月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2020.10.02

Bリーグ開幕! 開幕戦を勝利で飾ったA東京の安藤誓哉「今できる100%の力は出せた」

 長い長いオフシーズンが明け、いよいよ開幕したBリーグ2020-21シーズン。開幕カードは昨季のリーグ最高勝率のA東京と2位川崎の一戦。会場となったアリーナ立川立飛の前には開幕を待ち望んだ多くのファンが詰めかけ、一瞬、入場制限があることを忘れてしまいそうになる“開幕感”が漂っていた。

 

 久しぶりの試合、久しぶりのアリーナ、ブザーの音やバッシュのスキール音などの全てが久しぶりだ。ファンをはじめ、選手やクラブ関係者、我々メディアの全員が待ち望んだものがそこにあった。「6ヶ月ぶりの試合だったので、本当に待ちに待った日でいつも以上にエキサイトした試合でした。試合前からみんな自分のすべきことが分かっている様子だったので今日は『さあ、いくぞ』という言葉しかかけていません」。そう振り返ったのはA東京の新キャプテンを務める安藤誓哉。

 

記者席からの眺め。入場制限、応援制限を感じさせない盛り上がりだった

 

 この試合は序盤から両チームの激しいディフェンスが目立ち、前半を終えて31-22(最終スコア85-79でA東京が勝利)というロースコアな展開だった。そんな中で川崎のディフェンスを切り裂いたのが安藤だった。篠山竜青からファウルを誘うアンドワン・レイアップで初得点を挙げると、その後も鋭いドライブからレイアップ、試合を通して4本を射抜いた3Pシュートなど、計18得点。「あの時間であそこのポジションでボールをもらうということは勝負しに行かなければいけないということ。どういう仕掛けをして、どうシュートを打つかだけを考えていました」と振り返った4Q残り37秒には、マティアス・カルファニとの1対1からステップバックスリーをヒット。自らの手で勝利を大きく手繰り寄せたこのプレーからは安藤がこの試合にかけてきたものの大きさが見て取れる。

 

攻め気を貫いた安藤。キャプテンとして上々の船出となった

 

 安藤のこの活躍にはルカ・パヴィチェヴィッチHCも「誓哉はアルバルクで3年プレーして優勝PGになり、五輪の日本代表候補にもなり、素晴らしいリーダーシップを持っている選手です。人間としてもより成熟してきたと感じています」と賛辞を惜しまない。強気なプレーが持ち味の安藤の良さが全面に出た試合であり、A東京らしいアグレッシブでフィジカルなディフェンスも健在。後半に川崎の反撃を受けた点は安藤もパヴィチェヴィッチHCも課題に挙げていたが、それでも「今できる100%の力は出せた」(安藤)試合だった。

 

“アルバルクのキャプテン”という肩書については特に気にしていないという安藤だが、「ブレずに常にプラスのオーラを放っていくことが、チームに伝染していくと思っています。なので、それを一番意識している」と自分なりのキャプテン像を模索中だ。PGとしてはもちろん、チームをまとめ上げるリーダーとしても日を追うごとに成長していく安藤の存在がA東京をより押し上げ、3連覇に挑むシーズンの大きな力となる。

 

 昨季まで長くキャプテンを務めた正中岳城の姿はない。しかし、正中からアルバルクの顔を引き継いだ背番号3の背中が、これまで以上に大きく見えたのは筆者だけではないはずだ。

 

取材・文/堀内涼

 

(月刊バスケットボール)



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