月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2020.01.19

【Bリーグオールスター現地レポート②】“折茂さんのためのオールスター” 見事なMVPでフィナーレ

 1月18日に北海道・北海きたえーるにて開催された「B.LEAGUE ALL STAR 2020 IN HOKKAIDO」。ここでは月バス編集部が現地の選手の声、イベントの模様を配信していく!

 

選手入場を盛り上げた藤井&篠山

 各種コンテストで会場のボルテージが高まる中、いよいよオールスター本戦が始まった。まず会場を沸かせたのはベスト入場賞に輝いた藤井祐眞(川崎)。全体のトップバッターで入場した藤井は右手に北海道の名産品であるカニの人形を、左手にiPadを持って入場。その画面に映っていたのは、ケガのため今大会への出場を見送った篠山竜青(川崎)だった。「竜青さんの代わりに出ることが決まって入場で何をやるかを2人で相談していました。入場の後もずっとテレビ電話をつないでいました(笑)」と語った藤井の会心のパフォーマンスには場内も爆笑。

 

B.WHITE#0藤井の登場演出はインパクト抜群だった

 

 そんなパフォーマンスの裏で「ベスト入場賞を狙っていました。僕がトップバッターだと思っていたら、祐眞が先で、そこが誤算でした。まさかチームメイトにやられるとは…」と引きつった表情を見せる選手が一人。北海道名寄市出身の大塚裕土(川崎)だ。藤井に次ぐ2番手で登場した大塚は自身が務める「北海道名寄市観光大使」と書かれたタスキをかけ、右手には一輪の赤いバラ。人気番組「バチェラー・ジャパン」を思わせるパフォーマンスを披露したが、「アレ(藤井の入場)の後じゃね(笑)」と、チームメイトの“共謀”に、してやられたといった表情を浮かべていた。

 

折茂に勝利を!

接戦を演出したロシターの奮闘

 個性的な入場シーンが終わり、試合開始のとき。B.WHITEのスターターは富樫勇樹(千葉)、ニック・ファジーカス(川崎)、金丸晃輔(三河)、細谷将司(秋田)、熊谷尚也(川崎)の5人。対するB.BLACKは比江島慎、ライアン・ロシター、竹内公輔、ジェフ・ギブス(4選手ともに宇都宮)に折茂武彦(北海道)を加えた“折茂ブレックス”がコートに立った。

 

 開始早々、ファーストポイントは折茂。右サイドからのミドルショットを的中させ、試合を動かすと、以降もアシストにリバウンドに奮闘を見せ、1Qで4得点、2リバウンド、3アシストと快調な滑り出し。チームとしてはクォーター中盤に登場したダンク王セバスチャン・サイズ(SR渋谷)の活躍が光ったB.WHITEが2点リード。2Qもロシター、サイズを中心に両チーム得点し、B.BLACKが僅かにリードして後半へ突入した(69-63)。

 


折茂のMVP受賞にB.BLACK#22ロシターも満足気だった

 

 迎えた後半で力を発揮したのはロシター。折茂にMVPを、という思いを前面に押し出すかのように攻防で大車輪の活躍。3Pシュートがなかなか決まらない折茂の代わりとでも言うかのごとく、外角のシュートも決め続けた。試合後に竹内(公)が「チームが勝利する大きな要因となったのがライアンの活躍」と舌を巻くパフォーマンスを見せたロシターはこの日、30得点、17リバウンド、10アシストのトリプルダブル。B.WHITEも反撃を試み、富樫、サイズを中心に挽回。逆転に次ぐ逆転。最後の1ポゼッションまで勝敗が分からない接戦は、残り22.7秒の時点で121-117。

 

試合終盤で見せた両チームの本気の攻防

 終盤の攻防について折茂は「僕のためのコールは特になかったですよ。最後は勝ちに行かなければならない展開だった。相手がファウルしてくることはわかっていたので、フリースロー成功率の高い選手を外に配置するフォーメーションでした」と明かした。実にルカ・パヴィチェヴィッチHC(A東京)らしい指示だ。その後は予想どおりファウル・ゲームの展開となり、それによって得たフリースローをギブスが2投決めきった。この時点で実質勝負は決まったが、まだ時間は残されている。

 

 最後にシュートを狙ったのは折茂。ロングパスを受けると、ラインより2メートルほど後方から渾身の3Pシュート。本人が「最後、ちょっと時間を見ちゃったんですよね。その後、(体勢を)戻したんですけど、しっくりこなくて。ダメでしたね、持ってなかったです」と振り返ったこのシュートは決まらなかったが、最初の得点と最後のシュートをレジェンドが打ち切り、会場の全員が納得の試合内容となった。MVP投票でも、その折茂(この日、14得点、2リバウンド、3アシスト)が全体の8割近い得票数を集め、MVPを獲得。選手たちから胴上げを受けて、大会は見事なフィナーレを迎えた。

 

ラストショットは「入っていれば完璧だった」とB.BLACK#9折茂

 

 今大会の背景としてもう一つ重要な要素となったのが、試合終盤の本気の攻防。お祭りという雰囲気の中で真剣勝負が見られることの少ないオールスターゲームで、終盤にくり広げられた両チームの本気の攻防は集まったファンが最も見たかった瞬間だったのではないだろうか。折茂も「(ギブスのフリースローのように)最後はみんな勝負にこだわっていたので、そこがすごく良かった。見せるだけではなくて、勝負にこだわることはオールスターでも必要だなと思います。そこをファンも見たいと思うから」と、結果以上に終盤の攻防に充実感を示していた。

 

 東京、熊本、富山、北海道と続いたオールスターの次の舞台は南国・沖縄。「まだまだ、盤石とは言えない」(折茂)Bリーグだが、着実に地域やファンに根ざしていることは確か。今回の北海道大会でまた一つリーグの歴史に新たな1ページが加わった。

 

試合は123-117でB.BLACKが勝利

 

写真:大川原 敬明

 (月刊バスケットボール)



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