月刊バスケットボール5月号

【近畿大会】ライバル対決は大阪薫英女学院が昨年のリベンジV!

 

 6月24〜26日にかけて滋賀県で開催された近畿大会(第69回近畿高等学校バスケットボール大会)。女子決勝は、昨年優勝の京都精華学園と同準優勝の大阪薫英女学院の対戦となった。昨年は大きくリードする京都精華を薫英が後半で猛追する構図となり、最後に逃げ切った京都精華が85-79で優勝を飾ったが、今年も似た展開で試合が進んでいく。

 

 リードを奪った京都精華は、U16日本代表の活動のため、司令塔の堀内桜花とフォワードの八木悠香の2人のスタメンを欠く中、1年生の#16橋本芽依と#18桃井優をスタメンに抜てきし今大会を戦ってきた。

 

京都精華学園#16橋本芽依は思い切りの良い3Pなどを含む15得点

 

 決勝でも、この2人に#14林咲良を加えた1年生トリオが物おじせずにリングにアタックし、インサイドでは#4イゾジェ・ウチェがリバウンドやゴール下のシュートで得点。さらに、3年生フォワードの#5柴田柑菜がチームの潤滑油になる働きで攻防に薫英を凌駕。留学生2人のファウルトラブルがやや懸念材料だったが、薫英のフルコートプレスにも#5柴田がポイントフォワードのように立ち回りながらボールを展開し、2桁のリードを取った。

 

 一方の薫英も#4都野七海を起点としたピック&ロールやセンターの#5仲江穂果が2本の3Pを沈めるなど奮闘するが、チームとしてシュート成功率が上がらず、前半を終えて38-25と京都精華がリードを奪っていた。3Qに入っても京都精華のペースは続き、このクォーター序盤は#5柴田がサイズのミスマッチを突きながら次々にドライブを沈め15点前後のリードをキープ。

 

 しかし、薫英の安藤香織コーチが「前半で相手はファウルを7つ取られていました。向こうはファウルがかさんでいたので『前半はこっちが有利だよ』と伝えていました。点差は十数点開いていましたが、シュートが落ちてるだけだったので」と振り返ったように、ここから試合のリズムは薫英に傾く。

 

攻防に相手を翻弄した大阪薫英女学院#6熊谷のどか

 

 前半から仕掛けていたフルコートディフェンスの強度を上げ、オフェンスでも不調だったシュートが徐々に決まり始めると、3Q残り3分46秒の時点で11点あった点差(46-57)はみるみる縮小。下級生が多いこともあって焦りが見え始めた京都精華は、薫英のディフェンスに捕まり連続ターンオーバーを喫すると、同クォーター残り1秒には#4都野がトップからファウルコールと共に3Pをヒットし、4ポイントプレーを成功。1点差(61-62)まで詰め寄って4Qに突入した。

 

 流れは完全に薫英にあり、4Q開始早々に#9木本桃子の3Pで逆転すると、5分40秒に京都精華#5柴田がスコアするまで約4分間を無得点に封じ込め、68-64と2ポゼッション差のリード。課題のリバウンドでも京都精華の留学生を外へ引っ張り出し、手薄になったインサイドに飛び込んではオフェンスリバウンドを奪ってチャンスを演出。残り1分54秒には#4都野が決定打となる3Pをヒットし、最終スコア84-74でライバルへのリベンジに成功した。

 

大阪薫英女学院のエース#4都野七海は決勝で今大会最多の32得点

 

 安藤コーチは「後半は『やることはやっているし、負けてないよ。むしろ勝ってる』と話しました。やられていたところも、基本的にはやられていいポイントだったし、シュートの本数もウチが勝っていました。『ブロックされてもそれはいい』『合わせも出たし、あとはシュートが入ればいいだけだから。向こうはもう積んでるよ』と。だから、後半は励まして『入らなくてもいいからタイミングよく打ち続けてくれ』っていうことだけ言って送り出しました。それが決まってくるとあれだけ足も動くので」と、我慢の時間帯にも冷静に戦局を見極めて、ここぞのタイミングで一気に流れをつかんだのだ。

 

 京都精華にとっても、敗れははしたものの、主力2人を欠く中で新戦力のステップアップも見られた今大会の収穫は大きなものだったに違いない。それぞれの思惑を胸に、インターハイ本戦までの期間で両者がどのようにチームを仕上げてくるのか注目だ。

 

 

■準決勝以降の結果は以下のとおり

 

<女子準決勝>

京都精華学園(京都) 91-68 大阪桐蔭(大阪)

大阪薫英女学院(大阪)64-41 奈良文化(奈良)

 

<女子決勝>

大阪薫英女学院(大阪)84-74 京都精華学園(京都)

 

各試合のボックススコアはこちら

 

写真/山岡邦彦

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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