月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.03.31

八村 塁(ウィザーズ)は「心地よく自信をもってシュートしている」 - ウィザーズ対ホーネッツ戦試合前会見でジェームズ・ボレゴHCが高評価

自信をつけてきた八村は好調を維持している

 

 日本時間3月31日午前中に行われるワシントン・ウィザーズ対シャロット・ホーネッツの一戦を前にしたホーネッツのヘッドコーチを務めるジェームズ・ボレゴ氏に対戦相手の中心的存在となっている八村 塁の印象を聞いた。八村は直帰の9試合連続で2ケタ得点を記録しており、特にここ3試合はいずれもフィールドゴール成功率が50%を上回っているほか、先日のコラムで触れた豪快なダンクなど、ブラッドリー・ビールが不在の現状では特に、ウィザーズの“go-to-guy”と言ってもまったくおかしくない存在感を示している。前日の対インディアナ・ペイサーズ戦(132-124で勝利)では24本中12本のショットを成功させ26得点を稼ぎ、リバウンドが8本、アシストも3本あった。


そのような直近のプレーぶりを話題に挙げ問いかけたところ、ボレゴHCは「以前からルイのファンだったんですよ」と切り出した。「ドラフトのときに立ち返ると、私はルイを気に入っていたんですよね。いいプログラム(ゴンザガ大)を出て、落ち着きがあって…」


ボレゴHCはさらに続けた。「昨シーズンはちょっと波がありました。今は一皮むけたように見えますね。若手によくあることで、自信がついてきたのでしょう。それが早いケースも、少し時間がかかるケースもあります」。具体的にどんな特徴を見出しているかについては、「得点能力に自信を持っているように見えます。どこから得点をねらうか、どこから攻めればよいかが見えていると思います。何よりアグレッシブで自信を持っている点が怖いですね。ゴールに向かい、ねじ込んでこようと突っ込んできます。心地よく自信をもってシュートしているように見えますよね」


八村をNBA入り前から高く買っていたというだけに、ボレゴHCは警戒感とともにある意味での期待感も持っている様子だ。「今シーズンずっと、これは続いていくでしょう。ボールがどんどん回ってきて使われる機会も増えるでしょうから。でも彼は良い若者ですよね。良いプレーヤーで将来有望です。二面的な活躍もできます。オフェンスだけではなく、彼は非常に有能なディフェンダーになれると思いますよ」

 

ボレゴHCの八村の気に入り方からすると、もしウィザーズが1巡目9位で指名していなければ、12位指名でホーネッツが獲得していたのかもしれない(写真をクリックするとボレゴHCの回答を映像で見られます)


ボレゴHC自身による英語での回答は以下のような流れだった。


“I’ve always been a Rui fan. If we’re going back to the draft, I was a big fan of his. I liked him in the draft. He came out of good program, he’s got a good demeanor. You know last year I think he had his ups and downs.”


“It looks like really turned the corner right now. I think this happens to young guys. They find the confidence. Some guys you know, get it early. Some takes a while.”


“To me it looks like he’s really found the confidence about his scoring ability where to score from, where to attack from. More than anything he looks like a more aggressive, confident kid right now. So, you know, attacking the rim, getting to the rim, finishing. His shot looks much more comfortable and confident right now.”


“I’d expect that to only continue throughout the season. He’s…, he’ll get more touches, more usage. But he a good young man. He’s a good young player. Bright future. He’s got two-way ability as well. I don’t look just at his offense. I think he has the opportunity here to be a really good defender, first thing.”

 

 スコット・ブルックスHCの会見でも、ひとしきり八村が話題になっていた。ラッセル・ウエストブルックとの関係性の良さやアグレッシブなプレーぶりは、チーム内外で明らかに認識っされていることなのだ。

 

 筆者自身は八村の取材を、わずかだが直接的にしたことがあり、ボレゴHCが話している物腰のよさや落ち着きという点に非常に合点がいく。2016年2月にトロントで行われたNBAオールスター・ウイークエンドで、八村はバスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズに参加する有望プレーヤーの一人に含まれていた。当時の八村はゴンザガ大入り前で、まだ英語圏の人々とのコミュニケーションも簡単ではなかったと思うが、強烈に才能あふれるほかのプレーヤーたちの中で、物おじせずはつらつとした様子でワークアウトに励む姿に感心したものだ。インタビューにも非常に落ち着いて対応してくれたのだが、そういったことも自分らしさを大きな舞台で自然に表現できる、性根の座った明るい人柄を示すものだろう。そういった人柄も高く評価されていることが、ボレゴHCの八村評から伝わってくる。


ジョーダンブランドとの契約があることから、“ジャパニーズ・ジャンプマン”というクールなニックネームでも知られる八村。どこまでぶっ飛んでいくか、想像もつかない。

 

取材・文/柴田 健(月バス.com)



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