月刊バスケットボール5月号

NBA

2021.02.08

デリック・ローズ(ピストンズ)のニックス移籍が確定的に

 

 デリック・ローズ(デトロイト・ピストンズ)のニューヨーク・ニックス移籍が決定的な状態になったようだ。アメリカ現地時間2月7日(日本時間8日)に、アメリカの有力メディアやインサイダーがすでに両チームの間に合意が成立していることを伝えている。
正式な発表は日本時間8日13時時点でまだ確認できていないが、ニックスがローズを獲得すると同時に、ピストンズはニックスの若手ポイントガード、デニス・スミスJr.と2021年のドラフト2巡目指名権を手にするとの報道がある。
トレードによるこの移籍が正式なものとなれば、ローズは2016-17シーズン以来2度目のニックス入り。今回はNBAでデビュー以来自身最大の成功を収めたシカゴ・ブルズ時代のヘッドコーチ、トム・ティボドーの下で三たびプレーすることになる。両者は2008年から2015年までをブルズで、また2018年から2019年までをミネソタ・ティンバーウルブズで共に戦っている。2011年にはティボドー率いるブルズはイースタンカンファレンス・ファイナルに進出しており、ウルブズでの2018年にはチームを14年ぶりのプレーオフ進出(ファーストラウンド敗退)に導いた。ローズ自身はその間に、個人的にも2008-09シーズンの新人王受賞、2010-11シーズンの最優秀選手賞受賞など大きな成果を手にしたが、故障による長期離脱が続き、思い描いていたようなキャリアを築けていない。
ニックスでは、スミスが出場時間を得られずGリーグ行きをフロントに打診していたという。またピストンズはポイントガードのポジションにおいて、ベテランの起用よりも若手の成長を優先する意向とも伝えられていた。
同日、マディソン・スクエア・ガーデンではニックスがマイアミ・ヒートを迎えてホームゲームを行っていたが、試合後の会見でヒートのジミー・バトラーにこのトレードに関する質問が飛んだ。バトラーはブルズとウルブズで2人とともに戦った彼らの元チームメイトだ。すでに確定的な情報として流れているこの情報について、「ティブ(ティボドーの愛称)は昔のツテをたどってますよね」と話して笑顔を見せた。「まだ何人か足りないと思いますけど、この先どうなるんでしょうね」とジョークもからませながら、「ティブは優秀なコーチとして尊敬しています。“Dローズ”(ローズの愛称)は昔もすごかったけど、今もすごいですよね。いろいろなことを乗り越えてあのようなプレーぶりを見せていることに、ものすごく刺激を受けます」と2人への敬意を込めて話していた。
ヒートとニックスは現地9日の火曜日(日本時間10日水曜日朝)に、今度はマイアミで対戦することになっている。バトラーは「火曜日に僕たちがプレーするときに、(ローズが)ユニフォームを着ていられるといいですね」とこのやりとりを締めくくった。
ニックスにはティボドーHCがブルズ時代・ウルブズ時代にも頼りにしたビッグマンのタージ・ギブソン、さらにはスタッフとして同様の経過をたどってきた日本人アシスタントの吉本泰輔も在籍している。一度築いた信頼関係が長い年月を越えても生きていることを感じさせるエピソードだ。

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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