月刊バスケットボール5月号

[皇后杯準々決勝]接戦を制したトヨタ紡織が初のベスト4入り

[皇后杯準々決勝 第1試合]

 12月15日、皇后杯ファイナルラウンド準々決勝が国立代々木競技場第二体育館で開催された。

 第一試合は三菱電機コアラーズ対トヨタ紡織サンシャインラビッツの一戦。両チームはWリーグの今シーズン開幕カードで対戦し、トヨタ紡織が2連勝している。しかし、三菱電機はその後8連勝とチーム力を高めてきている。この試合で先に流れをつかんだのも三菱電機。開始早々、渡邉亜弥の3Pシュートで先制すると、その後も渡邉がオフェンスの中心となり、1Qに9得点、5アシストのパフォーマンスでチームをけん引する。ディフェンスでも堅い守りを見せて22-13とリードを奪った。

 

東藤なな子(トヨタ紡織)

 

 2Qに入り渡邊のシュートがゴールに嫌われるものの、息の合ったチームオフェンスで加点。一方のトヨタ紡織は平末らが応戦するも単発に終わり34-23と三菱電機がリードを保ったまま後半を迎えた。

「三菱電機さんにスタートダッシュされて、オフェンスも後手に回ってしまった」とトヨタ紡織の知花武彦HCは試合後に振り返ったが、「もっとアグレッシブさを出さないと」と送り出した後半に入ると「ゴールにアタックし続けるのが自分の役割」というチームのエース東藤なな子が、合わせから、スティールからと立て続けに得点。さらにチームとして初めての3Pシュートを加藤優希が決めると、流れがトヨタ紡織に変わる。齋藤麻未がスティールからファストブレイクで38-34と4点差に。たまらず三菱電機はタイムアウトを取るものの、トヨタ紡織の勢いは止まらず、司令塔の坂本美樹の3Pシュート、そして東藤のバスケットカウントで44-42とついに逆転する。

 

渡邉亜弥(三菱電機)

 

 三菱電機も西岡里紗がインサイドでねじ込むなど粘りを見せ47-47の同点で最終Qへ。どちらも引かない展開で56-56と同点で残り2分を切る。ここで三菱電機のエース渡邉がスティールからのワンマンブレイクで均衡を破る。三菱電機が勝利に手をするビッグプレーに思えたが、トヨタ紡織の東藤が3Pシュートを沈め再逆転。この後、一分を切ってから三菱電機の西岡が放ったゴール下のシュートがこぼれると、トヨタ紡織の坂本がドライブからバスケットカウントを奪い帰趨を決した。終盤の勝負どころでシュートを決めきったトヨタ紡織が63-58で皇后杯初のベスト4進出を果たした。

 敗れた三菱電機の古賀京子HCは「出だしは自分たちのペースでしたが、後半の入りでつまずきました。相手のプレッシャー・ディフェンスに対して、ボール運びでターンオーバーが増えてしまいました」と敗因を語った。40分間フル出場し、18得点、9アシストと奮闘した渡邉は、リーグを通して課題を修正し、チームが成長し続けていることを語りつつ、「修正を結果につなげたい」とWリーグ後半戦に目を向けた。

 

(飯田康二/月刊バスケットボール)

 

 



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