その他の海外

その他の海外

2021/02/20

弓波英人(NCAAディビジョンIジョージアサザン大学3年生) - 夢の続きを描く2021年の春(3)

弓波英人が所属するジョージアサザン大学は昨夏コーチが交代したこともあり、今シーズンはまだチームとしてできあがっていない状況のようだ。どのようなプレースタイルなのか。弓波に現在チームが向かっている方向を聞いてみた。
文/柴田 健(月バス.com) 

 

ジョージアサザン大学のバスケットボールはボブ・ナイトの流れをくむスタイルだという(写真=AJ Henderson/Georgia Southern Athletics)

 

特徴的なディフェンスから組み立てる
ジョージアサザン大学のバスケットボール

 

「ジョージアサザン大学(以下GSU)は公立のミッドメジャーで、その割には体育館も狭くて古いんですが、逆にそれがいいところです。客席もすぐに埋まりますし、ホームコートアドバンテージが作りやすいんです。大きなアリーナで全然入らないよりは僕は好きですね」
 GSUのホームアリーナ、ハナー・フィールドハウスの収容人員は4,325人。コロナのないシーズンたけなわの時期には、このキャパシティーに近い人数が集まって声援を送る。弓波はデビュー当時からファンのお気に入りで、出場機会を迎えると会場の盛り上がりがものすごいという。「あまり登場機会がないのですが、出してもらえた時には小柄なウォークオンだというのもあってファンがものすごくて。もちろん僕は出たときには頑張るので、スチューデント・セクションからの声援を聞いても、『ああ、愛されているんだな』と感じます。ありがたいですね」
 弓波が加わってからのGSUは、2018-19シーズンが21勝12敗(サンベルト・カンファレンスでは12勝6敗)、翌2019-20シーズンが22勝13敗(同12勝8敗)と好成績を収めていた。ただ、チーム編成も大幅に変わった今シーズンは、2月13日時点では12勝10敗(同6勝7敗)とそれまでと比較して成績は下降している。大きな要因はそれまで指揮を執っていたマーク・バイントンに代わり、あらたにブライアン・バーグが新任としてヘッドコーチになったことだ。バーグは2019年にNCAAトーナメントのファイナルに進出したテキサス工科大学でアシスタントを務めたパワフルなコーチだ。
「今年コーチが変わったのと同時に2人スターターが転校し、一方ではシニアが4-5人卒業して逆に7人新しく入ってきたんですね。なのでチームケミストリーがまだまだだと思いますし。ある日はよい試合でも別の日は悪い試合で、アップダウンが激しいチームになっています。毎日コンシスタントだといいんですけど、もうちょっとかかると思います」
 こう分析する弓波自身も、起用法の面で大きな影響を受けている。「今までのコーチはラン&ゴーのタイプでオフェンスがメインのコーチだったんです。でも今年のコーチが以前テキサス工科大学でクリス・ビアードのアシスタントをしていた人で、ボブ・ナイト(1971年から2000年までインディアナ大学を、その後2008年までテキサス工科大学を率いた殿堂入りコーチ)の系統の人なんです。なのでどちらかというとボブ・ナイトのモーションオフェンスがメインなんです。ゆっくりスクリーンを使って攻め、ディフェンス重視。ロースコアで勝ちに行くんです。Quantity(量)とQuality(質)だったら、どちらかというとQualityを大切にする考え方ですね」

 

NCAAディビジョンIの最高峰のエッセンスを学ぶ

 

 バスケは1インチが勝負を分ける――ナイト氏はそんなことを言ってプレーヤーたちにち密さと情熱を求めるコーチだったと、以前教え子の一人から聞いたことがある。その伝統を学べる環境なのかと思うと非常にうらやましいというか、ぜひ多くを学んできてほしいと思ってしまう。
「ディフェンスのやり方自体も面白いです。僕たちは『サイドディフェンス』と呼んでいるのですが、ボールがサイドに行ったら、ディフェンダーがサイドラインに平行に立って守るんです。体が斜めにならないようにして。ベースラインを抜かれたときにバックサイドからヘルプが来るという。サイドラインとディフェンダーの足が平行になるようにするんです。最初はみんな、『それじゃ抜かれちゃうじゃん…!』と思うんですけど。とにかく真ん中(ミドルレーン)は絶対に抜かれないようにするんです。ベースラインに追い込んで、ヘルプと一緒にやっつける感じです」。これは近年NBAでもよく聞かれる「ノーミドル」という考えに近いものかもしれない。
 2019年のNCAAファイナルをふと思い出す。あの試合で延長の末に85-77で勝利したのはバージニア大学だった。その大きな特徴であるパックラインと呼ばれるディフェンスがその後注目を集めているが、テキサス工科大学はそれに対してモーションオフェンスで挑み、このサイドディフェンスで対抗していた。様々なタイプのバスケットボールが日々研究されているアメリカのカレッジバスケットボールにおける最高レベルのエッセンスを、弓波は学べる環境にいるのだ。(パート4、最終回に続く)

 

日々の練習や実戦から、弓波は本場アメリカの現代バスケットボールの新鮮な情報を体にしみこませている(写真=AJ Henderson/Georgia Southern Athletics)

 

パート1から読む

(月刊バスケットボール)


  • zamstインタビュー「戦い続けるために目標に向かって」
  • 3x3女子日本代表インタビュー「気持ちを届ける、想いを託す」
  • インターハイ2021
  • 月バスカップ2021-u15
  • 自費出版のご案内