月刊バスケットボール6月号

Bリーグ

2019.11.20

マティアス・カルファニ(川崎)の貫かれる献身性「自分のスタッツが伸びなかったのは、チームの調子が良かったから」

 第9節を終了した時点で中地区首位、リーグトップの成績を残している川崎ブレイブサンダース。オフの積極的な補強が功を奏し、見事なスタートダッシュを見せている。好発進の大きな要因の一つが、献身的な外国籍選手のパフォーマンスだ。今回はそのうちの一人、マティアス・カルファニに焦点を当てた。

 

 ウルグアイ出身のカルファニはパワーフォワード(PF)を本職としながらも、柔らかいシュートタッチを持ち、3Pシュートも高確率に沈める幅広いプレーが売りの選手。14歳の頃から母国ウルグアイでプロデビュー。昨季まではアルゼンチンのサン・ロレンソ・デ・アルマグロでプレーし、2016-17シーズンには、現日本代表のフリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)のもと、国内リーグ制覇を経験した。現在26歳ながら、年齢以上の風格をまとっているのは、13年のキャリアがゆえか。

 

 そんなカルファニは「チーム」という言葉を繰り返す。キャリアの全盛期に差し掛かる年齢なだけに、より重要なポジションを求める選手もいるだろうが、彼は接戦の終盤でベンチから声を出すこともいとわないのだろう。

 

 第9節(vs.横浜)のゲーム1勝利後には「チームとして良いシュートが打てているか、良いパスが出せているかが重要で、今日はチーム全体の調子が良かった。その分、僕個人のスタッツが伸びなかっただけです」と、個人スタッツなど意に介さない様子。

 

 また、現在の川崎が勝負どころで用いることの多いビッグラインナップ(#22ニック・ファジーカス、#35ジョーダン・ヒース、カルファニの3人同時起用)では、スモールフォワード(SF)のポジションを任される。そのことについては「僕にとっても、チームにとっても新しい挑戦。ずっとPFをやってきたので、SFはこれまでやったことがなかったです。ボールコントロールやピックを使うプレーについても、同様に初めての経験。ただ、ディフェンス面で相手のシューターやSFにマッチアップできる自信はあります。チームがSFやセンターをやってほしいと言えばそれをやるし、求められた役割を埋めるのが僕の仕事」と、カルファニ。ここでも最終的に行きつく答えは「チーム」なのだ。

 

(川崎では時にポイントフォワードとしてもプレーする)

 

 日本での生活にも徐々に対応している様子で、「チームメイトはそれを理解してくれて、気に掛けてくれる。特にニックは長い間このチームにいるから僕にとって大きな助けになる。日本の文化や食べ物にも徐々慣れてきました。カレーライスとフルーツが好き。それにウルグアイには豚肉料理はあまりないので、気に入っている」と笑みを浮かべた。

 

 最後に川崎の良さと、今季の最終的なゴールを聞くと「このチームの最大の良さは毎日上達するためにハードワークをすること。まだまだ発展途上ですが、佐藤賢次HCが求めている最大限のものを体現し、全員が準備をして優勝を狙えるチームを作っていきたい」と力強いコメント。持ち前の献身的姿勢で川崎を支えるカルファニの活躍が、より一層楽しみになる。

 

(月刊バスケットボール)



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