その他の海外

その他の海外

2021/02/18

弓波英人(NCAAディビジョンIジョージアサザン大学3年生) - 夢の続きを描く2021年の春(1)

NCAAディビジョンIのジョージアサザン大学で、ウォークオンのジュニア(3年生)としてプレーする弓波英人。千葉県習志野市に生まれ、9歳のときに家族三人で渡米して以来、本場仕込みのバスケットボールをその体に叩き込んできた弓波にとって、2020-21シーズンは大学における最後のシーズンとなる。
文/柴田 健(月バス.com) 

 

ウォークオンとしてジョージアサザン大で3年目のシーズンを送る弓波は、ホームでコートに立つと観衆が大騒ぎになる人気者だ(写真=AJ Henderson/Georgia Southern Athletics))

 

「子どもの夢を第一に」家族で太平洋を飛び越えた

 

 弓波のアメリカ行きは、小学4年生だった9歳のある日、突然決まったことだった。「父(信一さん)が仕事から帰ってきて『アメリカでバスケしたいか?』と聞かれて…。『行きたい』と答えたら、数ヵ月後には渡米することになったんです」
 信一さんには日本に残るオプションもあったという。しかし、兼ねてから親子で「アメリカでバスケをして将来プロになれたら」と話し合っていたところに舞い込んだ機会。弓波一家はその夢を押し進めることを第一に考え、迷わず渡米を決めた。
 弓波自身は後日聞いたことなのだが、信一さんの決断には伊藤拓摩(2021-22シーズンからのB3参入準備を進めている新クラブ、長崎ヴェルカのGM兼ヘッドコーチ)と伊藤大司(滋賀レイクスターズ)が兄弟ともに渡米体験からキャリアを切り開いた事実が影響していた。早い段階で渡米した方がディビジョンIへの道が切り開きやすくなる。伊藤兄弟がそれぞれの道で成功を収める経過を見て、信一さんは我が子を本場に連れていく強い意欲に駆られたようだ。
 移住先は本場アメリカでもバスケットボール熱が最も高い地域の一つであるノースキャロライナ州。弓波は最高の環境の中で9歳から高校卒業までの時間を過ごし、現在所属しているジョージアサザン大学(以下GSU)に進むことになる。
 渡米当初、弓波も言葉の壁を感じたことはあったそうだ。日本にいる間に英語塾に通ったものの、短期間にそうそう身につくものではなかった。「9歳のときに飛んできて、英語はまったくわからないまま現地校に入って…。日本語の補習校は週末にあったのですが、僕はバスケがあったのでそれも行けなかったので、現地校だけの生活で語学を身につけました」。それでも、9歳の柔軟な頭脳はコート周りのコミュニケーションと学校での日常的なやり取りを通じて、言葉と文化の違い乗り越えていく。

 

本場アメリカの“別物”バスケに鍛え上げられた

 

 ならばバスケットボールは思い通りできたかといえば、そういうわけではなかった。弓波は故郷千葉県習志野市にある大久保小学校のミニバスでプレーしていたが、ノースキャロライナ州のバスケットボールは弓波の知らない“別物”だったのだ。「日本にいた頃、父親が別のミニバスのコーチをしていた関係で、僕は幼稚園の頃からバスケをしていたので、小学4年生になった頃には市内の同年代の子たちよりも自分がちょっと上だと感じていたんです。でもアメリカに来て圧倒されました。レベルが違うんです。アメフトをやっている子もバスケをするような環境で、身長も小学生の年代からまったく違いました。サイズのギャップは4年生の頃から感じていました」
 ノースキャロライナ州のローカルメディア、レイクノーマン・パブリケーションに、弓波の当時を振り返る取材記事があった。そこには、小学校での初日はただただ座っているだけで、泣きたくなるような日だったこと、クラスメイトの一人が誘ってくれたピックアップゲームがきっかけとなり、周囲とのコミュニケーションが徐々にできるようになっていったことが綴られている。また、パインレイク・プレップ高校ではヘッドコーチが信頼を寄せるプレーメイカーだったこともわかる。
 全米の高校スポーツ情報を発信するマックスプレップにも弓波の情報は見つかる。それによれば弓波は、同高バーシティ・チームで3シーズンプレーし、通算で平均10.1得点、5.0アシスト、2.1リバウンドに1.8スティールという数字を残している。
 ノースキャロライナ州のバスケットボールコーチ協会のホームページでは、弓波が2018年に PGC Heart of a champion Awardを受賞したことが記されている。これは人生における困難を克服してチームや学校、地域に有益なリーダーシップを示したと認められるプレーヤーに贈られる賞だ。
 弓波が進んできたこれまでの道のりを振り返ると、属したコミュニティーにおける存在感の大きさが感じられる。日本ではなかなか体験できないプレーの感覚を、弓波は渡米以来10年以上肌で感じ続け、上記のような実績を積んできた。GSU公式サイトのプロフィールによれば、高校時代には2度オールカンファレンス・チームにも選出されている。(パート2に続く)

 

インタビューは日本時間1月19日。弓波は練習直後だったが元気に対応してくれた

 

(月刊バスケットボール)

  • ロックアイスx千葉ジェッツ「千葉から世界へ」
  • zamstインタビュー「戦い続けるために目標に向かって」
  • TOKYO2020 トーステン・ロイブルコーチ インタビュー
  • ウインターカップ2021
  • 全中2021
  • インターハイ2021
  • 月バスカップ2021-u15
  • 自費出版のご案内