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2021/03/09

アルバルク東京の安藤誓哉は主力不在のピンチをプラスに捉える「ケガ人がいることを言いわけにしてしまったらチャンピオンシップを戦うチームにはなれない」

 今季のチャンピオンシップ争いは東西共に例年以上に白熱した展開が繰り広げられている。東地区は秋田ノーザンハピネッツまでの上位7クラブが6割越えかそれに近い勝率を残し、西地区4位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズも同3位の大阪エヴェッサと同じ勝率.595に位置している。

 

 ワイルドカード争いに目を向けても、26勝16敗の富山グラウジーズが一枠目、二枠目にはサンロッカーズ渋谷(25勝16敗)が名を連ね、そこから0.5ゲーム差刻みに名古屋D(25勝17敗)、アルバルク東京(24勝17敗)、秋田(24勝18敗)と並ぶ。これが昨夜のSR渋谷対A東京の試合開始前の時点でのリーグの勢力図だ。

 

 これらの争いに該当するクラブの直接対決で一気に順位が変動することは言わずもがなである。3月7日のゲーム1で競り勝ったSR渋谷としては、ホームの勢いで連勝し、この争いから抜け出したいところ。対するA 東京は主軸の田中大貴が右下腿筋損傷、アレックス・カークが腰痛症で離脱を余儀なくされている状況ではあるが、負けるわけにはいかない。

 

 今季の直接対決では前日ゲーム1を含めて1勝2敗だが、天皇杯の3次ラウンドでは田中の劇的なブザービーターで勝利を飾っており、両クラブは常に東京ダービーと呼ぶに相応しい熱戦を繰り広げてきた。

 

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ジャクソンのインサイドアタックがこの日のSR渋谷の起点となった

 

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 迎えたゲーム2でも序盤から両チーム共に質の高い攻防を繰り広げ、1Qは19-18とSR渋谷が僅かに1点をリードする互角の展開だった。A東京にとっては先発PGの小島元基が試合開始早々に2ファウルでベンチに下がったことは誤算だったが、代わって入った安藤誓哉、田中に代わって先発を務める小酒部泰暉らが勢いをもたらし、SR渋谷のプレッシャーディフェンスに対しても少ないミスで試合を運んでいった。

 

 2Qに入ってもSR渋谷がインサイドの利を生かしてチャールズ・ジャクソンにボールを集中し、A東京も津山尚大が力強いゲームメイクで盤面をつなぐ。残り4分53秒、オフィシャルタイムアウトの時点でスコアは28-25と僅かにA東京がリード。しかし、ここからは一転してA東京がペースを握る。「SR渋谷の特徴はアグレッシブに当たってくることなので、まずはそこを乗り越えること。加えてオフェンスリバウンドを取られなければハーフコートオフェンスで必ずチャンスがあります。ディフェンス面でしっかりと守った後にオフェンスリバウンドを取らせなけえ馬、必ず自分たちの良いオフェンスにつながります」とルカ・パヴィチェヴィッチHC(A東京)が振り返ったように、カーク不在の中でもデション・トーマスとケビン・ジョーンズを中心にリバウンドを確実にモノにし、攻めてもドライブとキックアウトを多用することでオープンスリーを連発。

 

 逆にSR渋谷はボールが止まり、単発なシュートが増えていった。気付けば点差は2桁にまで拡大し、最後は小酒部、ジョーンズ、安藤が3Pシュート3連発で前半を締め、42-27と大きなリードを作った。オフェンスのランもさることながら特筆すべきはこの10分間でSR渋谷を8点に抑え込んだディフェンスにあり、これこそがA東京の持つアイデンティティーなのだ。試合後にルカHCは「少し気がかりなのが、ディフェンスで相手を抑えられていないところ。過去3シーズンのようにもっと安定感を求めるディフェンスをしてほしい」と口にしていたが、この2Qに限っては王者アルバルクのディフェンスが垣間見えたと言っていい。

 

 

団子状態のワイルドカード争い

A東京は主力不在をどうプラスに転換するか?

 

 最終的にはSR渋谷はこの点差を挽回することができず、83-76でA東京が前日のリベンジを果たすと共にワイルドカード争いで優位に立った。現時点でA東京はワイルドカードの二枠を争う富山に2勝2敗(得失点差+1)、SR渋谷に2勝2敗(得失点差+27)、名古屋Dに2勝2敗(得失点差+8)といずれも勝敗は並ぶものの、得失点差で勝る。

 

徐々にギアを上げているトーマスの働きが終盤戦ではより重要になる

 

 2枚看板の不在で崖っぷちの状況は変わらないが、これはチャンピオンシップ進出、そして3連覇に向けたプラス素材として捉えることもできる。本来であれば田中とカークに割くはずのプレータイムをシェアすることで、合流が遅れたトーマスをチームにフィットインする時間をより多く取ることができ、小酒部や平岩玄ら若手にもプレータイムを与えることができる。そのほかのメンバーもそれぞれがよりステップアップすることを求められる。この緊急事態をプラスに還元して乗り切り、田中とカークが戻ったときにチームが上昇気流に乗っていたとするならば…、3連覇への大きな力となるはずだ。

 

 試合後に安藤にそのことについて尋ねると以下のような答えが返ってきた。

 

「3年間ずっと一緒に戦ってきた大貴さんとアレックスがいないのはもちろんチームにとっては痛いです。でも、今チャンスをもらっている選手からすれば、そんなことは言っていられないと思いますし、彼ら2人がいない中でのチームワークは徐々に高まってきていると感じています。ここでもっと勝ち切ることができたならば2人が戻ってきたときにチャンピオンシップを取れる準備ができると思いますし、逆に今、ケガ人がいることを言いわけにしてしまったのなら、チャンピオンシップを戦うチームにはなれないのではないかというくらいの気持ちでいます」

 

ベンチからエナジーあふれるプレーを見せた安藤

 

 まさに安藤の言葉のとおりだ。マイナスの面には必ずプラスの面があるものだ。選手の合流の遅れやクラブ内でのコロナ感染の拡大、そしてケガによる主力の離脱など、今季のA 東京は数々のピンチに直面しながらも、少しずつそれを乗り越えてきた。

 

 余談を許さぬシーズンも残り18試合となったが、その先に待つチャンピオンシップでの王者不在など考えられない。チャンピオンチームとしてのプライドを持って、A東京の奮闘は続く。

 

写真/松村健人

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

 


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