月刊バスケットボール5月号

シェーファー アヴィ幸樹

[caption id="attachment_78266" align="aligncenter" width="300"]

シェーファー アヴィ 幸樹
C/206 cm
シーホース三河[/caption]

 

[東京2020 男子日本代表の横顔]

無限のポテンシャルを秘めたビッグマン

 

 長きにわたって男子日本代表を支えてきたビッグマンの竹内公輔&譲次の竹内ツインズ。彼ら2人も大ベテランと呼ばれる時期に差し掛かっている。2人の後継者となれる存在は誰なのか。

 そう考えたときに名前が思い浮かぶ選手の一人が、シェーファー アヴィ幸樹だ。206cmの長身とフィジカルの強さ、高い機動力を持ち併せ、Bリーグでは外国籍選手とも互角にわたり合える数少ない日本人ビッグマンとしての地位を確立しつつある。年齢も23歳と若く、磨くほどに輝きを増してくるはずだ。

 そんなシェーファーだが、本格的にバスケットボールを始めたのはたったの7年前。彼が高校2年生だった頃だ。それまではサッカーや日本拳法をやっていたそうだが、東京の高校へ転校したことを機にバスケットボールを始めるに至った。

 その後、クリス・ボッシュ(元トロント・ラプターズほか)ら実力派のNBA選手を数多く輩出するジョージア工科大へ進み、2019年にアルバルク東京でプロ選手となった。

 端から見れば絵に描いたようなストーリーを紡ぐシェーファーだが、経験が浅い彼にとっては毎日が生き残れるかどうかの勝負。とある代表合宿中に彼は「この中では自分が一番下手くそ」と言っていた。シェーファーの最大の武器は恵まれた体格と体の強さだけに留まらない。何度でも跳べる脚力とルーズボールにも迷わずダイブするハッスルはチームにエナジーをもたらす。自分にできることに全力をささげ、コートを走り、泥臭くリバウンドをもぎ取る。これは今の日本代表になくてはならないものだ。

 また、課題のアウトサイドからのシューティングタッチも日に日に上達。未完成だからこそ、日本代表の中で最も伸びしろがあるのはシェーファーではないだろうか。世界と戦うとなると、また彼が「この中では一番下手くそ」な存在になるかもしれない。ただ、そういった環境下で驚くべき成長を見せてきたのもまた、シェーファー自身だ。試合を重ねるたびに研ぎ澄まされていくこの男の成長は、東京オリンピックはもちろん、今後の日本代表にとっても得がたい財産となっていくはずだ。

(堀内涼/月刊バスケットボール)



PICK UP