月刊バスケットボール5月号

アイラ・ブラウン

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アイラ・ブラウン
F/193cm/大阪エヴェッサ[/caption]

 

[東京2020 3x3 男子日本代表の横顔]

圧倒的なフィジカルと経験値で日本の大黒柱に

 

 5人制以上に個々の能力やフィジカルの強さがモノをいう3x3。ハーフコートで繰り広げられる肉弾戦は、さながら格闘技のようだ。ボディービルダーのような筋骨隆々の肉体を武器に、Bリーグで暴れ回るアイラ・ブラウンは、サイズ、フィジカルの強さ、機動力の三拍子を兼ね備えるまさに3x3の適任者だったと言える。

 現在38歳とアスリートとしてはかなり高齢な部類に入るが、衰えるどころか年々円熟味を増してクレバーなプレーが増え、近年はアウトサイドからも得点できるほどにシュートレンジを拡大。時代の変化に合わせて自身のプレーをアップグレードしながら、第一線で活躍を続けている。

 日本国籍を取得しているブラウンの故郷は、アメリカ・テキサス州。NBAのサンアントニオ・スパーズ、ヒューストン・ロケッツ、ダラス・マーベリックスをはじめ、MLBのテキサス・レンジャーズ、NFLのダラス・カウボーイズなど、プロスポーツ球団が多いエリアだ。ブラウン自身も幼少期から野球やバスケットなどの様々な競技に触れ、高校から本格的にバスケットをプレー。

 大学は八村塁の母校でもあるゴンザガ大に進み、キャリアの中でデリック・ローズ(ニューヨーク・ニックス)ら名だたる選手たちと対戦してきた。「マーク・フューHCからバスケットIQやモチベーションに関して多くを学んだ。それまでは身体能力に頼っていた部分が多かったが、ディビジョン1ともなるとほかの部分でも自分を高めていかなければならなかった」とブラウン。生まれ持った圧倒的な身体能力に加え、世界トップレベルの大学で培ったスキルはそれから20年近く経った今でもブラウンの根底にあるものなのだ。

 日本では富山グラウジーズを皮切りに、現在所属する大阪エヴェッサを含め、4球団で10シーズンを過ごし、ファンのお気に入りとなっている。代表チームでは若い富永啓生と保岡龍斗に自身の経験を伝え、ベテランの落合知也とともに精神面でチームをけん引していくことが求められる。5人制と3人制の両方で日の丸を背負うアメリカ生まれのサムライが、ダイナミックなプレーで世界に挑む。

(村山純一/月刊バスケットボール)



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