月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2020.12.17

皇后杯準々決勝 ENEOSが緊急事態に女王の意地を見せる

 12月16日、皇后杯ファイナルラウンド準々決勝2試合が国立代々木競技場第二体育館で開催された。

 

 8連覇を目指すENEOSは今大会、梅沢カディシャ樹奈、林咲希、大沼美琴ら主力となる選手たちを故障で欠き万全ではない。さらに、1クォーターにスーパーエースの渡嘉敷来夢がブロックショットの際に負傷し、コートから離れるというアクシデントに見舞われた。193cmの渡嘉敷、190 cmの梅沢のツインタワーを欠き、高さでのアドバンテージを失ったENEOSだったが、この試合スターターに入った中村優花が果敢にインサイドにアタックしチームに勢いをもたらすと、ハードなチームディフェンスで活路を見いだした。

 

 一方の富士通は、オコエ桃仁花がインサイドで、篠崎澪がアウトサイドから効果的に攻めて前半は37-40、3点のビハインドと互角の戦いとなった。後半に入ってもお互いに譲らず、迫る富士通に対し、ENEOSが踏ん張る展開が続いた。

 

 ゲームが動いたのは最終クォーター。一気にギアが入ったENEOSは集中力を増したディフェンスで4分近く富士通を無得点に抑え込み、オフェンスでは控えの藤本愛瑚らが得点を重ねて点差を開いた。

 

岡本彩也花(ENEOS)

篠崎澪(富士通)

 

 宮澤夕貴と共に40分間フル出場したキャプテンの岡本彩也花は「(渡嘉敷の負傷退場に)正直とまどいましたし、びっくりして、どうしようって思いました」と想定外の厳しい展開を振り返ったが、チーム最多の22得点をあげた宮澤、13得点を記録した岡本、宮崎早織らのレギュラー陣が勝負どころでしっかりと仕事を果たした。さらに「自分たちだけでなく、選手みんなが自分の仕事をやってくれました」との岡本の言葉どおり、中村が11得点・11リバウンド、藤本も11得点をあげるなど、主力の穴を埋める貢献を見せた。チームの緊急事態に一丸となり、女王のプライドを見せたENEOSが78-59と勝利を手にした。

 

 

 続く第2試合、デンソー対トヨタ紡織の一戦は、出だしからデンソーが激しいディフェンスで一気にたたみ掛け、試合の主導権を握ると、1クォーターを24-11とリード。その後トヨタ紡織は、東藤なな子、平末明日香らを軸に盛り返すも、点差を詰め切れない。デンソーは多くの選手を起用し、タイムシェアをしながら、激しいディフェンスでゲームをコントロールし続けた。

 

 後半に入りトヨタ紡織の齋藤麻未の3Pシュートなどで反撃するものの、デンソーは高さで勝る高田真希、赤穂ひまわりらが着実にゴールを決め返し、終始リードを保ち、85-73でトヨタ紡織を下した。

 

 12月19日の準決勝ではENEOSとの対戦となるデンソー。大黒柱の高田は「昨年よりチーム力は上がっています。コーチから求められているプレーを、簡単ではありませんが、40分間続けられれば勝つチャンスはあると思います」と語る。今シーズンから指揮を執るマリーナ マルコヴィッチHCも「ENEOSがチャンピオンなのは知っていますが、今シーズン、最初のタイトルを取るチャンスでもあります。限界を超えていきたいですね」と自信をのぞかせた。ENEOSはエース渡嘉敷の故障の状況次第では、苦しい戦いを強いられることになりそうだ。

 

高田真希(デンソー)

齋藤麻未(トヨタ紡織)

 

<準々決勝結果 1日目>

ENEOSサンフラワーズ 78 -59 富士通 レッドウェーブ

デンソー アイリス 85-73 トヨタ紡織 サンシャインラビッツ

 

(月刊バスケットボール)



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