月刊バスケットボール6月号

大学

2022.10.31

【第72回関東大学女子バスケットボールリーグ戦】白鷗大がインカレに弾みをつける2年ぶり4度目の優勝

 8月30日から熱戦を繰り広げてきた「第72回関東大学女子バスケットボールリーグ戦」。1部リーグは10月15日に1次リーグを終了後、上位リーグ、下位リーグに分かれての2次リーグが展開されてきたが、10月30日の最終節で白鷗大が東京医療保健大を破り、今リーグ負けなしの全勝で2年ぶり4度目の優勝を飾った。

 

 1次リーグで東京医療保健大を85‐74で破り、同リーグを全勝突破した白鷗大は、2次リーグも快調に白星を重ねて最終日を迎えた。一方、東京医療保健大は29日の筑波戦で71‐75と痛い黒星を喫していた。過去3年、インカレ決勝で顔を合わせてきた両校の対決は、関東という枠を越えて注目を集めるもの。昨年までインカレ5連覇を誇る東京医療保健大だが、12月に迫るインカレに向けても、連敗は止めておきたいところだった。

 

ともに負けられない戦いとなった両校のティップオフ

 

 1Q、東京医療保健大は♯1古木梨子(3年)を起点に機動力を発揮して着実に得点。白鷗大も♯5樋口鈴乃(3年)、♯16田中平和(3年)らの奮闘で対抗するが、東京医療保健大は♯8ジョシュア ・ンフォノボテミトペ(4年)がゴール下を支配し、23‐17とリードした。

 

 2Q序盤は、東京医療保健大♯8テミトペ、白鷗大♯20オコンクウォ・スーザン・アマカ(2年)がともにゴール下で存在感を発揮し、一進一退の展開。しかし中盤以降、白鷗大は♯5樋口が高い運動能力を発揮して厳しいディフェンスをかいくぐっての得点でチームを活気付け、さらにキャプテン♯4鈴置彩夏(4年)が東京医療保健大♯25伊森可琳(4年)を抜き去ってのレイアップを決めて30‐33と迫ったところから俄然、戦いぶりに熱を帯び、ついには36-36の同点に追い付いて前半を終えた。

 

自身のプレーでチームを勢い付けた白鷗大♯4鈴置

 

東京医療保健大♯8テミトペと白鷗大♯20アマカのマッチアップも見ごたえるものに

 

 後半に入ると白鷗大はさらに勢いを増し、♯4鈴置の3Pシュートや♯20アマカの連続得点で逆転を果たす。アマカはゴール下のみならず、ミドルやドライブなど得点のバリエーションが増えたことも、東京医療保健大の守りを難しくした。

 

 白鷗大が48‐45とリードして迎えた4Q。ともに負けられない戦いでディフェンスの強度も最大限となる中、白鷗大は♯15三浦舞華(3年)の果敢なドライブやミドルによる得点で点差を広げると、終盤には♯5樋口のドライブ、そしてとどめを刺すような3Pも飛び出し、勝敗を決定付けた。東京医療保健大も♯18池松美波(3年)、♯1古木の3Pで意地を見せるが、得点差を覆すまでには至らなかった。

 

1次リーグに続いて東京医療保健大から勝利を収めた白鷗大

 

 白鷗大の♯4鈴置は、「メンバーの誰が出ても戦力は変わらない。4年生だけじゃなく、下級生にも力がある選手が多いのが強みだと思います。リーグ戦全勝優勝は通過点。最終目標はインカレで日本一になることです」と、同大としては6年ぶり2度目のインカレ優勝に向けて表情を引き締めていた。

 

12月のインカレでは6年ぶり2度目の優勝を目指す白鷗大

 

 一方、敗れた東京医療保健大だが、♯25伊森は「ルーズボールだったりリバウンドだったり、そういう誰にでもできるけれど実は難しいところで、白鷗大の方がしっかりやっていたなと感じました。2年前にもリーグ2位で終わり、もう1回鍛え直そうとチーム一丸となって頑張った(インカレ優勝に結び付けた)ということがあったので、今回もこの結果をバネに、自信を持って練習していきたいと思います」と、6連覇を目指すインカレを見据えて顔を上げた。

 

インカレでは6連覇を目指す東京医療保健大

 

 29日の対戦で東京医療保健大に競り勝った筑波大は、翌30日の早稲田戦でも勝利を収め、今リーグを3位で戦い終えた。戦いの起点となる♯2池田沙紀(4年)のスピード、♯0山田葵(2年)の相手を疲弊させる豊富な運動量、♯81森岡奈菜未(3年)のチームファーストの献身性、♯14朝比奈あずさのルーキーらしからぬ力強いポストプレーなど、コートに立つ選手が各々の仕事をきっちりこなしながら強い一体感を持って今リーグを戦い抜いた。キャプテンの♯2池田は、「トランジションのスピードで走り勝てたかなと思います。全員で守って、そこから全員で走るという、自分たちのやりたいバスケットが出せたことが(東京医療保健大戦の)勝因」と振り返ったが、そのバスケットを12月のインカレでも貫き通すことができれば、筑波大にとって7年ぶりとなる優勝も現実味を帯びてくることだろう。

 

試合の随所で高い一体感を示した

インカレに向けて自らの士気を高める戦いを演じた筑波大

 

 

<個人賞>
〇最優秀選手賞 オコンクウォ・スーザン・アマカ(白鷗大 2年)
〇敢闘賞 ジョシュア・ンフォノボテミトペ(東京医療保健大 4年)
〇優秀選手賞 鈴置 彩夏(白鷗大 4年)
〇優秀選手賞 伊森 可琳(東京医療保健大 4年)
〇優秀選手賞 池田 沙紀(筑波大 4年)
〇得点王 ジョシュア・ンフォノボテミトペ(東京医療保健大 4年)330点
〇3ポイント王 高林 奈々(松蔭大 4年)37本
〇リバウンド王 オコンクウォ・スーザン・アマカ(白鷗大 2年)OF70/DF112/TO182
〇アシスト王 古木 梨子(東京医療保健大 3年)78本
〇MIP賞 江頭 璃梨(早稲田大 2年)
〇監督賞 佐藤 智信(白鷗大)

 

取材・文・写真〇村山純一(月刊バスケットボール編集部)



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