月刊バスケットボール5月号

【日本郵政 PRESENTS】Go to Tokyo 2020/3x3男子日本代表 第5次強化合宿で聞く!

 

 

 東京オリンピックで初めて正式種目となった3x3。その大舞台に向けた男子日本代表チームの第5次強化合宿が2月18日から3日間、都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた。

 

 

 今回の合宿は5月に開催されるアジアカップの代表選考が主な目的だが、オリンピックまでを視野に入れながら、ディレクターコーチを務めるロイブル・トーステン氏、そして日本の3x3第一人者である落合知也選手(F/越谷/TOKYO DIME.EXE)に話を聞いた。

 

 

ロイブル・トーステン

(ディレクターコーチ)

 

幾つものハードルを越えてオリンピックを目指す

 

――1か月ぶりの合宿ですが、今回のテーマは?

ロイブル 3月はBリーグのスケジュールの関係で合宿ができません。5月のアジアカップの選手選考を今回の合宿で行わなければならず、その6人を選抜するための合宿になります。選手にとってはとても重要な合宿で、我々スタッフにとっても難しい合宿になります。

 

――今日(合宿初日)は、前半は基礎を重点的に、後半はフィジカルなものも取り入れていましたが。

ロイブル 前回の合宿の反省で、少しボールを止めすぎている印象がありましたので、そのクセから脱却していくために、前半はいかに早くトランジションをかけていくか、そういったファンダメンタルの練習を行いました。後半はもう少し戦略的なものも入れて、「こういった戦術もある」といったものを伝えながら、3x3に発展させていきました。

 

――オリンピックまで半年を切っていますが、どんなチーム作りを目指しますか?

ロイブル 時間はそれほど長くはありませんが、その間に越えるべき幾つものハードルがあります。(開催国枠により)チームとしてのオリンピック出場は確約されていますが、選手個人は必要な条件を満たさなければなりません。6月22日(月)時点の選手の個人得点によるランキングで、トップ10にいなければ選ばれることはできないのです。その条件を満たすために、選手個人がいかにポイントを取れるよう(大会に出場して良い成績を残せるよう)トライするかが重要になってきます。

 

 

――ポイントが届かない選手もいるのではないかと思われますが…。

ロイブル オリンピックでは選手6人をロスターに入れることができます。そのうちトップ10の選手が4人いなければなりませんが、たとえトップ10には入れなくとも、必要最低条件のポイント(54,000ポイント)を取ればロスターに入れることはできます。そこまで、いかに個人得点を上げられるかが課題です。6月22日までにはチャレンジャー等の国際大会もあり、なるべく多く出場することが必要。そうしてポイントを獲得することによって選手としての条件が満たされ、選ばれることができます。そこから先がオリンピックに向けた強化となりますが、そこに至るまでには、越えなければならないハードルは幾つもあるのです。

 

――ポイント獲得のための大会出場についての見通しはいかがですか?

ロイブル 3x3の国際大会のシーズンは4月から始まりますが、Bリーグのシーズンは5月初めまであり(プレーオフ含む)、そこまで大会に出場することはできません。選手が出場できる態勢になってから(6月22日まで)6週間ほどありますので、その時間の中で出場できる国際大会を探して、ポイントが獲得できるようにと考えています。

 

――出場規定としてのポイント制についてはどのようにお考えですか?

ロイブル 例えば、アメリカにはNBAの選手がたくさんいます。もし、ポイントの条件なしにNBAの選手がオリンピックの3x3に出場できるとなれば、比較対象にならないようなチームができてしまうでしょう。しかし、それはルール上、許されていません。そして、それが3x3という競技の興味深いところでもあると考えています。

 

 

 

落合 知也

(越谷アルファーズ/TOKYO DIME.EXE)

 

限られた時間でいかにいいチームを作るか

そこで僕の経験値を生かしたい

 

――1か月ぶりの合宿ですが、今日(初日)の感触はいかがでしたか?

落合 この合宿でアジアカップのメンバーを決めるということで、とても大事なものと捉えています。今日から100%の力を出せるようにひとつひとつ臨むこと。また、ユーロステップなど、3x3ではステップワークのスキルが大事になるので、まだ自分には足りないものをもっともっと練習していきたいと思います。ステップワーク以外では、もっとシュートに絡んでいくこと。今日はみんなに攻めさせようと思ってバランスよくやっていたのですが、実際の試合では自分が攻めないと勝てません。もっと積極的に攻めないといけないと感じました。

 

――あらためて、ご自身の武器とは?

落合 外角シュートを打てて、中でも体を張れること。この2つが自分の強みだと考えています。

 

――その2点に、さらに引き出しを足していこうというものは?

落合 勝負所で、「これを決めたら勝てる!」というシュートは自分が打ちたいと思っていますし、それを決めることで日本の勝利を手繰り寄せられると思っています。そこは自信を持って打っていきたいと思っています。

 

――オリンピック種目になるずっと前から3x3でプレーされていますが、開幕まで半年となった今、オリンピックに対する思いや意気込みは?

落合 まだ代表メンバーも決まっていない段階で、選考レースは毎週続いていますが、その緊張感を楽しんでいます。その中で自分は残れる自信がありますが、残ることだけが僕の目標ではなく、しっかりメダルを獲ることが最大の目標。そこに向けて1日1日、準備したいと思います。もちろん、金メダルを目指します。

 

 

――3x3の豊富な経験を生かして、チームをまとめたり引っ張ったりするうえで意識していることは?

落合 今までの海外や国内で得た経験から、さまざまなシチュエーションにおいて何が生きるかといったアドバイスは、すべて共有するようにしています。それでチームメイトが上達すれば、日本のレベルも上がると思うので。それは自分の使命だと思っています。

 

――3x3に特化した練習は限られた時間・機会になると思いますが、ふだんの5人制の中で意識していることはありますか?

落合 所属している越谷アルファーズでは長いプレータイムをもらっており、外国籍の選手とマッチアップすることも多くあります。そこは3x3に生かせる部分で、自分の武器となっていますが、外国籍選手には外国籍選手がマッチアップすることが多い中で、日本人選手としてマッチアップを任せられているのは、非常にありがたいと感じています。そこで負けずに自分の力を出すことが越谷の勝利に結びつくので、責任重大で、やりがいを感じる部分でもあります。

 

――世界の3x3の中で、日本ならではのスタイルや持ち味とは?

落合 2ポイントをいかに高い確率で、効果的に決めていけるか。強烈なビッグマンがいて1点を確実に取れるわけではないので。あとは、足をどれだけ使って相手を疲れさせて、1点を取りにいけるか。この2つがポイントで、そこができれば確実に勝てると思います。今は選考レースで、個人をアピールしていかなくてはならない時間なので、チームとしての戦術がち密にできないもどかしさもありますが、必ずそういったスタイルにして、オリンピックに仕上げられるようにしていきたいと思います。そのためにも、この合宿で個々の選手の特徴をお互いにしっかり認識しておいて、いざチームを組んだときに、いいチームを作ることができればチャンスはある。そして、そんな限られた時間の中でいかにいいチームを作ることができるかという部分で、僕の経験値が生きると思います。

 

 

――3x3をもっと日本で広めたという気持ちも?

落合 ありますね。自分がいちばん最初からやってきたという自負もありますし、競技としてはまだまだマイナーですが、子どもたちに目指してほしい競技なので。普及活動は自分が現役の選手でいる間にやっておきたいと思っていて、いろいろ考えていることもあります。今の子どもたちには本当にいい環境が提供できると思いますし、3x3をやりながら5人制に生かすというのも、子どもたちの選択肢としてはいいと思います。理想は、3x3のプロ選手を生んで、3x3専門の日本代表を目指す選手、オリンピックを目指す選手を輩出する…それが将来的な夢です。そこに向けて、個人的には活動していきたいと思っています。

 

――今回の合宿は、上は37歳のアイラ選手から、下は21歳の西野選手まで幅広い年齢層の選手が集まっていますが、ご自身の32歳という年齢をどのように捉えていますか?

落合 ベテランのほうだとは思います。でも、世界を見渡すと40歳を超えてもバリバリ活躍している選手もいるので、年齢だけではないとも思います。5人制とはまったく違う競技なので、この競技にマッチしているかという精神的な部分もあります。アイラ選手もすごくエネルギッシュなプレーができますし。自分は32歳でベテランと言われる歳ですが、まだまだ若い選手に負けないように、ガツガツやっていきたいと思っています。

 

――今年はホームである東京でのオリンピックですが、その先のパリも見据えて?

落合 もちろん。僕のキャリアはこのオリンピックでは終わるわけではなく、その後も3x3をプレーし続けます。そして、そのことに僕は意味があると思っています。オリンピックで沈んでしまうことがあるかもしれませんが、やり続けることが、火を消さずに、3x3を盛り上げるために大事なこと。その先のパリもありますが、パリに出場するためにはランキングも上げていかなければなりませんし、すでにずっと先を見ています。

 

 

【3x3男子日本代表チーム 第5次強化合宿参加メンバー】

ブラウン アイラ(F/193cm/大阪エヴェッサ)

小松 昌弘(F/191cm/TOKYO DIME.EXE)

落合 知也(F/195cm/越谷アルファーズ/TOKYO DIME.EXE)

小林 大祐(G/189cm/茨城ロボッツ/UTSUNOMIYA BREX.EXE)

永吉 佑也(F/198cm/京都ハンナリーズ/KYOTO BB.EXE)

藤高 宗一郎(F/190cm/大阪エヴェッサ/EVESSA.EXE)

橋本 拓哉(G/188cm/大阪エヴェッサ)

保岡 龍斗(G/188cm/秋田ノーザンハピネッツ/SEKAIE.EXE)

杉浦 佑成(F/196cm/サンロッカーズ渋谷/TACHIKAWA DICE.EXE)

西野 曜(F/196cm/専修大3年/秋田ノーザンハピネッツ/BEEFMAN.EXE)

※所属は2月3日現在

 

 

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日本郵政 3x3バスケットボール日本代表応援プロジェクト

POST to the FUTURE

 

※次回は2/22(土)、23(日)の第5回3x3日本選手権大会(大森ベルポート)で開催!

 

 

(月刊バスケットボール)



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