月刊バスケットボール6月号

中学(U15)

2021.01.05

【Jr.ウインターカップ】全国で負けたことが財産に! 鹿児島バスケの未来予想図に希望をもたらす2人のサウスポーエース

「鹿児島では強いけれど井の中の蛙。いい素質を持っているからこそ、もっと上を見なければならない。そのためにも、このJr.ウインターカップに出場できたことは彼らにとってかけがえのない経験になりました」と言うのはLINK(鹿児島)の川口コーチ。その川口コーチは、れいめい高校時代にバスケ部キャプテンを務め、2012年の新人戦では県内の名門校・川内を破る快挙を成し遂げ、九州国際大学でもバスケ部主将となり、卒業後は2年間島根県のトータルクラブで競技活動をしていた経歴の持ち主だ。

 

 その後、帰郷した川口コーチは「鹿児島のバスケを強くしたい」という想いから、母校れいめい高校のアシスタントコーチを務めつつ、鹿児島県姶良市にあるバスケショップLINK SPORTSが行っているバスケ教室(アカデミー)でも指導していたが、今回のコロナ禍で中学生は地区予選や中学総体がなくなるという事態に。そんな中、Jr.ウインターカップは開催されるということで、「最後にみんなでやりたい」という選手のために、LINK SPORTSのオーナーが昨年6月に作ったのがLINK。川口コーチのもと7人の選手が今回のJr.ウインターカップへの切符を手にした。

 

 しかし今回、実際に会場に来ることができたのは6人。もともと7人でも全国の強豪相手に戦うのは厳しいものがあるが、川口コーチが「僕が見てきた中学生の中でもすごい2人」という#23永徳(190㎝)と#24田中(177㎝)が横浜市立港南中学校(神奈川)との1回戦で大活躍。2人とも左利きで、さらにドライブが鋭くステップも多彩というのが共通項だが、#23永徳は「結構練習して入るようになりました」という3Pも武器で、横浜市立港南中学校では#23永徳が2本の3Pを含む24得点、10リバウンド、#24田中が33得点、10リバウンドというスタッツを残し勝利の立役者となった。※#12崎本や#30河野が要所で3Pを沈めたことも特記しておきたい。

 


190㎝の長身ながら華麗なステップを駆使したドライブを見せる#23永徳


貪欲的にリングを狙う#24田中

 

 続く2回戦は、ミスの少ない緻密で組織的なバスケを展開する秋田市立城南中学校(秋田)の前に、6人で戦うLINKはじりじりと体力を奪われ敗れたが、#24田中が「全国は鹿児島と違って当たりが強かったです。これからは体を意識しながらプレーしたい」と言えば、#23永徳も「今日は全国で通用しなかったので、高校ではもっとうまくなって全国でチームを優勝させられるような選手になりたい」とさらにモチベーションを高めた様子。川口コーチも「今回の経験を鹿児島県のバスケに落とし込んで、もっとやれるというところを見せていきたい」と意気込む。今シーズン、唯一行われた中学生のための全国大会・Jr.ウインターカップで負けたことが、鹿児島バスケの未来予想図を明るいものにするはずだ。

 

このJr.ウインターカップで戦いきって負けたという事実がLINKの選手をさらに強くするはずだ

 

 

写真/JBA

取材・文/高木希武(月刊バスケットボール)



PICK UP