月刊バスケットボール8月号

Wリーグ

2020.12.20

皇后杯準決勝 渡嘉敷不在のENEOSがスピードで高さのデンソーを下す

 12月19日、皇后杯ファイナルラウンド準決勝が国立代々木競技場第二体育館で開催された。

 昨年のファイナルの対戦カードとなったENEOSサンフラワーズ vs. デンソー アイリスの準決勝第1試合。

 大会タイ記録となる8連覇を目指すENEOSだが、17日の準々決勝の富士通戦で負傷したエース渡嘉敷来夢が右ひざ前十字靭帯断裂との診断となり、戦列を離れた。今大会のENEOSは、梅沢カディシャ樹奈、林咲希、大沼美琴ら主力となる選手たちが故障で欠場していたが、さらに大きなディスアドバンテージを負うことになった。

 

シュートを狙う高田(デンソー)をディフェンスする中田(ENEOS)

 

 193cmの渡嘉敷、190 cmの梅沢のツインタワーに代わりスターターに加わったのは中村優花(178cm)、ルーキーの中田珠未(182cm)。中村は準々決勝に続くスターターで、デンソーの日本代表センターの高田真希に対し、ひるむことなくインサイドアタックを見せ、得点を奪う。さらに司令塔の宮崎早織、中田珠未が続き、試合出だしで7-0とリード。デンソーは高田、本川紗奈生の得点で落ち着きを取り戻すものの、1クォーターの終盤にENEOSの宮崎が連続ゴールで20-14と6点差とすると、2クォーターに入るとENEOSのディフェンスが冴え、そこからのブレイクで28-18とリードを広げる。デンソーはたまらずタイムアウトを請求する。しかし、勢いを緩めないENEOSは42-30で折り返した。

 後半に入り流れをつかんだのはデンソー。インサイドで高田、外からは赤穂ひまわりとリズムを作り、高田が3Pシュートも沈め、赤穂さくらがリバウンドから押し込み45-51と6点差まで詰め寄った。しかし、ここで「一瞬気が緩んでしまった」とデンソーの髙田が悔やむように、ENEOSはディフェンスからブレイク、3Pシュートを立て続けに決めて再び2ケタ差を取り戻すと64-49で最終クォーターへ。

 デンソーはディフェンスから必死に仕掛けるものの、ENEOSのガード陣が振り切り、リードを守る。ゾーンに対しては岡本が3Pシュートを沈めるなどこのクォーター10得点を稼ぎアジャストする。高さのアドバンテージを失ったENEOSだったが、スピードでデンソーを凌駕し78-62と決勝へとコマを進めた。

 

チームトップの25得点を挙げた宮崎(ENEOS)

 

 渡嘉敷の代役を務めた中田は20得点を挙げ、ディフェンスでは相手のエース高田にマッチアップし、試合を通して体を張ったプレーを見せた。「正直に言って荷が重かったのですが、練習で渡嘉敷さんとマッチアップしていきているので、『守れる、守れる』って自分に言い聞かせながらプレーしていました。ヘッドコーチから言われていたリバウンドの目標には届きませんでしたが、ボックスアウトは意識してできたと思うので少し自信につながりました」と試合を振り返る。また、「岡本選手、宮澤選手のところを徹底的に抑えてくると思ってましたし、自分のところが空いたら気持ちよく打とうと思っていました」と司令塔の宮崎が3Pシュート5本を含む25得点、さらに10リバウンドを挙げた。「ガードがプッシュしていくということを、吉田(亜沙美)さんからも教わっていたので、今日はそれが出せたと思います」と、ピンチに陥ったチームを救う活躍を見せた。ENEOSは「高さがない分、走らないと勝てないので」と宮崎が話したように、チーム全員で走り続け、ルーズボール、リバウンドを奪った。チームリバウンドでも42本とデンソーの36本を上回り、勝利への執念を見せた。

 

<準決勝結果>

ENEOSサンフラワーズ 78 -62 デンソー アイリス

トヨタ自動車 アンテロープス78-67 日立ハイテク クーガーズ

 

(月刊バスケットボール)



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