月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2020.12.15

Bリーグの帰化・外国籍オールスター選手に聞いた「納豆とワタシ」

ソーシャルメディアを介して行われたファン参加型記者会見には国内外のファンの注目が集まった(中央は島田慎二Bリーグチェアマン)

 

B.LEAGUE ALL-STAR 2021 IN MITO

ファン参加型記者会見

 

 B.LEAGUE ALL-STAR 2021 IN MITOに出場するメンバー(SNS投票の2人を除く)が発表された12月14日夜、Bリーグはソーシャルメディアを介したファン参加型記者会見で同イベントの開催をアピールした。出席したのは、島田慎二チェアマンとファン投票でオールスターゲームのスターティング5に選ばれた以下の顔触れだ。

 

B.BLACKスターティング5: #0田臥 勇太(宇都宮ブレックス/2年ぶり4回目)、#22 ライアン・ロシター(宇都宮ブレックス/3年連続4回目=キャプテン)、#4ジェフ・ギブス(宇都宮ブレックス/3年連続3回目)、#32ジュリアン・マブンガ(富山グラウジーズ/初選出)

 

B.BLACK

 

比江島 慎(宇都宮ブレックス/2年連続4回目)は負傷欠場のためこの日の会見は不参加

 

B.WHITEスターティング5: #2 富樫 勇樹 千葉ジェッツ 5 年連続5 回目)、#7 篠山 竜青 川崎ブレイブサンダース 4 年連続4 回目)、#14金丸 晃輔(シーホース三河/3年連続4回目=キャプテン)、#22セバスチャン・サイズ(千葉ジェッツ/2年連続2回目)、#42ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース/5年連続5回目)

 

B.WHITE

 

 この会見で記者の役割を務めたのは全国のファンだった。モニターを介して選手たちとつながって直接Q&Aのやり取りをする重要な役割だ。アディダス製のオールスターロゴ入りジャージーで登場した島田チェアマンによれば、参加したファンの数は100人以上。4,261,526票という今回のファン投票数とともに、Bリーグがファンとともに成長を遂げていることを印象づける数字だ。今回のオールスターは地域のバスケ熱を盛り上げ、地域の魅力を全国に伝える取り組みを通じて「バスケで日本を元気に」というコンセプトを掲げているが、こういったファンとの活発なやりとりはその方法でもあり成果とも言える。

 

 一方この会見が始まる前から、YouTubeのチャットでは海外のファンが次々とコメントを上げてきていた。国際性も以前に比べ格段に高まっている印象だ。そのことについて島田チェアマンに質問すると「おそらくアジア特別枠の取り組みによって、フィリピンを中心に外国のフォロワーが増えた効果が出ている」と分析しながらも、「B.STYLEバスケと町の夢の共演」というスローガンに立ち返り、ことオールスターに関していえば「国際性というよりは日本の地域創生を強化していくということになると思います」と話した。異なる施策が別の方向性でポジティブを生み出している。結果としてリーグとしての成長が国際的にも国内的にも達成されてきているのは頼もしい限りだ。

 

「納豆は大好きな田臥に譲る^^;」(ロシター)

 

 島田チェアマンのそんな言葉を聞いたこともあり、地域創生につながる何かを書けないかなと考え、浮かんだのがやっぱり納豆だ。篠山も「入場時の盛り上げにどんなことをするつもりか」とファンに聞かれて「ヒントは納豆」と答えていたし…。また同時に国際性も気になってしまったので、この日の会見に出席していた帰化選手と外国籍選手たちに、それぞれの納豆感を聞くことにした。以下、それぞれの回答を紹介したい。

 

ロシター 「来日一年目に食べてみました。興味深い味でしたね。ただ、その後は食べていません。田臥選手が納豆好きなので、出てきたら毎回彼にあげています」

ギブス 「僕も最初の年に試しました。日本の選手たちからは子どものころから食べていて大好きだ、これで育ったからねと聞きました。ただ、これは小さなころから食べていないと慣れない味じゃないかなと思います。あの時以来食べていないんですよ」

マブンガ 「何度か食べたことがあります。並里成(琉球)にすすめられたりして。ただ、正直味はきつかったですね。あとあの匂いが…。体に良いとは聞いていたんですが…」

サイズ 「去年の合宿で試してみたらと勧められて食べてみました。箸でかき混ぜて持ち上げたときのあの糸を引いた感じを見た段階で、うううぁぁ…という感じで、食べてみるとやっぱりウウゥ…となりました。まあオッケーな感じではありましたが、また機会があっても他の人に譲るかなぁ」

ファジーカス 「僕も最初の年のトレーニングキャンプで試しました。面白い味だなあとは思ったんですが、もういいかなっていう感じですね」

 

 彼らのコメントが一様に「味やにおいがちょっと…」という反応なことについ苦笑いしてしまう。だが、その裏で全員が“初体験”を覚えていることに注目したい。納豆体験は彼らにとっての日本文化への入り口だったようだ。見た目も味もにおいも相当なインパクト。たぶん一生忘れないのではないだろうか。日本人から「体に良い」と勧められる点も共通。それも、ここで出てくる名前は田臥や並里というビッグネームだ。これは一番の納豆消費者であるネイティブの日本国民が、この食材に相当自信を持っている証しだろう。

 

 いったい何の話を聞いているんだ、バスケの話を聞いて来い…という声がどこからか聞こえてきそうだ。しかし、いや、これは立派に今回のオールスターのコンセプトに沿っていると言い張りたい。水戸でのオールスター開催は、ごく自然に納豆の更なる市民権獲得・強化につながるだろう。決して冗談ではなく、篠山の入場時のパフォーマンスは結構重要なのかもしれない。

 

 本番で取材する機会が廻ってきたら、そこはもちろんバスケの話を聞いてきます。ご当地の納豆は彼らに代わって私がいただきましょう。

 

取材・文=柴田 健/月バス.com

(月刊バスケットボール)



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