月刊バスケットボール5月号

中学(U15)

2021.01.06

【Jr.ウインターカップ】後半の追い上げも届かず、市沼津中は惜しくも2点差でベスト8入りを逃す

 女子3回戦、KD PIRANHANS(群馬)対沼津市立沼津中(静岡)の一戦は、前半の貯金を生かしたピラニアンズが54―52の僅差で市沼津中を下し、8強進出となった。ピラニアンズは2回戦のFURUTA Excalibur BBC(広島)戦に続いての2点差勝ち。

 

 序盤、ピラニアンズは#7戸塚妃莉のジャンプシュート、市沼津は#13川口青空や#15小山内悠桜のゴール下などで互いに譲らず、一進一退の攻防となった。2Qも最初の5分は同様の試合展開だったが、ピラニアンズは#91鉾田ひかりがドライブなどで3連続得点。加えて、#1関口まおの3Pシュートもあり、33―24と一気に点差を広げる。残り5分から市沼津は2―13のランを許し、9点のビハインドとなった。

 

 3Qは市沼津も立て直しを図り、小山内がリバウンドシュートをコツコツと決めてピラニアンズに付いていく。3回以上、なかなか連続して得点できないことで大きく差を詰めることはなかったものの、確実に縮めて3Q終了時に6点差(39―45)とした。

 

小山内とともにダブルダブルを記録した市沼津#13川口(15得点、11リバウンド)

 

 最終クォーター、残り5分までに3点差程度まで追いかけたい市沼津。ところが開始5分間は両者ともに無得点のこう着状態が続いた。ピラニアンズはたまらず先にタイムアウトを取って状況を打開したかったところだが、市沼津は小山内がゴール下で存在感を示して得点を連取。さらに、#14秋山叶羽が左コーナーから3Pシュートを決めて48―49と1点差まで詰め寄る。ここからどちらに流れが行ってもおかしくない展開になるが、ピラニアンズはシュートが落ちてもルーズボールをものにするしぶとさがあった。この時間帯で3連続ポゼッション、オフェンスで1分半近くボールを保持し、時間を消費できたことが勝敗を分けたと言っていい。

 

 そして残り1分でピラニアンズがフリースロー1本を沈めて52―48。一方、粘る市沼津はこの日、ダブルダブルの活躍を見せた川口がスティールからファストブレイクを決めて50―52。その後も1本ずつ互いに決めて、52―54ゲームセット。試合後、「シュート率が低かったり、ディフェンスのローテーションが遅かったりしたことが追い付けなかった原因だったと思います」と、2年生ながらキャプテンを務めた市沼津の杉山萌唯は冷静に試合を分析した。

 

 市沼津は後半追い上げたものの、前半の得点差が響き、僅かに2点届かなかった。粘り強く地道に追い付いていきながら逆転のチャンスを狙ったが、6点以上の連続得点がなかったことやペイント外からの得点が少なかったことで、大きな流れを引き寄せることができなかったのである。「セカンドチャンスを与えてしまうなど、細かい部分の差が出たと思います」と市沼津・工藤コーチが言うように、僅かの差が明暗を分けた。

 

市沼津はコツコツとオフェンスリバウンドからの得点で追い上げた(#15小山内)

 

写真/JBA

文/山本達人(月刊バスケットボール)



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