月刊バスケットボール8月号

Bリーグ

2020.07.20

新チェアマン、島田氏が描くBリーグの未来像

 7月1日、Bリーグ前チェアマンである大河正明氏の退任により、島田慎二氏が新チェアマンに就任した。実業家であり、経営コンサルタントであった島田氏は2012年に当時経営難に陥っていた千葉ジェッツの立て直しのために、運営会社の社長に就任した。以来、バスケットボールに関わり続けている。

 

 当時、島田氏はクラブの再起をかけ、所属していたbjリーグを離れ、新リーグであるNBLへ参入することを決定した。


「2つのリーグは相互補完したら良い団体になるはずなのに、分裂していがみ合っている状況を不思議に、残念に感じていましたから、現在のBリーグのような形になるべきだと思っていました。ですから、bjリーグからNBLへ移籍することによって、クラブの再起を懸けるといった視点と同時に、将来的に一緒のリーグになっていく気運が高められればといった希望を持っていました」と当時を振り返る。それから8年、千葉ジェッツは人気、実力を兼ね備えたBリーグを代表するクラブへと変貌した。そして、成長を遂げた千葉ジェッツを離れ、Bリーグのチェアマンに就任することになった。

 

「bjリーグのような、ファンに喜んでもらうような演出などをNBLに持ち込み、NBLでも戦える競技力を身に付けることを目指していました。実際、Bリーグができたときに、元々bjリーグのクラブに負けない集客力であり、優勝を狙える競技力を持ち合わせたのは、そうした志があったからです。そう考えると、結果として、ジェッツの経営を引き受け、NBLへの移籍を決めたところから、現在に至る道がスタートしていたわけですね」

 

 

 就任会見でも話していたが、bjリーグ、NBL、そしてBリーグといった3つのリーグでクラブ経営を行ってきた。同時に他チームのコンサルタントも行ってきており、バスケットボールのプロクラブ経営に精通している。

 

「最近では10個くらいの肩書、会社経営やコンサルタントなどを務め、年間150本くらいの講演もありました。千葉ジェッツをはじめ、それらを2か月くらいの間に清算して、そこには不義理を残してしまった部分もありましたが、現在の立場となりました。宿命めいたものを感じていますし、やるしかないと思っています」と語り「自分の全ての動きをバスケットボール界の発展にフォーカスする」と言明する。

 

 そんな島田氏が思い描くBリーグの未来はどんなものだろうか。氏は『BEYOND コロナ』と表現する。

 

「コロナを乗り越え、実際の会場での観戦体験と、テクノロジーによる新しい視聴体験のハイブリッドになったときに、バスケットボールは飛躍できるはずです。サッカーや野球に物理的な規模感では負けているかもしれませんが、それをハイブリッドで超えることができる。会場が満員になり、あふれ出したファンをバーチャルな視聴体験で楽しんでもらうことができる。そのあり様が『ビヨンド・コロナ』であり、そんな状況にBリーグを持っていきます」

 

 話をうかがったのはチェアマン就任初日の7月1日。写真撮影のためにチェアマンルームの椅子に座ってもらうよう促すと「初めて座りますよ。でも、ここに座ることは、これからもほとんどないでしょう。みんなと一緒に話したり、動き回っていたいタイプですから」と笑う。照れ隠しのようなその様からも『ビヨンド・コロナ』の実現のために座っている暇などない─、そんな決意が垣間見えた。

 

※月刊バスケットボール9月号(7月22日発売)では、島田慎二チェアマンのインタビューを掲載

http://shop.nbp.ne.jp/shopdetail/000000001587/

 

(月刊バスケットボール)



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