バスケ男子日本代表、中国戦で得られた収穫

張本を跳ね飛ばしてドライビングレイアップを決めるジョウ。ゲームハイの16得点を挙げた(写真:SBP/FIBA Asia Cup Qualifier)

 

 試合後の会見でフリオ・ラマスHCは、中国の#1ウー、#4ジャオ、#10ジョウを抑えることを試合前に一つの目標としていたと語った。結果としては#1ウーが4得点(FG2/8、3P 0/5)、5リバウンドに4アシスト、#4ジャオは6得点(FG2/4、3P 0/2)に4リバウンド、7アシスト、そして#10ジョウはゲームハイの16得点(FG6/12、3P 4/9)というスタッツになった。
指揮官が相手の核と見る3人に、少なくとも爆発的な活躍を許さなかった点は評価できる。ラマスHCはディフェンス全体について、「攻撃機会1回あたりの得点(PPP=Points Per Possession)を0.9にできたことは高く評価すべき」と話した。

 中国のショットチャートを確認すると、徹底して3Pショットとペイントでのアテンプトにこだわっていることがわかる。ただ、試合を通じて3Pショット成功数が5本のみ(アテンプトは28本)だったのは、中国側の不調だけが要因ではないだろう。日本代表のペリメーター・ディフェンスは一定の効果を上げた。前述のバックコートの2人、#1ウーと#4ジャオは0/7だ。

 ただし、せっかく落としてくれたミスショットのリバウンドを10本奪われた。ラマスHCは中国のフロントラインについて「予想以上に強かった」と印象を述べ、31-42と上回られたリバウンドを反省点に挙げていた。高さの強みを生かしてくらいついてくる中国のリバウンドに、日本側も40分間対応し続けるタフさが必要だ。

 日本側のトップリバウンダーは張本とエドワーズで6本。エドワーズは8得点、6リバウンド、3アシストに2スティールとオールラウンドな数字を残したが、ファウルトラブルで最終的に退場となったのは痛かった。最後まで思い切りプレーできる状況であれば、リバウンドでもっと貢献できたに違いない。

 

日本代表デビューを果たしたエドワーズは、ファウルアウトしたものの攻守に奮闘していた(写真:SBP/FIBA Asia Cup Qualifier)

 

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また、リバウンドを含めたインサイドプリゼンスという意味で、渡邉飛勇(カルフォルニア大学デービス校大学院1年)の終盤の活躍は明るい材料だ。帰化枠のエドワーズについては、ラマスHCが「フィリピン入りした17人をうまく使いたい」と、トライアウト的な意味も含め全員起用する方向のコメントもしているので、残る2試合ではロシター ライアン(宇都宮ブレックス)ファジーカス ニック(川崎ブレイブサンダース)を試す公算が強い。しかし3人のうち誰が出場するにしても、リバウンドで大きな貢献を期待されることは間違いない(追記:18日にファジーカスはフィリピン入りのメンバーに含まれていないことを確認)。
中国との再戦のみにフォーカスすれば、225cmのセンター、リュウ・チュアンシンというXファクターにも注意が必要だ。まだ21歳のリュウはこの日は2分に満たない出場時間で得点もリバウンドもなかった。唯一の得点機にはゴール下でいわゆる“バンザイ”状態でターンオーバーを犯すなど、若さが悪い方向に出ていたように思える。ディフェンスのローテーションで張本のドライビングレイアップに対応できず、張本がアンドワンのフリースローも含め3得点を奪う場面もあった。このプレーを最後にリュウはベンチに下がり、以降出場はなかった。
こう書けば大したことはない印象になるかもしれないが、マッチアップしたシェーファー アヴィ幸喜(206cm)よりも頭一つ、幅一人分大きな印象だ。しかもよく走り、スクリーナーとしてアクティブに動く。乗せてしまったら大変な脅威だ。

 

金丸晃輔、比江島 慎の本領発揮はこれから

 

 オフェンス面についてラマスHCは、日本のPPPが0.7だった点を挙げて、「目標値を下回った」と話した。
個別の得点面ではロングレンジを中心に12得点を挙げた比江島(FG4/8、3P 4/7)と金丸(FG4/7、3P 3/4)、そして中からも外からもしぶとくゴールを決め11得点を挙げた張本(FG4/12 3P 2/6)の3人が2ケタ得点(金丸はリバウンドも5本あり、±でも+10だった)。

 

金丸の正確なシューティングは日本代表のの終盤の反撃を大いに勢いづけた(写真:SBP/FIBA Asia Cup Qualifier)


金丸の3Pショットは一瞬のスキを突くような、ボールを持ってからのリリースが非常に速いショットで、中国側から見れば「持たせてはいけない」という脅威の意識がいっそう高まったことだろう。非常にタイトなディフェンスをされていたが、まさしく一瞬で3得点を奪ってしまう。それだけに相手に与えるメンタルなダメージも大きい。

 チャイニーズ・タイペイも中国もいっそう厳しくディフェンスしてくるだろうが、それはシューターとして金丸も承知のこと。Bリーグの実力を遠慮なく世界に見せつけてほしい。

 

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