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2021/04/07

ウィザーズのシューティングについて、スコット・ブルックスHCを直撃

日本時間4月6日の対ラプターズ戦試合前会見でのブルックスHC

 

コーチ哲学と向き合う現状の違いを反映するショットチャート

 

 先日のトロント・ラプターズとゴールデンステイト・ウォリアーズの試合後会見でニック・ナースHCに、八村 塁のショットチャートではロング・ツーも躊躇なく狙ってくる点がラプターズのプレーヤーと異なる特徴ではないかと聞いた際、そこにはコーチ哲学の違いがあるだろうとの回答を得た。それを受けて、3日後に行われたラプターズとワシントン・ウィザーズの試合前会見で、今度はスコット・ブルックスHCにウィザーズのチームとしてのショットチャートの傾向について聞いてみた。ウィザーズのショットチャートは、ラプターズのそれに比べるとコート上のどこからでも狙ってくるような印象が強い。
 ブルックスHCが最初に話したのは、「我々は良いショットを打ちたいのです」ということだった。「ミドルレンジで心地よく打てるプレーヤーがそろっていますから。鋳型にはめたようにミドルレンジを狙うのではありません。コート上で時間を有効に使い、良いと感じるスポットからねらっていきたいのです」。
 ブルックスHCは続けて、ウィザーズがチームとしてシューティングに関する課題を持っていることに触れた。「3Pショットが思うように入っていません。そうなるとやはり物事は変わってこなければいけなくなります。そこで一つの考えとしてフリースローをもらいにいくことで、3Pショットの問題のある程度を解消できたらという考えが出てきます」とのことだ。この日の試合を終えた段階でのチームとしての3Pショットの状況を見てみると、成功数10.5がリーグ27位、アテンプト数30.8本が同24位、成功率34.2%は同28位と確かに振るわない数字が並んでいる。

 参考までにラプターズで同じ項目を見ると、成功数15.0本(リーグ3位)、アテンプト数40.6本(同3位)、成功率36.9%(同13位)。成功率の差はさほど大きくないと見ることもできるかもしれないがアテンプト数を見れば、ラプターズはより自信をもってロングレンジからゴールを狙っているだろうことが推察される。一方シューティングに関して課題を感じているウィザーズは、1本ずつのショットが生み出す得点の期待値を3点から2点に下げてでもミドルレンジを有効に使おうと考える。それがショットチャートの違いに現れるのだろう。

 ブルックスHCはさらに「各チームで違いがあります。チームの個性も違いますしね。どこのチームにも何らかの課題があるものです」と続けた。「我々はトロントとだいたい似たような成績です。彼らは我々と似たようなタイプの状況を経験してきてもいます」とは言うものの、向き合っている現状(シューターの状況)の違いが見え方に大きく影響しているのだ。

 

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対ラプターズ戦はウィザーズのシューター陣爆発の兆し?

 

 ブルックスHC自身による英文の回答は以下のような流れだった。
“Yeah, well, we wanna take good shots. You know we got guys who are comfortable, taking middle range. We don’t wanna take tired shot templated all being middle range. We are gonna be able to attack the court throughout the shot clock and throughout the court. We haven’t shot the ball well from three. So a lot of times that tells you you’ve gotta do something different. And we wanna get to the free throw line that kind of off-set some of our three-point shooting issues.”
“But every team is different. Every team has different personality. Every team is going through it. They’re…, like I said, we’re basically pretty close in the records with Toronto. They’ve been through the same type of situation as we’ve been through.
 ウィザーズのアクティブ・ロスター中で出場機会が多いプレーヤーでは、ギャリソン・マシューズ(41.4%)とダービス・ベルターンス(38.9%)が3P成功率の上位。3本中1本成功させる技量を良しとするか不足とするかはそのプレーヤーの立ち位置によっても異なるだろうが、彼らに続く3番手のハウル・ネト(35.1%)、最大の得点源であるブラッドリー・ビール(33.8%)、そして八村 塁(33.7%)までがそれ以上の確率だ。
 ラプターズとの試合では、第3Qまでの3Pショットを確認すると特に成功率上位の2人であるベルターンス(その時点まで7本中5本成功)とマシューズ(同6本中4本成功)が好調で、最終クォーターは86-75とウィザーズがリードして始まっていた。ところが第4Qは、渡邊雄太がマシューズを追いかけまわした結果アテンプト自体がゼロになっている。また、ベルターンスは1本だけ打っているが、これもオフスクリーンのカールカットからのキャッチ&シュートに渡邊が執拗にコンテストした結果としてミスショットだった。
 「あなたの質問の答えになるかはわからないが」と前置きしながら、ブルックスHCは最後に「3Pショットがもっと良く入るようなら物事は違っているだろう」とも話し、ウィザーズのミドルレンジ・シューターたちが3Pシューティングに鋭意取り組んでいることも話してくれた。
 相手側の好プレーに抑えられた点は別として、ラプターズ相手の第3Qまでの2人の好調ぶりを明るい兆しと捉えることもできる。シューターは何らかのきっかけで突如として好調の波に乗ることもある。ブラッドリー・ビールと八村が不在だったこの日の第3Qまでの状況が、もしかしたら彼らのタッチを呼び覚ましたかもしれない。

 日本時間4月8日(アメリカ時間7日)の対オーランド・マジックのアウェイゲームで、あの時間帯が再現できるかどうか。“Mr.トリプルダブル”ことラッセル・ウエストブルックの普段通りの活躍や、八村とブラッドリー・ビールの戦列復帰状況とともに、彼らにも注目すると面白いかもしれない。

 

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取材・文/柴田 健(月バス.com)
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