月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2021.03.13

川崎ブレイブサンダースが天皇杯優勝! 昨年の悔しさを胸にチーム全員で戦う

 3月13日、さいたまスーパーアリーナで宇都宮ブレックスと川崎ブレイブサンダースによる天皇杯決勝が行われた。Bリーグ初代チャンピオンである宇都宮は、今シーズン最も安定した戦いを見せてきているチームで、準決勝では強豪アルバルク東京を下して決勝に勝ち上がった。2019年以来、3度目の天皇杯決勝進出となるが優勝はまだない。

 

 対する川崎は、宇都宮がBリーグ優勝を遂げたときの対戦相手であり、その前年、NBLとして最後のチャンピオンに輝いたチームである。Bリーグが開幕してからは、リーグ、そして天皇杯ともに優勝に手が届いていない。昨年の天皇杯もファイナルに進出したものの、あと一歩のところで苦杯をなめた。今大会の準決勝では爆発力のあるシーホース三河を抑えて2年連続の決勝進出を果たした。

 

 ゲームの出だしはお互いが、厳しいディフェンスを見せながら、それぞれ持ち味を出し合う互角の展開。故障明けでベンチスタートとなっている#6比江島慎が3Pシュートを連続して決めるなどした宇都宮がわずかにリードし20-19で1Qを終えた。

 

故障から復活し、チーム最多の12得点をあげた比江島(宇都宮)

 

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 2Qに入ると徐々に川崎が流れをつかみ始める。オフェンスリバウンドから#24大塚裕土が3Pシュートを決めると、その流れを嫌った宇都宮がすかさずタイムアウト。しかし、その後も#7篠山竜青、#11増田啓介の3Pシュートが決まるなど川崎が優位に立った。

 

 

 41-34と川崎リードで迎えた後半。いい形の中で打つシュートが決まらなくなった川崎だったが、我慢のディフェンスを続けると、前半で無得点だった#14辻直人が3Pシュートを連続で沈めて50-40とついに2ケタ差を付ける。辻自身「いいところで決められた」と振り返った場面は、宇都宮にしてみれば「決められてはいけない選手に決められてしまった」と比江島も悔やむプレーとなった。その後、宇都宮は#13渡邉裕規の3Pシュートなどで何とかついていくが、流れを覆すまでには至らず、点差が詰まりそうで詰まらない。

 

MVPを獲得したヒース(川崎)

 

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 4Qに入っても川崎は宇都宮ディフェンスに的を絞らせないオフェンスを見せ、ディフェンスでは#22ニック・ファジーカス、#35ジョーダン・ヒース、#34パブロ・アギラールを同時に起用するビッグラインナップが機能し、宇都宮のオフェンスを分断。それでも宇都宮は#7テーブス海の3Pシュートなどで、一時は6点差まで詰めるが、3分を切ったところでファジーカスが3Pシュートを決め11点差と勝利を手繰り寄せる。終盤は#0藤井祐眞がオフェンスの起点となり、#11増田も最後まで攻め気の姿勢を崩さずに宇都宮にとどめを刺した。増田の挙げた13得点がチーム最多と誰かが突出したわけではないが、それぞれの選手たちが、勝負どころで役割を果たした川崎が76-60で天皇杯を制した。

 

 宇都宮は「川崎のビッグラインナップを崩せなかった」と安齋竜三ヘッドコーチが語ったように、エースのライアン・ロシターが7得点とインサイドを攻めきれず、単発な攻撃となってしまった。

 

 昨年、ファイナルまで進んだ川崎は、篠山が故障で戦列を離れており、藤井もインフルエンザで準決勝、決勝と欠場という中で、苦しい戦いとなった。今シーズンは、篠山も藤井もその悔しさを胸にコートの上で躍動。キャプテンの篠山は「チーム全員で勝ち取った優勝」と川崎のチーム力を誇った。

 

写真/JBA

取材・文/飯田康二(月刊バスケットボール)

 

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