月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2020.02.02

両極端な攻防を見せた茨城と福島の2Pと3Pの対決

Photo/B.LEAGUE

 

 現代バスケットの傾向としてあげられるのが3Pシュートを多用するスタイルだ。それに伴って、これまで得点パターンの主流となっていた2Pジャンパー、特に3Pラインの一歩手前から放たれる“ロングツー”は、得点効率があまり高くないことから減少傾向にある。現在は全世界で3Pかペイント内の得点が大半を占めているわけだが、2月1日に行われたB2第21節の茨城vs.福島はまさに現代バスケットの得点分布の二極化を象徴するようなゲームとなった。

 

 今季の両クラブはB2全体を通しても3Pの試投数が多く、福島が18クラブ中5位、茨城が同6位の総試投数を誇る。この試合、長距離砲でアドバンテージを取ったのは福島。#24鈴木の4本を筆頭に4選手が2本以上の3Pシュートをヒットし、合計34本中13本がネットを揺らした。逆に2Pに関しては森山HCが「こんなに入らないのは予想外」と口にするほど全くリングを捉えることができず、ファウルもなかなかもらえなかった。

 

福島は#24鈴木を中心に高確率で3Pを沈めた

 

 対する茨城は福島とは真逆。ゲームMVPに輝いた#32オチェフ、#17ジョーンズがインサイドを制圧し、大きなアドバンテージを得たことで、ペイント内での得点は54-24と圧倒。それに引き換えアウトサイドは「インサイドは63%の確率でシュートを決められたので良かったけど、逆に相手がインサイドにヘルプに寄らなかったことで外はあまりノーマークで打てた印象がなかった」(#2福澤)と、平均よりも11本少ない試投数13で成功数も僅か1。

 

 これほどまでに両極端な試合を茨城のガーベロットHCは「この試合は我々のあるべき姿ではなかったし、3Pの確率も今季最低だったと思います。その中でオチェフが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたことは素晴らしかった。しかし、相手に3Pを打たれすぎた。それをもう少し抑えられていたら全く違った展開になっていたと思う」と振り返る。

 

23得点、13リバウンド、5ブロックと攻防に活躍した#32オチェフ

 

 結果だけを見れば茨城が78-74で辛くも勝利したが、決して両クラブにとって本位な試合ではなかっただろう。福島の森山HCの言葉を借りるならば「良いところと悪いところがはっきりと出た試合」というわけだ。両クラブの収穫としては茨城がインサイドの高確率を維持できたこと、福島は試投数に対してB2でワーストだった3Pシュート成功率を38.2%の高確率で沈められたことが挙げられる。

 

 この試合を終えて茨城は東地区3位(22勝16敗)、福島は同地区5位(10勝28敗)。今季からプレーオフの出場枠がB1と同じ8クラブに拡大したことで、この両クラブにもまだまだプレーオフ出場の可能性は十分にある。同地区、隣り合わせの県に本拠地を置く両クラブだけに、今後も接戦を期待していきたい。

 

(月刊バスケットボール)

 



PICK UP