【最新/月刊バスケットボール10月号】第30回チーム作りの達人たち 指導者Interview/西尾吉弘(大東文化大)

 最新・月刊バスケットボール10月号では、指導者インタビューの第30弾として、大東文化大男子バスケットボール部を率いる西尾吉弘氏が登場。同大卒業後、間もなくして母校の監督という大役を任された西尾氏。1部強豪の地位を確立するまでの道のりや試行錯誤に迫った。(下記に一部抜粋)

 

 

選手からマネジャー
そして学生コーチへ

 

――バスケットボールとの出会いを教えてください。

「小学5年生のときです。奈良県出身なのですが、小学生にしては背が高くて170cm以上あり、顧問の先生から誘われました。始めてみたらすっかりのめり込み、中学校でも迷わずバスケ部に。周りもわりと身長があって、県大会で何十年ぶりに決勝リーグに進出し、一応近畿大会に出ました」

 

――そこから、どういう経緯で北陸高に進学したのですか?

「北陸高校のバレー部に奈良県出身の先生がいて、たまたま僕の中学校にバレー部を見に来たんです。それでバスケ部に背の高い選手が4人くらいいると話が伝わり、津田洋道先生(元北陸高コーチ/現香川エグゼクティブコーチ)がすぐ学校に来ました。その中で『君が一番楽しそうにバスケットをしているから』ということで、声をかけていただいたんです。うれしかったですね」

 

――高校時代、プレーヤーからマネジャーに転向したそうですね。
「はい。『マネジャーをやってみないか』と言われて、最初はプレーヤーをやりながら。そして2年生のインターハイが終わってから、本格的に転向しました。正直、高校のレベルに付いていくのに精一杯になっていた時期で、せっかく声をかけてもらって来たのに、何も役立てていないな…と。裏方になった方が恩返しできるというか、チームのためになるだろうと思いました」

 

――マネジャーとして、どんな仕事をしていたのですか?
「北陸はキャプテンとマネジャーのポジションが重要視されていて、先生からいつも『マネジャーがしっかりしていないとダメだ』と言われていました。体育館に一番に来て、一番遅くまで残るのは当たり前。選手のためにどうすればいいか、というのことを常に考えていましたね。それに一番の仕事は、選手と先生の間に入ってコミュニケーションを取って、つなぎ役になることでした」

 

――当時から、将来指導者になることは意識していたのですか?
「そうですね。もともと中学生の頃から、将来は指導者になりたいという気持ちがありました。バスケットが好きで、最初はバスケットに携わりたいという思いから、自然と指導者の道に興味が湧いたのだと思います」

 

――卒業後、大東文化大にはマネジャーとして進学したのですね?
「そうです。高校時代から遠征などで大東に来る機会があり、自分の裏方の仕事を見てくれていて『マネジャーとして来てほしい』と言ってくださいました。
大学1年生のときは普通にマネジャーをやっていましたが、翌年に女子マネジャーが入ってきたこともあり、2年生の途中から学生コーチというポジションに。当時はマネジャー兼学生コーチの先輩がいたのですが、その先輩が卒業して3年生からは、本格的に学生コーチになってBチームの指導などに当たるようになりました。
そして僕が4年生になったときに入ってきた1年生が、阿部友和(富山)や竹野明倫(大阪アシスタントコーチ)の学年でした。それが2004年ですね」

 

――彼らは2007年、関東トーナメント初優勝を果たす代ですね。

「はい。まぁ、入ってきたときからすごい選手たちでしたね。特に阿部は、竹野たちに比べて、高校時代までほぼ無名の選手でした。でも高校生のとき、当時の監督のランスさん(ベッカート・ランス)に、プレーをまとめたビデオを自ら送ってきたんです。もちろんいいところだけを編集したビデオですが、その映像を見てかなり良い選手だなと。それで入学することになり、1年生の頃はBチームでしたが、努力して自分で育っていきました。僕が教えたということは何もありません(笑)」

 

――卒業後はチームのアシスタントコーチとなり、2年目からはランス監督から引き継いで指揮するようになりました。先ほども述べたように、卒業3年目にして、トーナメント初優勝を果たしましたね。

「あれは僕にとってターニングポイントでした。当時は、ランスさんがチームを見られなくなって仕方なく僕に監督の座が回ってきただけ。恐らく別の監督が見つかるまでの代理みたいな感じだったと思います。でも結局、あの代がトーナメントで優勝して、ひとまずこのままのスタッフ体制でいくことになりました」

 

――強豪大の監督という、大役を任されたわけですが…。

 

※続きは『月刊バスケットボール9月号』へ!

 

(月刊バスケットボール)



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