月刊バスケットボール6月号
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張本天傑
SF/198 cm
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ[/caption]

 

[東京2020 男子日本代表の横顔]

悲願の最終メンバー選出。フィジカルと器用さで日本代表のアクセントに

 

「まずは今夏の東京オリンピックで最終12人のメンバーに入ることが目標です。そのために合宿の期間から自分のプレーをアピールできるように頑張りたい」

 Bリーグのシーズンを終えた直後、張本天傑はそう意気込んでいた。張本の主戦場であるフロントラインには八村塁や渡邊雄太、馬場雄大ら日本代表の核となる選手が多く、激戦区のポジション。100 %以上の力を発揮しなければ最終メンバーに残ることはできない。彼自身、それを重々承知の上で、サバイバルレースに挑んできた。

 張本の武器は198cm、102 kgの屈強な肉体でインサイドのビッグマンをガードできる点と、アウトサイドから効率よく3Pシュートを放てる柔軟さだ。

 6月末に行われたイラン代表との国際強化試合では4本の3Pシュートを射抜いた。大舞台でも自身の武器が通用することは十分に証明済みというわけだ。メンバー選出の段階で戦ったアジアカップ予選と国際強化試合では試合ごとにロスターチェンジを繰り返す中、張本は常にベンチに入り続けている。これはフリオ・ラマスHCからの信頼を得ている何よりの証拠だろう。

 そんな張本のルーツは中国。中国の元プロ選手だった父の影響でバスケットボールを始め、小学生の頃に日本にやってきた。最初は当然、右も左も分からない状態だったが、明るい性格の張本はすぐに日本になじみ、言語の壁もなんのその。

 高校は宇都直輝らとともに中部大第一高へ進み、当時は全国区の存在ではなかった同校を全国ベスト16まで押し上げた。そこから青山学院大に入学し、世代トップ選手としてプロの世界へ。同世代には田中大貴や永吉祐也といった後の日本代表選手が何人もいたからこそ、日本代表入りへの思いは強く、それだけに今回のメンバー入りは正に悲願。「今までずっと目標にしていたオリンピックに出ることがかなえられ、本当に良かったです」と張本。持ち前のフィジカルとシュート力に加え、機動力の面で各国のスターとどこまで渡り合えるか、八村や渡邊をどこまでサポートできるか。真価が試される。

(堀内涼/月刊バスケットボール)



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