月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2021.05.30

リバウンドで千葉にリズムをもたらしたギャビン・エドワーズ「良いシュートが打てればリバウンドも良いところに落ちてくる」

 2年ぶりに横浜アリーナにBリーグが帰ってきた。チャンピオンシップを勝ち上がった宇都宮ブレックスと千葉ジェッツが激突した『日本生命 B.LEAGUE FINALS 2020-21』のゲーム1。

 

 最終スコアは85-65と千葉が大差を付けて先勝し、横浜アリーナでの初勝利を挙げた。

 

 勝敗を分けたポイントはいくつかあったが、中でも最大の要因となったのがリバウンドだ。数字でも試合を通して千葉が44-30と宇都宮を圧倒したことが分かる。

 

 オフェンスリバウンドだけに目を向けても、セバスチャン・サイズとギャビン・エドワーズの2人だけで宇都宮の総リバウンド数とほぼ同等の28本、オフェンスリバウンドでは宇都宮の10本を上回る11本を2人だけで獲得した。そこにガードとウィングプレーヤーのハッスルプレーも相まって、24ものセカンドチャンスポイントを重ねることができた。

 

味方のリバウンドを信頼するからこそ、富樫自身も思い切りの良いシュートを打つことができたのだろう

 

 富樫勇樹の「前半なかなかシュートが入らない時間帯もありましたけど、そのときにギャビンやセバスが『外してもリバウンドを取れるから思い切り打て』ということを言ってくれたので、そういうところで後半はシュートも決まってきたと思います」という言葉が象徴するように、必ずリバウンドを取ってくれるという信頼が思い切りの良いアタックを生み出し、後半のスパークにつながったのだ。

 

 中でも、第3Qでのエドワーズの活躍が千葉のリズムを作ったと言えるだろう。

 

 この試合でエドワーズが奪ったリバウンドはトータル12本(内オフェンスリバウンド5本)。前後半で各6本ずつだったが、オフェンスリバウンドだけに目を向けると後半で5本中4本、第3Qに限ると3つのリバウンド全てがオフェンスリバウンドだった。

 

宇都宮を上回るリバウンド力で千葉に勢いを与えたエドワーズ

 

 エドワーズは後半の戦いについて「宇都宮は本当にリバウンドが強いですが、それでも私たちにアドバンテージはあると思っています。前半はシュートが決まらなかったので、後半でリバウンドをしっかりと頑張って、自分でスコアのチャンスを生まれたら生かすように意識しました」と振り返る。

 

 常にレーダーを張り、宇都宮のタフなインサイド陣に対しても強気な姿勢を貫いたことが、エドワーズ個人の活躍につながり、それがひいてはチームのリズムを生み出す要因となった。

 

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 大野篤史HCも「ギャビンはハードワークをしてくれたと思うし、ギャビンだけでなく自分たちのビッグマンが体を張ってくれて、ポゼッションを稼ぐことを体現してくれました。また、数字には表れていないけどスモールの選手たちも50-50のボールだったり、ポゼッションを増やすというところを意識的にやっている中で、そういうところが結果につながったと思います」と、リバウンドやハッスルプレーを高く評価していた。

 

「リバウンドのところで宇都宮はトラップだったりボールに対する執着心が強くて、そこを狙ってくることが多いのも分かっていました。勇樹も話していたように『空いていたら良いシュートを打て』と伝えていて、良いシュートが打てればリバウンドも良いところに落ちてくると思っているので、そういう意味でしっかりリバウンドが取れたと思います」とエドワーズ。

 

ゲームハイの16リバウンドを記録したサイズ。ゲーム2でもリバウンドが大きなポイントだ

 

 まさに“リバウンドを制する者がゲームを制す”という格言そのままの試合となった。

 

 実力差はほとんどない両クラブの対戦だけに、ゲーム2で宇都宮がどう修正してくるか、千葉がどうブラッシュアップしてくるか。中でも、エドワーズをはじめとする千葉のオフェンスリバウンドに対する宇都宮の対策は見ものだ。

 

写真/©︎B.LEAGUE

取材・文/堀内涼(月刊バスケットボール)



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