“車いすバスケ天皇杯”健常者が大会に与えた影響とは

 5月10~12日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)にて天皇杯第47回日本車いすバスケットボール選手権大会が開催された。前人未踏の10連覇中の宮城MAXに立ちはだかるチームはどこか。健常者の出場も可能になった今大会、多くのチームが補強を加える中、補強をせずに臨んだ宮城MAXの戦いぶりに注目が集まった。

 

 競技人口増加や競技力向上がその目的である。埼玉ライオンズは新たに迎えた健常者が原動力となり、4年ぶりに決勝へ進んだ。藤澤潔は「日常から切磋琢磨できる環境はどこのチームにもない」と練習強度の変化をプラスに捉えている。パラ神奈川スポーツクラブは健常者の加入で高さの弱点を克服できた。「シューターが多く、ピック&ロールから攻めるときの起点になる」という古澤拓也はスリーポイント賞に輝いた。

 

 健常者の一人、伊丹スーパーフェニックスの三浦玄は「フィジカルの部分で相手になれば競技力向上に貢献できる」と、体幹が強い健常者とのぶつかり合いが強化につながると考える。宮城の土子大輔は「体幹の強さは印象深かった。健常者と切磋琢磨していくことでハイ・ポインターのレベルアップにつなげていければ」と歓迎する。

 

 一方で異を唱える選手がいないわけではない。「健常者だから何でもできるではなく、障がい者がやるからこそ強いんだ、というところに答えを求め続けたい」と宮城の藤本怜央はチャレンジしていた。「障がいを負ってから苦難を乗り越え、このスポーツに人生賭けてやってきた僕らの勝利」と健常者がいない宮城が11連覇を達成したことで証明してみせた。

 

 月刊バスケットボール7月号では、車いすバスケ天皇杯のレポート、MVP選手のコメントなどを掲載している。

 

(泉誠一/月刊バスケットボール



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