月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2021.01.16

コロナだろうが何だろうが、Bリーグはアツいのだ - オールスター2021オンラインコンテストレポート

新型コロナウイルス感染拡大の影響により今年のBリーグオールスターは中止…。しかし1月16日、代わってB.LEAGUE ALL-STAR GAME 2021 ONLINE CONTESTS(以下オンラインコンテスト)が開催された。ファンは会場ではなく、思い思いの場所で、オンラインで出場選手のパフォーマンスを楽しむ趣向。自宅からPCでオンライン取材に参加した。

取材・文/柴田 健(月バス.com) 写真/©B.LEAGUE(取材用公式配信画面キャプチャー)

※文中敬称は略させていただきます

 

ダンクコンテストでオープニングを飾った小酒部泰暉(アルバルク東京)の豪快な一撃

 

 午後4時からのオンラインコンテスト配信は、本来開催会場となる予定だった茨城ロボッツのホームコート、アダストリアみとアリーナ(茨城県水戸市)から、仲田雄一とまつみたくやの司会進行で始まった。ホストチームから福澤晃平と平尾充庸も出演していた。

 水戸名物の一つである提灯、オールスター選出プレーヤー所属チームをモチーフとした浮世絵風イラストのボード、センターサークルに地元のシンボルでもある梅の花が描かれたコート。当初予定されていた演出が次々と紹介されていった。納豆好きな私は、コロナがなければ水戸に行き、これも名物の水戸納豆を食べまくるというひそかな楽しみを胸に抱いていた。1ヵ月ほど前のオンライン取材でも、何人かのプレーヤーたちに納豆がらみの質問をしたっけな…。そんなことを思い出しつつ、ダンクコンテスト、スキルズチャレンジ、3ポイントコンテストと順次進んでいくイベントを追いかけた。

 

https://twitter.com/gekkan_basket/status/1350340564051320833?s=20

 

ダンクコンテストはコー・フリッピンが優勝

 

 メインコンテンツの最初に行われたのはダンクコンテスト。すでに収録されているエントリープレーヤーたちのダンク映像が順に流され、それに対するファンからのソーシャル経由の反応により王者を決するというものだった。エントリーしていたのはコー・フリッピン(千葉ジェッツ)、セバスチャン・サイズ(千葉ジェッツ)、小酒部泰暉(アルバルク東京)、リチャード・ソロモン(富山グラウジーズ)、アイラ・ブラウン(大阪エヴェッサ)の5人。

 最初の映像は小酒部だったのだが、その一発目からして迫力満点! 軽い助走から高く飛びあがり、ワンハンドで豪快にたたき込むシンプルな一撃だったが、その最高到達点の高さと切れ味で「オワッ!」と声を上げて思わず椅子から転げそうになった。

 「やっぱりスゴイよなぁ…!」。オンラインだとかは関係ない…とまでは言わないでおこう。しかしダンクの醍醐味が画面越しに伝わってきた。小酒部が2発目で360(スリーシックスティ)と呼ばれる空中一回転ダンクをぶち込んだあと、今度はフリッピンが、これもまた目の飛び出るようなダンクを披露した。フリッピンの一撃は空中で両足の間にボールを通してからのウインドミル。当然またしても「オワァッ!」となったのは言うまでもない。その後も5人のダンカーが次々と繰り出す豪快なパフォーマンスで、グイグイとテンションが上がっていった。

 優勝したのは42%の支持率を得たフリッピンだ。2度目のトライでは大倉颯太を飛び越えて両手でゴールに突っ込むド迫力のダンクだったので、うむ、これは順当だったかなと思うが皆さんはどうだろう?

 

https://twitter.com/gekkan_basket/status/1350353439826432003?s=20

 

富樫勇樹、ぶっちぎりでスキルズチャレンジを制覇

 

 オンラインコンテストは、ここまではBリーグ公式YouTubeで無料配信されていたが、次のスキルズチャレンジからはバスケットLiveに移行して進んだ。ドリブル、パス、ショットの正確さとスピードを競うこのゲームにエントリーしたのはアイザイア・マーフィー(広島ドラゴンフライズ)、並里 成(琉球ゴールデンキングス)、篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、富樫勇樹(千葉ジェッツ)、多嶋朝飛(レバンガ北海道)の5人と、アダストリアみとアリーナにゲストとして招かれていた平尾の6人だった。

 コメントを寄せていたBリーガーたちの予想では並里が最有力だったが、ぶっちぎりの21.85秒というタイムで圧倒的な勝利を手中に収めたのは富樫だった。日本を代表するプレーメイカーの面目躍如だ。篠山は自身のチャレンジ映像の中で「優勝したら賞金(10万円)で後輩の米須玲音におごる!」と気前良く豪語していたが、残念ながらそれはかなわずに終わった(順位は書かないでおこう…)。

 

 

スキルズチャレンジで最後の関門のスリーを一発で決める富樫。ダンク王のフリッピンに続く千葉勢の勝利だった(写真をクリックすると関連するツイッター投稿に飛びます)

 

3ポイントコンテストは金丸晃輔が3年連続で王者に

 

 イベントのトリとして行われたのは、これもバスケットボールの醍醐味をわかりやすく感じることができる3ポイントコンテスト。コーナーからウイング、トップ、そして逆サイドのウイングとコーナーへと1スポットあたり4本ずつ、合計20本を試投する。エントリーしたのは納見悠仁(新潟アルビレックスBB)、西山達也(信州ブレイブウォリアーズ)、アキ・チェンバース(横浜ビー・コルセアーズ)、古川孝敏(秋田ノーザンハピネッツ)、辻 直人(川崎ブレイブサンダース)、金丸晃輔(シーホース三河)に会場のゲストだった福澤。いずれ劣らぬつわものばかりだけに、6人ともズバズバ決めていく。優勝したのは17本を沈めた金丸だったのだが、6人全員が60%以上、5人が75%以上の確率で成功させていた。

 

https://twitter.com/gekkan_basket/status/1350369493843734529?s=20

3ポイントコンテストの最後のシューターは茨城の福澤。意地の15本成功は立派だった

 

 2時間堪能したオンラインコンテストは、Bリーグオールスターの喪失感をすべて拭い去ることはできなかったとしても、画面の中のスターたちは結局スターたちだ。プロらしく楽しませてくれた。コロナだろうが何だろうが、フリッピンのアクロバティックなダンクは見ごたえ満点であり、富樫のスーパーカーのようなスピードやテクニックは驚くべき能力であり、金丸のスリーは絶品なのである。

 島田慎二チェアマンはイベントの冒頭で「本来であればオールスターゲームを水戸で開催して、ファンの皆様に楽しんでいただきたいと思っておりましたが、残念ながら中止という決断をすることになってしまいました。それでも楽しみにしていたファンの皆様に何か届けることはできないかと相談して、急遽、オンラインではありますが、コンテストを開催することに決めました」とこの日のコンテンツ配信に込めた思いを語った。プレーヤーたちはその卓越した能力とファンの期待に応えようとする思いを表現したし、それをファンに届けようというBリーグとしての熱意は、見る側に十分に伝わったのではないだろうか。

 コロナだろうが何だろうが、アツいやつはアツいのだ。ここからもう一段、しかも短期間の間に、Bリーグは成長していくように思う。

 

島田チェアマンは冒頭、オンラインコンテストへの思いを語った

 

 

(月刊バスケットボール)



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