男子日本代表

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2021/06/15

バスケ男子日本代表FIBA Asia Cup 2021予選展望(3) - エドワーズ、ロシター、ファジーカスの存在

 2年前、日本がFIBAワールドカップ2019(以下WC2019)出場権を手にする過程で欠かせない存在だったのが、帰化手続きを済ませて代表に加わったファジーカス ニック(川崎ブレイブサンダース)だった。もちろん、八村 塁(ワシントン・ウィザーズ/当時はゴンザガ大学)と渡邊雄太(トロント・ラプターズ/当時はメンフィス・グリズリーズとの2ウェイ契約)が予選半ばから参戦したことが最大の要因と言えるだろうが、ファジーカスのオフェンスにおける安定感がなければ、WC2019予選突破はまた一段、別の次元で困難なものだったに違いない。

 

 2018年6月29日に千葉ポートアリーナで行われた、オーストラリア代表相手のWC2019アジア予選の一戦は象徴的だ。あの夜、日本代表が79-78の劇的な勝利を手にすることができたのは、ゲームハイの25得点を挙げたファジーカスと、それに次ぐ24得点を挙げた八村が、フロントラインでそれまでにないフィジカリティーを発揮したことが最大の要因だった。

 

 2人とも、また2人を軸にチームとして最大限の努力を40分間やり切った全員が素晴らしかった。しかしファジーカスがかけていたら、それまで泥沼と言える4連敗を喫し予選敗退の崖っぷちだった日本代表の空気を一転させられたかどうか、はなはだ疑わしい。

 

 今回フィリピン入りするメンバーには、そのファジーカスに加え、昨年2月に行われた今予選会の初戦で日本代表デビューを果たしたロシター ライアン(宇都宮ブレックス)と、今回初めて代表戦に臨むエドワーズ ギャビン(千葉ジェッツ)が含まれている。どの試合に誰が出場するかは、現地での判断と手続きを経て決定される。しかしこの3人のうち誰が登場しても、所属クラブでの活躍ぶりから考えても実力の点では不思議はない。


 しかし異なる環境で戦う代表活動でどこまで本領を発揮できるかは、これもまた一つの注目点だ。特に今回初めて代表戦に臨むエドワーズは、自分らしさを表現できるかどうかが試される。


 合宿中のズーム会見でエドワーズは、「日本はとても居心地がいいです。初めて来日した時から、自分の性格とお互いをリスペクトしあう日本の文化がすごくあっているなと感じていました」と、日本の文化と自身の相性の良さを語った。Bリーグ期間中のインタビューでも常に丁寧で、自身の活躍に対して謙虚な視点で語ることが多いエドワーズの姿勢は、チームメイトとのコミュニケーションに役立っているようだ。「自分を変えずにいられるのはとてもうれしいことです」と話すのを聞けば、ケミストリー面の問題は心配なさそうだ。となれば代表のユニフォームでも力強い活躍を期待したくなる。


 代表活動では、マッチアップする相手の誰もが母国を背負う最強プレーヤーと捉えているという。しかしそれも自身を高める要素だと言い、オリンピックでプレーできる可能性も含めた大きな挑戦に強い意欲を見せる。会見の締めくくりでは「日本を代表してプレーできることを光栄に思っています」と誇りと闘志を言葉にしていた。あとはコート上でそれを証明するだけだ。

 

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「日本代表候補入りは誇り」と語ったエドワーズは、フィリピンで実践デビューのチャンスを迎える

 

 ロシターは前述のとおり、昨年2月の対チャイニーズ・タイペイ戦で代表デビューをすでに果たしている。しかもその試合では17得点、19リバウンド、7アシストという大活躍。これら3項目はすべてゲームハイ(得点は金丸とタイ)だった。チャイニーズ・タイペイには、ロシターの強さと柔軟性に対抗する手段はなかったのだ。


 日本でのプレー歴も長い上に代表での経験も得たロシターは、帰化枠の3人の中でもリーダーシップについて自信を持っていると語った。同時に、その能力を発揮するためにも「まずコート上で自分が頑張らないと」と気を引き締める。「そうでないと誰かに何かを要求などできませんからね。ディフェンスでもうまくローテーションして一つ一つのポゼッションで頑張りたいと思っています」


 その上で、人を引っ張っていくのには、それぞれの特徴を知ることが大事と言い、「相手によっては強めの言葉もかけますし、冷静に落ち着いて話しかけたり、いろんな形でやり取りをします」と話した。インタビューでの受け答えこそ英語だが、ロシターは相当部分の会話を日本語で理解できている様子だ。言葉の壁も心配する必要がない上に実績もある。中国と2試合戦う今回のチャレンジにも自信を持っている様子だ。

 

ロシターは「所属が違っても、もう長くやり合っているのでお互いを良く知っています」と代表のケミストリーに自信をみせた


 今大会で帰化枠として出場できるのは各試合で1人だけ。しかし登録プレーヤーを毎試合変更できるので、彼ら3人がどのような形で起用されるかはわからない。東京オリンピック向けの最終選考にはファジーカスは入っておらず、ロシターかエドワーズのどちらか1人だけが選ばれるが、これもまだまだわからない。

 

 言葉と文化の壁を乗り越えて日本代表の期待と誇りを背負う3人の立場を思えば、通常の試合以上に難しいアプローチになることも推察される。誰がどのような形で出場するにしても、ぜひ心身ともベストコンディションで臨み、活躍してほしいと願うばかりだ。

(パート4に続く)

 

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取材・文/柴田 健(月バス.com)

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