バスケ男子日本代表、中国戦で得られた収穫

 比江島は金丸とは異なるタイプのオフェンスで得点を生み出した。一見苦しんでいるように見え、実際苦しんだとも思うが、辛抱強く攻め続けた点を評価したい。

 厳しいプレッシャーの中で、しぶとく自分のリズムを見出して打ち切った結果が金丸と並ぶチームハイの12得点。攻め気があればこそ、ターンオーバーも6つあったが、終盤に調子を上げたのは好材料だ。

 ただ、得点源が一定以上の仕事はしたが、チームとしての効率は悪かった。オープンショットで普段なら決まっているようなケースでも何本もミスになっていた。これもやはり久方ぶりに海外で行う代表戦の魔力か…。

 

楽なプレーをさせてもらえなかった中で12得点を挙げた比江島(写真:SBP/FIBA Asia Cup Qualifier)

 

 今大会直前合宿中のズーム会見で、篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)が、ディフェンスを広げるためにピック&ロールを高い位置から試みるアイディアについて話していたが、この試合では中国の厳しいトラップに、ピック&ロールが崩れるような場面がたびたびあった。ただ、ボックススコアでアシストに目をやると、安藤誓哉(アルバルク東京)の4本を筆頭に富樫、ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)、エドワーズが3本ずつ。篠山が語ってくれたアイディアがどれだけ意図されていたかはわからないが、これらの何本かはコートに立った司令塔が高い位置でプレッシャーをかけてくるのを承知でリスクをうまく抑えた結果のようにも感じる。
いずれにしても、指揮官が触れたPPP0.7を改善させるためには、チームとしての33.9%というフィールドゴール成功率は改善したいところ。今大会はアテンプトより効率重視と話した金丸が実際にやってみせたような堅実なパフォーマンスを、チームとしてどれだけできるか。
初戦で日本は一度もリードを奪うことができず敗れたが、さまざまな確認ができたはず。この一敗をネガティブに引きずる必要はまったくない。収穫を手に前進あるのみだ。

 

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文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボ―ル)



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