月刊バスケットボール6月号

バスケ男子日本代表FIBA Asia Cup 2021予選展望(1) - 今後を占う試金石となる6.16対中国戦

 FIBA Asia Cup2021予選を控えたバスケットボール男子日本代表は、6月13日にフィリピンに向けて日本を離れ、16日(水)から現地で同大会グループBの3試合を行う予定だ。対戦相手は16日(水)の初戦が中国、18日(金)がチャイニーズ・タイペイ、そして翌19日に最終戦で再び中国と相まみえる。

 中国は最新のFIBA世界ランキング29位で、日本(同42位)からは格上。チャイニーズ・タイペイは同67位だ。
FIBA Asia Cup 2021の本戦は、東京オリンピック直後の8月16日(月)から28日(土)にかけて、予選を勝ち上がった16チームを集めインドネシアで開催される。今回日本が戦う予選は24チームから8チームを振り落とすステップで、参加チームを4チームずつ6つのグループに分けてリーグ戦を行っている段階だ。各グループの上位2チームには本戦出場権が与えられ、3位となった6チームはあらためて最終予選を戦い、本戦出場の4チームを決する。
各チームと2試合ずつを行うグループ戦において、日本は昨年2月にチャイニーズ・タイペイとの初戦に96-57で勝利している。今回、日本と同じグループBのマレーシアとの試合は組まれていない。マレーシアが今大会を棄権するとのFIBAアジアからの発表はないが、今後、マレーシアと日本の試合が組まれるかどうかも今のところ未確認だ。大会公式サイトにはグループBで上位3チームが決している旨の記載がない。しかし一方で、フィリピンでの予選会に参加している3チームから上位2チームが決するとも解釈できる展望記事も掲載されている。
その解釈に立てば、日本はフィリピンで本戦への道を閉ざされる可能性はない(3試合全敗の場合も最終予選出場)。逆にフィリピンで2勝以上して通算成績を3勝1敗以上にすれば、2位以上での本戦出場が確定。仮に1勝しか挙げられず通算成績が2勝2敗となっても全体の流れと内容によって2位以上に入る可能性がある。
こうした大会動向が重要なのは当然なのだが、それと別に今後の男子日本代表が長期的な意味合いで自信を深めていくという意味でも、初戦の中国との試合には大きな意義がありそうだ。
日本代表が海外組抜きで中国と戦う場合は特に、得点面で懸念がある。WC19ではチームとしての平均得点が66.8に対し渡邊雄太(トロント・ラプターズ)が15.6得点、ファジーカス ニック(川崎ブレイブサンダース)が14.4得点、八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)が13.3得点、そして馬場雄大(メルボルン・ユナイテッド)が9.2得点。この上位4人からファジーカスを除く海外組3人は得点全体の57.0%という計算になる。今回はのメンバーでこのバランスがどう変わるか。
日本代表ヘッドコーチを務めるフリオ・ラマスは代表合宿中の会見で、この点を踏まえた対中国戦の展望を以下のように語った。
「この4年間指揮を執って、初めて中国と対戦することになります。この地域では1・2を争う代表チームですし、しっかり競ってできれば勝ちたいですね。ただ、得点に関してはっきりしたことは言えないのが正直なところです」

 

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合宿中のズーム会見でラマスHCは、中国との対戦に「期待も自信もある」と語った

 

 やってみないとわからない――実際にそうなのだろう。「16日の初戦で、中国に対する我々の位置がわかるでしょう。今の段階では、中国がフルロスターで臨むかどうかもわかりません。時期的な観点からは、中国は今大会後のオリンピック最終予選(6月29日[火]から7月4日[日]までカナダのビクトリアで開催)に向けた準備をしているでしょうし、その一環として今大会でそのロスターを試すのではとは思っています」
だとすれば間違いなく中国は最強の布陣だ。「我々には久しぶりの実戦で、相手にとって不足のない中国。期待も自信も持っていますよ」とラマスHCは続けた。具体的にどんな自信かは図りづらい。しかしやってきた取り組みに対する手応えは感じられているだろうことが伝わってくる。
中国との試合では、日本代表が世界を相手に戦うメドがどれくらい立っているかが示される。良い内容を出せれば、チームとして大きな自信を持ち帰ってくることができるに違いない。

(パート2に続く)

 

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取材・文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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