月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.03.09

ドマンタス・サボニス(ペイサーズ)、スキルズ・チャレンジ優勝のカギは情報戦? -「I asked them before what side I was gonna be on(事前にどちら側になるかを尋ねたんです)」

 

 昨年のNBAオールスター・ウイークエンドに行われたスキルズ・チャレンジで、決勝まで残りながら優勝を逃したドマンタス・サボニス(インディアナ・ペイサーズ)が、雪辱をねらって出場した今年の同イベントでみごと優勝を果たした。
一般的な印象とすればバックコート陣が活躍しそうなイベントだが、決勝の顔ぶれはともに身長211cmのサボニスとニコラ・ブチェビッチ(オーランド・マジック)だった。サボニスは昨年の決勝で206cmのバム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)に敗れたが、2年連続のビッグマン対決を演出して雪辱を果たし、このイベントを大いに盛り上げた。イベント前にまともに練習して臨んだのもサボニスだけだったようだ。

 また、サボニスは3度の対戦すべてでコートの左側からスタートしており、NBAリーグパスの解説説陣の一人だったドウェイン・ウェイド(元マイアミ・ヒート他)は、「もし右からスタートしたら結果がちょっと違ってくるのではないか」と指摘していた。この点についてイベント後の会見で、意図的に左を選んでいたのかという質問が飛ぶと、サボニスは明るく笑いながら「いいえ」と否定した。

 ただ「実は、事前にどちら側になるかを尋ねたんですよ。そうすれば1ヵ所だけから練習しておけばいいじゃないですか。で、そのあとは勝つたびに確かめていたんです。間違いなく左にしてくれるようにって。運がよかったですね」と話し、聞くだけ聞いてみたことを明かしている。サボニス自身による英語での回答は以下のようなものだった。
“No, actually I asked them before what side I was gonna be on so I only practice shots from that one spot. And then I just made sure every time I kept winning that they made sure I stayed on the left side. It’s just really a good luck.”
サボニスがバスケットボール全般のスキルに秀でていることには何ら不思議はない。彼の父親はリトアニアの英雄アルビダス・サボニス(元ポートランド・トレイルブレイザーズのセンター)だからだ。父アルビダスは身長221cm。旧ソビエト連邦代表だった1980年代の時点で、ファーストブレイクのトレーラーとして走ってきて3Pショットを躊躇なく狙えるビッグマンだった。息子のドマンタスは身長が211cmだが、生まれたときから最高の先生がすぐそばにいたというわけだ。
ゴンザガ大で八村 塁(ワシントン・ウィザーズ)の先輩にあたるサボニスは、チーム・レブロンの一員としてこのイベント後に行われたオールスター・ゲームにも出場し、1本ショットを決めている。2017年のNBAドラフト1巡目11位でオーランド・マジックの指名を受け、ルーキーシーズンをオクラホマシティー・サンダーで過ごした後、2017-18シーズンからペイサーズでプレー。今シーズンはパワーフォワードとして35試合に出場し、平均20.8得点、11.1リバウンド、6.0アシストというバランスの良い数字を引っ提げて後半戦に突入するところだ。

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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