月バスTOPICS

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2021/11/25

【日本郵政 Presents】3x3を支える人たち vol.1『八木亜樹(TOKYO DIME)×岡田 慧(F1 STUDIO)』/気持ちを届ける、想いを託す

いつか都心に国際大会を招致したい

 

 

すべてをなげうって目指した東京2020オリンピック3x3のNTO(国内技術役員)。10年越しで実現した「いつかは自分のバスケコートを」という夢。成せば成る。その言葉を体現する、3x3の世界における縁の下の力持ちの二人が、次なる夢と日本郵政の支援に対する感謝の気持ちを語る。【撮影協力:F1 STUDIO】

3x3を支える人たち vol.2『MC MAMUSHI(バスケットボールMC)』から読む

 

――バスケとの出会い、3x3との出会いはどんな形でしたか?

 

八木 バスケットとの出会いは、小学校の頃に姉がバスケットをやっていた影響で、同じ中学校に行って私もプレーするようになりました。その後高校、大学、卒業してもずっと社会人でやっていました。

 

岡田 僕は小学校の中の良い友だちがバスケを始めるというときに、一人で行くのが不安だからというので呼ばれたのが始まりでした。柏リーブスという強いクラブチームのミニバスで、そこが勉族の前身になりました。

 

 3x3でいうと、今JBAがやっている日本選手権が始まる前に大阪、広島、愛知で開催されたオールジャパン3オン3という大会にプレーヤーとして出て、震災で一度途切れた後、第1回日本選手権として始まったころからスタッフで入るようになりました。

 

八木 私の3x3との出会いは、前々職のときに運営に携わる機会があり、その後TOKYO DIMEのお手伝いをさせてもらうようになりました。その時は保険会社で働きながらDIMEのお手伝いをボランティアでしていたのですが、それがきっかけです。

 

 競技普及の始まりの頃にはジャパンツアーにも出場した経験があるのですが、対戦相手に現役でプレーしている選手も多く出場されていて、すぐに負けました(笑) 

 

――3x3の何が魅力に感じられましたか?

 

八木 3x3は5人制と違って、公園とか人が集まるところでできるアーバンスポーツというところがすごく魅力的だなと思います。DIMEだと渋谷を拠点に活動していますが、そんなに広いスペースがなくてもハーフコートがあればできるというのも良いところです。

 

岡田 5人制よりもタイトルが近い、世界大会が身近だというのもありますね。優勝したらFIBAが開催する世界大会に出られるという道筋を考えると、最短で2デイ勝てば世界大会に出られてしまいますから。「バスケやってます。世界大会に出たことがあります」と言えるチャンスは、3人制の方が近いかなと思うのと、屋外スポーツで、モールなどで行うことが多いので、5人制の目立ちたがり屋さんにもたまらない競技ですね(笑)

 

 

――3x3には今後どんな発展を期待していますか?

 

八木 今は少子化社会で子どもたちが少なく、特に東京の都心部では部活動で5人そろわないような学校もあるので、そういったところの子どもたちに3x3を通じて少ない人数でもバスケットボールの楽しさを知ってもらえる機会を作るような部活支援ができたらと思います。5人制と比べてボールを持つ機会が多く、1オン1の技術を身につけられるので、5人制にも生かせると思います。

 

岡田 今、千葉県と東京都でバスケットボール協会の3x3部門に携わっているので、競技普及はとても大事だと思っています。東京2020オリンピックで広く知ってもらえたところで、それではプレーする機会はいつ、どこにいったら見つけられるのかというのがまだ弱いところです。地域によってコロナに対する敏感さに差があって動きにくかったり、あるいは機械づくりのノウハウがわからなかったりといった問題があると思うので、僕たちはまず都心から競技の機会をたくさん作って、携わる人も参加者も増やしていくことで、各地でまねできるモデルケースを提示できたらいいなと思っています。

 

 また、大会やプレーする場所を作るということに加えて、FIBAとのかかわりで世界大会への予選枠をもらったりもしています。少しでも多く強いチームが世界に出ていける環境を作ることも進めています。2019年には韓国で行われた世界大会(FIBA 3x3 ソウル・チャレンジャー)への出場枠を用意した大会でUTSUNOMIYA BREX.EXEがその枠を勝ち取って出場しました。

 

 パリ2024に向けて2023年にオリンピック予選がありますが、それに出るためには今年と来年が勝負どころ。2022年のポイントがないとアジアカップ、ワールドカップに出られず、オリンピック予選に呼ばれないということになってしまいます。ポイントを得るためにも世界大会への橋渡し、そうしたつながりを一つ増やすことは重要だと思って取り組んでいます。

 

 僕たちの立場でも世界大会への出場ワクを誘致したり、あるいは世界大会自体を持ってこられなくはないです。いつか東京でチャレンジャーをやれたら素晴らしい。宇都宮で一度開催しましたが、都心ではまた別のやり方も考えられるでしょうし、プレーヤーたちにも励みになるでしょう。いつかやってみたいですね。

 

八木 私も世界大会を日本で開きたいという気持ちがあります。DIMEの目標の一つにも「世界一のクラブを作る」と掲げていますので、世界大会に出場するのももちろん重要ですが、DIMEとしては世界大会を渋谷で開きたいなと。それができるように営業とかも頑張っていきたいなと思っています。

 

――日本郵政が3x3の支援に乗り出して3年。縁の下の力持ちとしての存在感や頼りがいはどんなふうに感じていますか?

 

八木 日本郵政は日本の誰もが知る大企業で、たくさんのネットワークや各地の郵便局を通じてバスケットボールを知らない方々にもアプローチしていただけるというところは、ものすごく大きいですね。DIMEでも切手を販売したのですが、渋谷の全拠点にポスターも貼っていただいたり、DIMEの選手達ののぼりを立てていただきました。

 

岡田 競技を運営する立場としては、いろんなところで看板を見かけるだけではなく、ご担当者の方が必ず現場に来てくれます、温かく身近なところにもすごい大企業が来てくれたなというのが素直な気持ちです。すごく前のめりに応援してくれているんですよ! ずっと競技にいたプレーヤーと団体関係者だけだと視野が狭くなりがちですが、第三者的な視点からのご意見や、第三者としてのツテで施策を考えてくださいます。それがすごくありがたいですね。

 

 

――八木さんは普段TOKYO DIMEではどんなお仕事をされているのですか?

 

八木 言ってみれば「何でも屋」なんですけれど、営業と渋谷でのイベント企画を重点にやっています。ほかにも広報もやりますし、何でも! 原宿のポップアップストアで店員もしていました(笑)

 

――東京2020の3x3は、オフィシャルで参加されたそうですね。どんな体験でしたか?

 

八木 私たちはスタッツをつける係でした。これまで日本人が国際大会でつけたことはなかったんですが、2年間ほど研修でその技術を学んで、オリンピックでは実戦の進行中にリアルタイムでスタッツをつけていく作業を担当しました。誰がシュートを打って、何番が外して誰がリバウンドを取ってという経過を逐一伝えていく役割です。

 

 一日4試合程度、10分ずつなので5人制で言うとちょうど1試合分くらいでしょうか。コーラー(プレーを言葉で伝える係)、オペレーター(入力係)、セカンドオペレーター(スーパーバイザーとのやり取りを英語で行う係)の3人一組で進めていきました。私はコーラーの役割でしたが、4試合連続で担当するので大変でした(笑)

 

岡田 スタッツ項目やアシストの定義なんかも5人制と全く違いますからね(笑)

 

八木 選手がどういうプレーをしたかったのかというのもくみ取らなければいけなくて、例えばリバウンドを取ってパスしたのか、単なるティップだったのかをしっかり見て判断するような必要がありました。

 

岡田 しかもそれが個人のポイントに反映されてしまいますからね。

 

――八木さんは一つ夢がかなった後、今後はどんなふうに3x3に関わっていきたいですか?

 

八木 日本でオリンピックを見て、世界大会のレベルをもっと日本の人たちにも見てもらいたいという思いがあります。演出とかも含めて、プレーの迫力もものすごいですし、それを渋谷で開催できるようにしたいというのが今の夢です。

 

 

――岡田さんがF1 STUDIOを作った経緯はどんなものだったのですか?

 

岡田 いつかは自分のコートを持ちたいというのが大学時代から思っていたことだったんです。最初に作った名刺は勉族の名刺だったのですが、そこにも「柏にレンタルコートを」といういつ分があって、ヌマさん(勉族の沼田泰明氏)と地域の議員さんやデベロッパーの方々に会いに行って「コートを作れないでしょうか」と動いていたんです。

 

 その後東京都内に移り住んでイベント運営を仕事にする中で、フェスなどでバスケットボール・コートを出してお祭りを盛り上げるようなことをするようになりました。コートにできそうな物件はずっと探していたのですが、コロナ禍で僕の方がイベントをできなくなった一方で、ここの持ち主だった自販機を取り扱う会社が売り上げ大幅減でここを手放さなければならなくなったんです。

 

――とても思い切りましたね!

 

岡田 普通に空き物件があっても、そこでバスケットボールをやりたいというとハードルもあります。物を置くだけならば傷むことも少ないですが、バスケットボールをすれば壁にボールも当たって劣化しますし、騒音などの苦情もあり得ます。一過性のブームに乗ったスポーツ関連には経営面での信用の点であまり高くないという傾向もありなかなか貸してもらえません。

 

 この物件は、世に出る前にご連絡をいただき、一目見て即決しました。もうこれがバスケットボールに巡ってくることはないだろうなと。有楽町線やJRも通っている新木場から徒歩3分という立地で、この10年間いろいろと構想も練っていたので、夢をかなえるチャンスだと思いました。

 

――八木さんにも同じことが言えると思うのですが、振り返ってどんな思いですか?

 

八木 そうですね、安定した会社からの転換でしたからね! 自分として3x3にずっと携わっていて、本当にオリンピックで初めての3x3でNTOができるというのは、きっかけとして大きかったです。渋谷にあったTOKYO DIME経営のイタリアンレストランで、岡田さん(岡田優介氏=TOKYO DIMEオーナー、B3アルティーリ千葉で現役プレーヤーとして活躍中)に相談したら「夢をかなえられるようにするから、DIMEにおいでよ」と言ってくれて、すごく心強かったですね。

 

――F1 STUDIOの反響はいかがですか? また、この場をどんな場にしたいと思っていますか?

 

岡田 いろんな人が来てくれます。コロナで学校が使えなかった子どもたちも来てくれますし、Bリーグのユースチームや、さまざまな撮影にも使っていただいています。最初の問い合わせはEXILEのLDHだったんです! これまで約10ヵ月間で、“レギュラー”の齊藤洋介をのぞいて撮影の問い合わせだけでも70件以上いただいています。

 

 プレーする用途でも、3x3のプロやストリートボールのチームなど本当にいろいろです。パンデミックで公共施設が使えなかった中で、ここは感染対策を講じてオープンしていましたので、都内の方々に「コロナ禍でバスケットボールを支えてくれた」と言っていただけたのがうれしかったです。

 

――東京2020の3x3はどんな思いでごらんになりましたか

 

岡田 僕もボランティアとしてコートの周りにいましたし、3x3男子日本代表はここで最後の4人に絞る前に練習していました。これまでどちらかというと競技普及にかかわってきたので、強化は遠いイメージだったんですが、あらためて日本の3x3で「世界で戦う組」もあらためて「応援したいと思える機会でした。本当に反響が大きくて、大会期間中から「3x3のイベントをやりたいんですが」という連絡をたくさん受けて、普及発展にも良い機会だったなと思いました。

 

――最後に、東京2020オリンピック一番の思い出に残るようなシーンはどんなシーンでしょう?

 

八木 私は結構日本代表の試合の担当が多くて、喜んでいる暇もないくらいの感覚だったのですが、スロベニアのスタッフの方々と交流しながらオリンピックのスタッツメンバーとして頑張ってこられたことが一番の思い出かなと思います。

 

 今でもインスタグラムでいいねしあったりとかコメントをくれたり、交流が続いています。

 

岡田 男子は同級生でサムシティでも別のチームでやり合った仲の落合知也が、出場して上位入賞ということ自体が思い出になりました。若手に故障者が出て、落合は交代したそうなところでも頑張っていましたね! 女子が最後に負けて試合を終えた後、皆泣き崩れて放心状態になった様子も印象的でした。本当にすべてをかけていた人たちが負けてしまって、周りの誰も、何も言えなくなってしまいましたね。

 

八木 私は女子だとアメリカ代表に勝ったときが、やっぱり一番感動したかもしれません。あの試合での日本代表の動きは完璧と思えるくらいすごすぎて、スタッツをやりながらも感動しましたね。

 

 

八木亜樹

大阪府出身。大企業に勤めながら、東京2020オリンピックの3x3にNTOとして参加する夢を追いかけていたバスケットボール愛好者の立場から一転、渋谷を拠点とする3x3のプロチームTOKYO DIMEに転職。縁の下の力持ちとしてチームを営業面で支えるかたわら、みごとその夢をかなえた。

 

岡田 慧

千葉県出身。ストリートボールチーム『勉族』では“ちゃん岡”のコートネームで活躍したボーラー。いつかは自分のバスケコートを持ちたい」という夢を追いかけ続け、ついに2021年、新木場駅(東京江東区)から徒歩3分F1 STUDIOという3x3専用コートを作ってしまったという有言実行の男。

 

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