月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2021.02.15

ケイン・ロバーツ(東京Z) - BリーグからNCAAディビジョンIに飛び込むサムライの物語(6)

NCAAディビジョンIのストーニー・ブルック大から入学オファーを受けた直後のケイン・ロバーツ(アースフレンズ東京Z)を直撃。本人とヘッドコーチの東頭俊典氏に今シーズンのパフォーマンスに対する評価などを聞いた(収録は1月16日)。
文/柴田 健(月バス.com) 協力/アースフレンズ東京Z 、Kris Thiesen(Tokyo Samurai)

 

今シーズンの出来についてロバーツは「B-かC-」と厳しめの自己評価をきかせてくれた(写真/©B.LEAGUE)

 

――ここまでのご自身の出来はどう見ていますか? 点数をつけるとしたら、どうでしょう?
ロバーツ シーズンが始まる段階で、素直にスターターになれるとは思っていませんでした。課題に取り組み、東頭HCはじめチームスタッフと話し、自分のスポットを勝ち取らなければなりません。簡単ではないと承知していましたよ。
実際、いいスタートを切ることができました。最高とは言いませんし、もっとよくできたこともあったかもしれませんが、ここまではよくやってこられたと思います。成績をつけるなら…、B-かC-くらいでしょうか…(笑) もっと改善できた、もっとできただろうと思う点がありますから。


――コーチの視点からみて、東頭さんはどう評価しますか?
東頭HC ここに来た時点で彼は進学先が決まっておらず我々にフルコミットで、失敗したらその先はわからないという状態でした。自身は18歳で上には36歳もいることを思えば、チームメイトやプロの生活へのアジャストは、思った以上に早かったと思います。この点は間違いなくA+! スタッフがケインに付きっ切りになれるわけでもない中、最初は高校生っぽいところもありましたが、しっかり成長して責任を持った生活をしています。
プレーについては逆に、オフェンスはC-。能力はあるのですがターンオーバーが多いんです。その原因が攻めずに横を向いてしまい、消極的なところからきているからもったいないですよね。本来はもっとすごくて、技術的な課題はあるにせよポテンシャルはB2のトップクラスですから。
一方ディフェンスはA-をつけられます。先ほど話したシーセンさん(トウキョウサムライのシーセン クリス マコトさん=パート1-5参照)が「ディフェンスをしない」と嘆いていたのが、すごく頑張っています。相手のピック&ロールを守れないというときに一度スターターを任せたのですが、それはコーチングスタッフで話して、ケインが一番守れるという結論だったからです。「ディフェンスをしない」と言われていたところから始めて、プロの世界で頑張り始めている点、ディフェンスやルーズボールの大切さをわかり始めている点を見れば、この半年で一番伸びたのはディフェンスですね。
オフェンスは攻めてくれれば大丈夫。後半戦はやってくれるんじゃないかなと思っています。ただし、ディフェンスをさぼったら出しませんけどね(笑)


――ロバーツ選手が今のご自分に加えたい要素は何でしょう?
ロバーツ 最優先事項は筋肉をつけて体重を増やすことです。強くならないと。ディビジョンIはワークアウトの環境も素晴らしいですが、今から強くなっておけばフレッシュマンとして臨むときに上級生たちについていきやすいですからね。内面的にはちょっとした切り替えで大丈夫だと思います。ここ(東京Z)にお世話になる時点で、大人と一緒にプレーするために18歳の心持ちではいられませんでしたから。まだ子どもな部分もありますが…。

 

 東頭HCの視点からは、「自信、野心、内面のドライブ(意欲)」を持ってほしいと内面的な要望が挙げられた。本来の能力を発揮するための気持ちのスイッチをいかにして自分で入れることができるか、思いどおりにできないときにも動じないマインドセットを常に持てれば、ロバーツはモンスターゲームを連発できるからだ。ただ、「筋肉がつくのと比例して自信もつくでしょう」というのが東頭HCの見方。実戦を通じて成長を見てきているだけに、ディビジョンIでの活躍についても不安より期待の方がずっと大きいようだ。(パート7、最終回に続く

 

プロとしての評価とともに、ロバーツの育成への配慮を東頭HCは重視している(写真/©B.LEAGUE)

 

(月刊バスケットボール)

 



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