【FIBAWC現地レポート】10人で臨んだ17-32位順位決定戦はニュージーランドに完敗

 

 FIBAワールドカップ2019の1次ラウンドを3敗で終えた男子日本代表は、舞台を上海から東莞へと移し、9月7日、ニュージーランドとの17-32位決定戦に臨んだ。ニュージーランドは、今大会の直前にも日本国内で強化試合を2試合行い、1勝1敗で星を分けた相手。どちらが勝ち越すのか決着が付く対戦ともなったが、結果は111-81の完敗。スターターの#8八村、#7篠山の欠場も響き、実力差以上に点を離される厳しい試合となってしまった。

 

 試合前、フロアに姿を現した選手たちには、どこか重苦しい空気がまとわりついているように見えた。無理もない。1次ラウンドで3連敗となり、目標の“ヨーロッパ勢からの1勝”をかなえられなかった2日後である。その上、エースの八村もケガの関係やNBAのシーズンを見据えてチームを離脱し、篠山もアメリカ戦の負傷で欠場となった。アップの際、篠山が声を出して仲間を鼓舞していたが、前の3試合に比べ、シューティングをする選手たちの間には笑顔も会話も少なかった。

 

 試合が始まると、相手に気持ち良く3Pシュートを決められ、開始5分で22失点。ただ、そこからディフェンスを修正し、オフェンスでは#22ファジーカスが奮闘して結局1Qは29-29と立て直すことに成功した。それでも2Q、日本がイージーシュートを決め切れなかったのに対して、ニュージーランドは速い展開から得点を重ねてリードを広げていく。結局前半を終えて16点差。後半、控え選手たちも意地を見せ、フリースローでコツコツと得点した日本だったが、ディフェンスで後手に回って点差を縮めるには至らず。81-111の30点差で試合終了となった。

 

 

 終わってみれば、ニュージーランドに18本の3Pシュートを決められた。世界のトレンドでもあるが、相手はポジション関係なく3Pシュートを打ってくるスタイル。後半ゾーンディフェンスを使う時間も多かった日本がチェックに走り出ても、長身選手たちには届かず、やすやすと打たれてしまった。相手の3Pシュートは試合前から警戒していたこと。だが分かっていても、止められなかったのが現実だった。「ニュージーランドは全ての試合で3Pシュートを打ってきている。それは昔からの相手のスタイルであり手強い。そのスタイルを知っているにもかかわらず、止められなかったのは我々の問題」とラマスHC。

 

 試合後、#12渡邊の声は悔しさに震えていた。「僕自身、もっといろんな役割をしなければいけないと意識して試合に入りましたが、チームとしても全然機能せず、何もできませんでした」。そして「最後は相手も遊んでプレーしていました。恥ずかしい試合をしてしまったと思う」とも。2人の欠場者を言い訳にせず、自分たちのふがいなさに唇をかんだ。

 

 ラマスHCは「ワールドカップ前と現在とでは、全く違う状況にある。ただ厳しい状況であっても、結果を求めていかなければいけない、最後の試合でできれば1勝を挙げて終われるようにしたい」とコメント。苦しい状況にある今こそ、“日本一丸”となって結束して相手に立ち向かう時。モンテネグロとのラスト1試合、全てを出し切れた先に、収穫があるはずだ。

 

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(月刊バスケットボール)



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