月刊バスケットボール6月号

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2021.01.10

NCAA Div.Iノースアラバマ大でスターターとして活躍! - 鈴木妃乃のデビューシーズン(パート2)

カンファレンスシーズン開幕直前から、転入したばかりの鈴木妃乃をスターターに抜擢したノースアラバマ大(以下UNA)のメリッサ“ミッシー”タイバーHC。鈴木に対する期待がどんなものかを聞いた。
取材・文=柴田 健/月バス.com 写真=UNA Lions

 

昨年12月14日の対マレー州大戦で果敢にゴールをねらう鈴木

 

鈴木に自信と信頼を寄せるタイバーHC

 

 1月3日の活躍から数日後、鈴木にこの日の出来栄えと自身の成長についてたずねると「コーチ達のアドバイスやチームメイトのサポートのおかげで、完璧ではないですが自分らしくプレーすることができました」と謙虚な答えが返ってきた。本領発揮はまだ1試合。まだまだここからだという自覚がそうさせるのだろう。

 同じように、ヘッドコーチのメリッサ“ミッシー”タイバーにも鈴木に関する質問を投げかけると、こちらはより素直に、今後の鈴木についての期待感を表現してくれた。ここではそのタイバーHCとのQ&Aを紹介させていただく(鈴木はほかにもいくつかコメントをくれているのだが、その内容は月刊バスケットボール3月号に掲載予定)。

 

――鈴木をアトランティック・サン・カンファレンス(以下ASUN)の開幕スターティング・ファイブに抜擢した理由はなんでしたか? これは大役だし、海外から来たばかりの新人にとってはなおさらだったと思います。
タイバーHC(以下T) その前の対テキサス大チャタヌガ校戦で初スターターを務めてもらいました。コーチングスタッフの側から見て彼女の伸び具合が喜ばしいものだったので、より多くプレー機会を得るに値すると考えたんです。(スターターで起用した)この3試合での成長ぶりは素晴らしかったですね。いろんな経験を積むことができており、(鈴木自身の中に芽生えた)チームをけん引することについての自信がASUN開幕シリーズでの2勝につながりました。

 

――ノンカンファレンスの期間からそのお考えだったんですか? 当初あまり出場機会がなかったと思います。
T ラインナップを変えようということになって、それまでポイントガードのスターターを務めてくれていたジェイラ・ロバーツを2番にしたんです。彼女がそれを好機ととらえ、喜んで受け入れてくれたことで、ヒナをコートに送り込めるようになりました。決断の理由としては、ヒナのディフェンスにおける存在感と、チームメイトに得点機を生み出す能力があります。

 

――(ASUN開幕シリーズの週末の前)彼女とはどんな会話をなさったんですか?
T コーチングスタッフと彼女でミーティングをしました。彼女のお姉さん(現在NCAAディビジョンIIのサウスカロライナ大エイキン校のバスケットボール部に所属している鈴木神乃さん)が通訳してくれたんですよ。そこでの話し合いが彼女にもコーチングスタッフ側にも非常に有意義なものとなりました。

 そこでいろいろとわかったことがあったんです。ポイントガードの仕事について、ヒナの質問にたくさん答えることができ、こちらが彼女にどんなことを期待しているかもわかってもらうことができました。このミーティングが勝利を呼び込むスリーを決めた彼女の週末の活躍を生んだカギだったと思います。この先もまだまだ伸びてくれるでしょう。彼女が伸びれば、私たちも伸びますよ。


――あなたの目から見て、彼女の様子と出来栄えはどこが違っていましたか?
T 一に自信、二に自信、そしてさらに自信! 格別のプレーぶりでした。次々とチームメイトをおぜん立てして、素晴らしいディフェンス、さらに必要な時に自ら得点をねらいにいっていました。見ていて楽しかったですね。

 

――ASUNで2勝0敗、そして司令塔が自分の持ち味を発揮し始めた今、自信のほどはどんなものでしょうか?
T ヒナがやってくれたことがものすごくうれしいです! ASUNシーズンを2連勝で始めることができて本当に良かった。その中でヒナは大きな仕事をしてくれました。若いチームの今後の成長が楽しみでしかたがありません。

 

 鈴木はノンカンファレンス・ゲーム期間中に、なかなか結果を出すことができなかったが、その大きな要因として、コミュニケーションの難しさがあったことがうかがえる。渡米して実戦のコートで結果を出すには、やはり語学力が占める比重もそうとう高いことが再確認できるコメントだ。

 同時に、コーチングスタッフが鈴木の持つポテンシャルを非常に高く評価していることも感じられた。結果の出ていなかった期間に、その原因がバスケットボール以外の要因によるものととらえたからこそ、最大限コミュニケーションができるような環境でミーティングの場を用意しようと考えたはずだ。

 タイバーHCは「もうしばらくはUNAとヒナを取材してくださいね」とQ&Aを締めくくったが、当然そうさせていただくつもりだ。(パート1を読む

 

シーズン開幕前のチーム写真(左からジェイラ・ロバーツ、サヴァンナ・ホルト、ジェイダ・ボンド、オリヴィア・ノア、そして鈴木)

 

(月刊バスケットボール) 



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