月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2020.09.01

Bリーグ開幕へ向けて次なるステップへ 島田チェアマンは選手へ「たとえコロナになってしまっても皆さんが社会的責任を負う必要はない」と強く伝達

写真提供:B.LEAGUE

 

 10月2日(月)の2020-21シーズンの開幕まで約1か月と迫った8月31日。同日付でBリーグの各クラブに在籍している全ての選手を対象として全選手ミーティングが催された。そこで話されたのは「withコロナ」のシーズンを乗り越えるために決意と意思共有に関して。ミーティングの冒頭で島田慎二チェアマンはシーズン中にPCR検査を隔週で行うことと、検査結果が万全・万能ではないということを前置きしつつ、「大事なのは陽性者を非難しないこと。もし万が一新型コロナウイルスに感染してしまったとしても、皆さんが社会に対して謝る必要はない」と声を大にして選手たちに語りかけた。

 

このミーティングには400人を超える先週がオンラインで参加した

 

 公共交通機関やその他施設でもマスクの着用や換気、アルコール消毒などの感染予防対策が実施されている中で感染者への風当たりはいまだ強く、感染自体よりもそうした非難が深刻な問題になっているようにも思える。観戦者も日に日に増大していく中で島田チェアマンは「ここまで感染者が増えてしまった状況で『感染しないようにする』というフェーズはもう終了したように感じています。重要なのは感染予防へのプロセス。どのように社会生活とのバランスをとっていくか、感染対策をしながら日常生活を送っていくかということが大切になってきます」と見解を述べた。

 

 この全選手ミーティングには感染対策を講じた上で複数のメディアを呼んでおり、そうした状況で直接島田チェアマンがあえて前述の“選手が社会的責任を負う必要はない”という旨の発言を行ったことにも意味がある。この発言については田渡凌(広島)も「著名人もたくさんかかっていて、それに対して『何だアイツ』という反応がいまだにある中で島田チェアマンがこういったことを言ってくれると僕たち選手からしたら守られているという感覚があります」と安心感を抱いていた。

 

 シーズン開幕に際しては「B.LEAGUE新型コロナウイルス感染対策チーム」も設けられており、同チームのエグゼクティブアドバイザーを務める中山晴雄氏は選手へ向けて「感染症は一時のものではなく、今後の未来でも身近にあり続けるものです。ワクチン開発もまだ不明確であり、治療薬に関しても同様です。そういった状況の中でいかにリーグを安全に健全に進めるかを試行錯誤していくことになります。競技特性とリーグの特徴を捉え、それぞれの現場に合わせた対策をしてくことが大切で、机上の空論を押し付けるつもりはありません。皆さんと足並みをそろえ、今後も継続的にリーグが発展していけるように尽力します」とチーム一丸で苦境を乗り越えていく決意を口にした。

 

選手代表として発言したA東京の安藤

 

 選手代表として発言した安藤誓哉は先日クラブ内に感染者が複数出たA東京に在籍していることもあって、“リアル”を体感した一人。「僕たちA東京も緊急事態宣言解除後、クラブ内でガイドラインやロードマップを作成し、ソーシャルディスタンス、スタッフのマスク着用や独自の定期的なPCR検査実施、外出自粛を行ってきました。それでも感染者が出たということはそれだけコロナは身近であり、だれでも感染してしまうものだと思っています。今の行政や保健所のルールでは未症状の陽性者は10日間の隔離になりますから、メンタル面でもフィジカル面でも非常に難しい状況で大変だと思います。陽性が悪いのではなく、コロナが悪いだけなので仮にこれから陽性者が出ても皆さん優しく接してあげてください」とリアリティーある発言に続けて「ただ、この経験をできたことをポジティブに思うし、コロナ対策への意識も上がりました。シーズンを全うするには全選手、スタッフがみんなで意識して助け合っていく必要がありますし、この難しいシーズンの中でバスケットの価値をファンに見せられるか、真価が問われるシーズンになります。Bリーグも新時代の開幕です、皆さん準備はいいですか?」と選手たちへ語りかけた。

 

 まだまだ先に見えない状況ではあるが、バスケットボール界が決して動きを止めずに活動し続けることができれば、それを証明することができればこの先の天皇杯やウインターカップ、最終的には来年に延期された東京オリンピックの開催にもつながっていくはずだ。

 

(月刊バスケットボール)



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