月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.02.09

2度あった「#8のコービー・ブライアント」がプレーした2月8日の試合

 2月8日。その日付から、元ロサンジェルス・レイカーズのレジェンド、コービー・ブライアントを想い浮かべた。そんなNBAファンも多いのではないか。ふと、この日のブライアントがプレーした試合はどんなだったんだろうと思い、調べてみた。
ブライアントがこの日にNBAの公式戦でプレーしたケースは7件(1999、2006、07、08、09、13、16年)。そのうち特に、#8でプレーした2試合を振り返ってみよう。

 

1999年2月8日

レイカーズ〇80-75×サンアントニオ・スパーズ

 

 ブライアントとレイカーズにとってアウェイだったこの試合は巨大なアラモドームで行われ、観衆は33,788人と記録されている。ブライアントはフィールドゴール19本中8本とフリースロー2本中2本を成功させ19得点に10リバウンドのダブルダブル。そしてアシスト、スティール、ブロックをそれぞれ2本ずつ記録していた。日付を意識している個人的な感じ方に過ぎないのだが、ダブルダブルという表現も含め1、9、2、8がやたらと多いスタッツラインにちょっと驚いてしまった。

 両チームのスターターは以下の顔触れだった。

 

レイカーズ: デレク・フィッシャー、コービー・ブライアント、エディー・ジョーンズ、ロバート・オーリー、シャキール・オニール

 

スパーズ: エイブリー・ジョンソン、ジェイレン・ジャクソン、ショーン・エリオット、ティム・ダンカン、デビッド・ロビンソン

 

 ヘッドコーチはレイカーズがデル・ハリス、スパーズは現在も指揮を執っているグレッグ・ポポビッチ。ハリスはこのシーズンを最後に退任し、翌シーズン以降はフィル・ジャクソンの時代となる。ポポビッチはボブ・ヒル退任後を引き継いでまだ3シーズン目。プレーオフに出た経験さえ1度しかない段階であった。スパーズのベンチには、現在ゴールデンステイト・ウォリアーズでヘッドコーチを務めるスティーブ・カーの名前もある。
ちなみにこのシーズンは、リーグと選手会の交渉がこじれてロックアウトを経て始まったため、これが両チームにとってシーズン3試合目。どちらも2勝1敗の成績で臨んでいた。
この試合はのちにプレーオフで激突する両者の前哨戦となる対決だった。シーズン中は3度の対戦をレイカーズが2勝1敗と勝ち越したが、プレーオフではウエスタンカンファレンス・セミファイナルでスパーズがレイカーズをスウィープ。最終的にスパーズはウエストを制し、ファイナルでもイーストの第8シードから勝ち上がって“ミラクル”と呼ばれたニューヨーク・ニックスを倒して初のリーグ制覇を成し遂げている。

 

2006年2月8日

レイカーズ〇89-78×ヒューストン・ロケッツ

 

 ブライアントが81得点を記録した1月22日の対トロント・ラプターズ戦から8試合目で、レイカーズは前日のダラス・マーベリックス戦まで4連敗を喫していた。会場はロケッツのホーム、トヨタセンター。ブライアントのスタッツで際立つものは32得点、9アシストに6スティールといったところか。スターターは以下のような顔ぶれだった。

 

レイカーズ: スマッシュ・パーカー、コービー・ブライアント、ラマー・オドム、ブライアン・クック、クワミ・ブラウン

 

ロケッツ: レイファー・アルストン、デビッド・ウェズリー、トレイシー・マグレディー、ジュワン・ハワード、ヤオミン

 

 ブライアントは身長229cmのヤオのショットをブロックしたり、その手からボールをスラップしたりとディフェンス面でも活躍した。ブライアントとマグレディーがこの試合で一番のスターのように思うが、T-Mac(マグレディーのニックネーム)はこの試合ではブライアントやオドムの厳しいディフェンスに手を焼いたか、11得点にとどまっている。
レイカーズのスターターに名を連ねているクックは、2015-16シーズンに千葉ジェッツ(当時はBリーグの前身であるNBLに属し、名称に「ふなばし」はまだついていなかった)でもプレーしたパワーフォワードだ。ロケッツ側のアルストンは、“スキップトゥマイルー”、あるいは“スキップ”のニックネームで知られたストリートボール界のレジェンド。2002年に中国人として初めてNBAドラフト全体1位指名を受けてロケッツ入りしたヤオを含め、今思うとこの試合は驚くほど多彩な顔ぶれがそろっている。

 

 #8ブライアントの2月8日は2度あり、ブライアントのレイカーズが2勝していた。それをひも解くだけで、バスケットボールの歴史を作ってきたいろいろな人々の当時の姿まで触れることになった。これらの試合を子どもの頃に見ていた世代が今、現役で活躍している世代にあたる。

 アメリカ現地時間の2月8日夜(日本時間9日午前中)に行われるNBAの試合に出場するプレーヤーの中には、日付を意識して出場するプレーヤーもいるかもしれない。

 

イラスト/茂本ヒデキチ

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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