気持ちですか?

 

 それぞれがアジア選手権とワールドカップで経験したこと自チームに持ち帰って、それをどう還元してチーム作りをしてるのかがすごく気になります。みんなの試合を見ていろいろ学べるところがあれば、僕もU18のチームメイトにもどんどん言っていきたいなと思っています。

 

ーーユースチームとしても8月には「B. LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2022」が控えています。そこに向けての今取り組んでいることと意気込みを教えてください。

 

 まずは北地区のリージョナルリーグを1位通過(6勝0敗)できたことは、選手それぞれの自信につながったと思います。ですが、上に行くためにはさらに体の当たりが強かったり、身長が自分たちよりもあったりといったさまざまな相手を倒さなければいけません。今度はそこに向けてマインド設定を少し変えて、もっと練習に強度を持ちながらやっていく必要があるかなと思っています。

 

ーーでは最後に、今後の抱負を教えてください。

 

 まずは今年、特別指定選手を狙って、そこからプロ選手になるためにどんどん成長していきたいなと思っています。最終的にはA代表として日本代表に入ることや海外リーグ挑戦などもできたらいいなと思っています。

 

 高校2年生らしからぬ落ち着いた口調で自らの現状を見極めつつも、明確な未来図を描く内藤。彼の直近の目標である特別指定選手加入が実現すれば、もしかしたら2022-23シーズンにはB1の舞台でその活躍を見ることができるかもしれない。今後の成長が楽しみなU18世代のスター候補を、今からチェックして損はないはずだ。

 

 

内藤 耀悠

ないとう・てるちか/190cm・97kg/F/2006年1月11日生(16歳)

 

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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