月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.02.21

渡邊雄太(ラプターズ)との空中戦勝利のアンソニー・エドワーズ(ウルブズ)、試合に負けて反省しきり - I ain't make shots(ぜんぜんショットが入んないスから)

 

 アメリカ現地2月19日のミネソタ・ティンバーウルブズ対トロント・ラプターズ戦は、前半にリードを奪われたウルブズが第3Qに23-1のランで一気に逆転しながら、最後に0-11のランを食らって86-81で敗れるという乱戦模様の展開。その中で日米のファンが仰天するようなワンプレーが飛び出した。ウルブズが2020NBAドラフト全体1位指名で獲得したアンソニー・エドワーズが、渡邊雄太の頭越しに叩き込んだ強烈なダンクだ。直後から「throw down」、「poster」など思い切りぶちこんだときに聞かれる言葉がSNS上にあふれた。
筆者にもアメリカ在住の記者仲間から、その瞬間の映像や画像とともに、日本人の渡邊がやられた側だったことから泣き顔マーク付きのメッセージがいくつか飛んできた。
しかし当のエドワーズは試合後、そのダンクについて質問されても気乗りしない様子で反省しきり。「アレは良かったんですけど、ぜんぜんショットが入んないスから」。この日エドワーズはフィールドゴール14本中3本しか成功させられなかったのだ。「だからダンクは、それがどうしたの? という感じです」
“ドライチ”ルーキーのエドワーズはさらに続けた。「勝ちたかったですね。チーム全体でショットを決められませんでした。ダンクがすごくても、ショットを決められなかったんですから、その原因を見つけなければなりません」。表情こそ柔和な笑顔ながら、真面目な反省の弁。エドワーズ自身のコメントは以下のようなものだった。
“It was alright but, like I said, I ain't make shots. so I don't really care about the dunk. I was hoping we was gonna win. As a team, we didn't make no shots. So the dunk was great but when you make no shots we got to figure something out.”
ウルブズはこの日を終えて7勝23敗でウエスタンカンファレンス最下位。ルーキーとしても責任を感じながらプレーしているのだろう。
逆にラプターズはようやく15勝15敗と借金を無くし、現状イースタンカンファレンスの6位。まだまだ順位を上げてきそうだ。渡邊のエドワーズに対するディフェンスも、実際にはよくローテーションしてついていき、懸命に空中でコンテストする勇敢なプレーだった。NBAでこそ体験できるこのプレーは、渡邊をもう一段ビッグにするステップになるにちがいない。

 

文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)



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