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2021/03/10

岩手県大槌町に夢のバスケコートを作ろう – 東日本大震災復興支援、花道プロジェクトの決意(2)

甚大な被害に遭い困難な状況と日々直面しなければならない人々が暮らす大槌に県外から足を運び、現地で活動を起こして軌道に乗せるには、地域の信頼が必要条件だ。花道プロジェクトの活動の土台にも、立ち上げ以前のボランティア活動での体験が重要な意味を持っている。広島県福山市在住で地元と震災体験を共有できない矢野さんが、気持ちだけ持ち込んでも物事はうまくいかない。それはどのようにして培うことができたのだろうか。さらに矢野さんの手記を続ける。

 

花道プロジェクトのメンバー(右端が矢野さん)

 

 震災から2ヵ月半後の2011年5月27日から6月2日までの期間に、ボランティアセンターで最初に従事させていただいたのが桜木町(岩手県上閉伊郡大槌町桜木町)などのエリアでした。家屋整理(床板はがし、床下の清掃等)が一日、その後は避難所での夕食作りでした。
 東北3県(岩手県、宮城県、福島県)のうち個人ボランティアを受け入れてくれるところは、私の知る限り岩手県遠野市のボランティアセンターしかなかったため、選択肢はありませんでした。私と同じように個人で参加されていた人がたくさんいました。
 小さな町内でも避難所によってニーズはそれぞれに細かく違い、現状確認した状態で帰福し、大槌に行かなくても福山からできるお手伝いがあるということを社長に説明し、会社として精力的に支援に乗り出すことになりました。
 きっかけは避難所の休憩時の一コマになります。基本的にボランティアセンターでは、被災者に直接語りかけないことがルールでした。それは素人がうかつに物を言って2次被災を起こすことを避けるためだったのですが、避難所で夕食作りとなるとある程度コミュニケーションを取らなくては献立や量など決めることができないため、少し他愛もないお話をできる環境にありました。
 当時の現地の食糧事情はあまり良いものではなく、栄養価も偏った材料しかないと感じていました。そこで、作業が終わって現場を離れる前に被災者の皆さんと一緒に休憩を取らせていただいた際、「何か欲しい食材ってあります?」とお聞きしたら、間髪入れずに帰ってきたのが「ロースハム! ベーコン!」という答え。私の勤務先はなにしろお肉の卸が母体の会社なので、「皆さんが欲している食材はお届けできます」とお伝えしたところ、直接避難所に搬入日を伝えてくれたら受け取りが可能という話になりました。直接ニーズをお聞きできたことで、「ここへ来られなくてもできることがある」と分かったのです。一気に元気が出ました。
 それから7月末の避難所解散まで5ヵ所の避難所にさまざまな応援物資を会社としてお届けしましたが、仮設住宅での生活開始に伴い同じ形での支援ができなくなってしまいました。そこでもう一度、今後はどんな形の応援ができるかを知るために8月17日から3週間ほど、初のクルマ移動で2度目のボランティア活動に従事しました。
 この時は仮設住宅(全48ヵ所)の談話室みたいなところで「お茶っこ」というサロンを開催して、突然ご近所さんになられた皆さんの新しいコミュニティー作りのお手伝いをするというものでした。おばあちゃんたちがたくさん来られるのが常でしたが、私より年の若いママたちが仕事を無くし、時間を持て余している状況が気になりました。これから子育てで一番お金のかかる時期に仕事が無いというのがとても気になったのです。
 3週間遠野の体育館で寝泊まりしている間も常にどうしたらいいのかずっと考えていましたが、弊社商品のコロッケをテイクアウトで販売するお店を作れば、幾人かの雇用ができるかもしれないという考えが浮かびました。
 同時に、例の桜木町でのアイデア(桜の植樹とバスケで町おこしをするアイデア)がムクムクと湧き出してきたのですが、私が思っていることを行動に移そうと思っても、当時のボランティアセンターを頼って活動する限り実現できないと思い至りました。
 河谷秀行君と知り合ったのはこの2度目のボランティア活動中でしたが、彼とたまたまボランティア活動最終日が一緒になり、彼の就職先の仙台までクルマで送ることになりました。お互いを「監督」、「姉さん」というニックネームでしか知らない間柄で、本来ならそのまま二度と会うこともないはずでした。
 その後、持って帰ったアイデアを会社で検討した結果、大槌町内にコロッケ屋さんを出店するということになり、その相談のため10月に再度遠野に向かうことになりました。
 私は河谷君に連絡して、一緒に行かないかと声を掛けました。そして花道プロジェクトの構想を相談し、まずは2人でやろうと決まりました。(パート3に続く)


花道プロジェクトの大槌町役場旧庁舎跡地隣接区域バスケットボールコート建設費支援
クラウドファンディング申し込み↓↓↓
https://readyfor.jp/projects/hanamichi1031

 

問い合わせ: 花道プロジェクト
電話: 090-4651-1055(担当矢野)
公式サイト: http://hanamichi.info/

 

三陸海岸ののどかな海に昇る朝日2015年、大槌町吉里吉里の民宿サトウ前から撮影) 写真/柴田 健

 

取材・編集/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール) 

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