バスケ男子日本代表、チャイニーズ・タイペイ戦は紆余曲折の末に大勝

 試合後の会見で、ラマスHCは「今日の我々は大きなアップダウンがありました」と振り返った。この言葉どおり、第1Q序盤は最高の出来、以降第2Q半ばまでは谷底に落ちたような出来と言える。ネガティブな点を言い表すには、これで十分だろう。19日の中国との2試合目では同じことは絶対に許されない、という意識につながったからこそ、後半は安心してみていられる展開になったのだ。
チャイニーズ・タイペイのアシスタントコーチを務めるチェン・チールン(CHENG Chih Lung)氏は「大会2試合目で前半に食らいつけたのは、若いチームにとっては収穫。母国のファンにも喜んでもらえたのではないかと思います。将来に向けて明るい材料です」と話している。

 

ラマスHCは19日の中国戦でロシターを起用することも明かしていた(写真/©JBA)

 

中国戦に向けた好材料

 

 底なし沼から這い上がって、その足で見晴らしの良い丘の上まで駆け登ったような波の大きな試合だったが、日本にとっての好材料がいくつも提示された。インサイドでどれだけ支配できるかという意味では、エドワーズとシェーファーがサイズのアドバンテージをフルに発揮できていた。エドワーズはゲームハイの21得点に4リバウンド、ゲームハイ・タイとなる6アシスト、そしてブロックも2つ記録。19日の中国戦ではエドワーズに変わってロシター ライアンが登録されるが、東京オリンピックに向けたロスター選考において、帰化枠の選考に対する自信はより高まっただろう。
シェーファーは11得点に10リバウンドのダブルダブルで、±が田中の38に次ぐ36。試合後のズーム会見では「スピードなどいろいろな要素があるものの、単純にフィジカルだけなら中国ともやりあえる」とフィリピンでの2試合で自信をつけている様子だった。
シューティングに関しては、比江島が前半終了間際のブザービーターを含めフィールドゴール5本(うち3Pショットは3本)とフリースロー2本すべてを成功させ15得点。金丸は前半、目のあたりに相手の肘が入りベンチに下がった時間帯があったが、後半は元気に登場して最終的にフィールドゴール6本中5本(3Pショットは5本中4本)を成功させ14得点という数字だ。2人合わせて1本しかミスがなく29得点というデータは、中国にとって刺激的だろう。

 

シューティングが好調な金丸。中国はいっそうプレッシャーをかけてくるだろう(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)


プレーメイクの点では、長身の田中がポイントガードの役割を請け負い、安定した活躍を見せた。自身は3得点のみだが、前述のとおり±がゲームハイの38だった。篠山も、谷底の時間帯で犯したアンスポーツマンライク・ファウルはまったくいただけないが、フィールドゴール2本(うち3Pショット1本)とフリースロー2本すべてを決めて7得点を挙げる一方で、ゲームハイ・タイの3スティールと攻守両面で存在感を示した。ベンドラメも篠山同様に、第1Qの締めの時間帯のターンオーバーは大きな反省材料だが、5得点に加え5リバウンド、そしてエドワーズに並ぶゲームハイ・タイの6アシストでチームを助けた。

 

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試合感覚も一段と高まり、やるべきことへの意識も高まったところで迎える中国との決戦。相手も初戦とは異なる状況で向かってくる。
17日に行われたチャイニーズ・タイペイとの試合で中国は、日本との初戦ではほとんどプレーしていなかった身長225cmのセンター、リュウ・チュアンシン(#13 LIU Chuanxing)を10分以上プレーさせた。スタッツとしてはフィールドゴール8本中6本を成功させ、フリースローも4本とも沈めての16得点と9リバウンド。非常に堅実だった。ポストでポジションを取ったリュウにボールが入ったら、もう止めることはできない。

 

17日の試合でフリースローを放つリュウ。指の高さはほとんどリングの高さだ…(写真:©SBP/FIBA Asia Cup)


中国代表のドゥー・フェン(DU Feng)HCは、チャイニーズ・タイペイを115-66で破った後の会見で、「リュウはまだ若く、日本との試合ではあまり出すことができませんでした。非常に大きいプレーヤーで、中国代表での試合は今回が初めてです。ですから経験を積ませたいというのがコーチとしての思いですね。今日は非常によくやっていました。16得点しただけでなくペイントでのポストに対するディフェンスも頑張っていました。今後が楽しみで、最大限伸びていってほしいプレーヤーです」と期待を寄せていた。
中国のフロントラインでは、日本との初戦でスターターとして登場したシェン・ジジェ(#14 SHEN Zijie/C、211cm)が、チャイニーズ・タイペイとの試合の前半に足を負傷している。ドゥーHCは「次戦以降も大丈夫。プレーできると思います」と会見で述べてはいたが、実際にどうかは情報がない。19日にはリュウが初戦より多くの時間コートに立つ可能性もある。
とはいえ、誰が出てきても大きな中国に、調子を上げている日本がどう対抗するか。日本にとっては今大会最終戦の中国との一戦は、19日の15時30分にティップオフを迎える。

 

FIBAアジアカップ2021 予選・フィリピン大会男子日本代表
6月19日(土) 中国戦メンバー
※プロフィール内容は氏名、ポジション、身長(cm)/体重(kg)、所属の順

ロシター ライアン PF 206/107 宇都宮ブレックス
富樫勇樹 PG 167/65 千葉ジェッツ
辻 直人 SG 185/82 川崎ブレイブサンダース
比江島 慎 SG 191/88 宇都宮ブレックス
篠山竜青 PG 178/78 川崎ブレイブサンダース
竹内公輔 PF 207/100 宇都宮ブレックス
安藤周人 SG 190/89 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
金丸晃輔 SG 192 /88 シーホース三河
田中大貴 SG 192/93 アルバルク東京
シェーファー アヴィ幸樹 C 206/107 シーホース三河
渡邉飛勇 PF 207/106 カリフォルニア大学デービス校大学院1年
張本天傑 SF 198/102 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

☆平均身長193.3cm/平均体重92.1kg 平均年齢29.1歳

 

☆FIBAアジアカップ2021予選における男子日本代表試合日程および放送・配信予定

※最新情報と詳細は各放送局公式サイト、大会公式サイト等で確認のこと

 

6月19日(土)15:30 中国 vs 日本
LIVE:CSフジテレビNEXT、DAZN

LIVE & キャッチアップ:DAZN

録画:フジテレビ(地上波)6月21日(月)25:25~

 

・フジテレビ バスケットボール
https://www.fujitv.co.jp/sports/basketball/
・DAZN アジアカップ予選
https://www.dazn.com/ja-JP/sport/Sport:ayp4nebmprfbvzdsisazcw74y

 

JBA大会特設サイト:

 https://asiacup2021-qualifiers.japanbasketball.jp/

FIBA大会公式サイト:

 http://www.fiba.basketball/asiacup/2021/qualifiers

 

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取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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