岩手県大槌町に夢のバスケコートを作ろう – 東日本大震災復興支援、花道プロジェクトの決意(3-最終回)

2019年11月開催の高宮杯には県外を含め16チーム、80人が参加し、キャンセル待ちも出たほど盛況だった

 

<後記>コート建設費支援のクラウドファンディング

 被災後の大槌町には、復興推進に関してさまざまな困難な課題があったことを伝え聞く。中でも、大きな揺れと津波により壊滅的なダメージを受けた大槌町役場の旧庁舎を、震災の記憶を伝えるモニュメントとして残すか、あるいは解体してまったく新たな場所として活性化させるかは、住民の賛否と感情がぶつかり合い一筋縄に解決できる問題ではなかったようだ。

 最終的に旧庁舎は2018年から解体作業が始まり、翌2019年3月に完全に解体が完了したのだが、震災伝承という課題にはこれからも取り組んでいかなければならない。花道プロジェクトが建設を進めているアウトドアバスケットボールコートはまさしく、東日本大震災の伝承活動に活用するために行われた旧町役場庁舎跡地の環境整備に伴う計画で、旧庁舎隣接地が建設予定地となっている。

 花道プロジェクトは設立当初、桜木町に桜並木を作ってそこを新しい観光名所にしたいという考えを推進するために、周辺に住む人々にその考えをしたためた手紙を配布した。手紙を配布する活動自体も、県外に住む矢野さんの立場で簡単にできることではないが、地元住民の一人である澤口勝美さんが橋渡しをしてくれたことで、時間をかけて桜木町の裏山に桜並木を作る計画を立てることができ、2013年4月7日に桜並木が現実のものになった。
ボランティアとして地域のニーズを感じ取り、必要と思うことを積み重ねたから得られた信用のたまものだろう。バスケットボール面の運営でも、その信頼を土台として2012年から現在までの9年間に開催した桜木カップをはじめとする大会に、のべ2,700人もの愛好者を集めることに成功した。その収益で建設費も約280万円を用意することができている。
しかし目標とする1,000万円には遠く及んでいない。新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、計画した大会を一度も開催することができなかった昨年は、収益を生み出すことができなかった。
そこでコート建設費の不足分を集めるために、花道プロジェクトは2月19日から90日間のクラウドファンディングを開始している。このファンドの支援者は、全員の名前が記念碑に刻まれるという。
コートの使用料は取らない。誰もがスペースをシェアして楽しめるようハーフコートを2面作る意向だという。立地が良いため、周囲にボールが飛び出さないように囲いも必要になるようだ。ここでプレーする人はまさしくケイジャー(Cager=囲い網の中でバスケットボールをプレーする人を指す言葉)ということになる。
自分の名前が刻まれたコートで1本ショットを成功させて、三陸のおいしい海の幸をいただく。そんな旅路も思い描けるクラウドファンディングの締め切りは2021年5月20日(木)、コートのオープン予定は10月1日(金)となっている。

 

花道プロジェクトの大槌町役場旧庁舎跡地隣接区域バスケットボールコート建設費支援
クラウドファンディング申し込み↓↓↓
https://readyfor.jp/projects/hanamichi1031

 

問い合わせ: 花道プロジェクト
電話: 090-4651-1055(担当矢野)
公式サイト: http://hanamichi.info/

 

写真・画像/花道プロジェクト

取材・編集/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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