月刊バスケットボール6月号

NBA

2021.03.09

アンフェニー・サイモンズ(ブレイザーズ)、“ゴールにキス・ダンク”でスラムダンク王者に – 「“チュー顔”でわかってもらおうと…(I’m just gonna emphasize the smooch face)」

 

 今年のスラムダンクコンテストも、NBAプレーヤーの超絶な身体能力と創造力を強烈に印象づける楽しい時間を提供してくれた。優勝したのはポートランド・トレイルブレイザーズのガードで身長191cmのアンファニー・サイモンズ。3本披露したダンクはいずれもユニークだった。
1本目はバックボードの12フィート(約360cm)の高さにミニゴールを吸着させ、ジャンプしてそこに置かれたボールを両手でつかみとってダンクするという離れ業。2本目はトレイシー・マグレディーのトロント・ラプターズ時代のジャージに着替えて、マグレディーが2000年のオールスターで50点満点を獲得したのと同じスリーシックスティーを豪快にたたき込んだ。
王座獲得の決め手となった最後の1本もユニークな発想だったが、これは「スゴい」に加えて面白さがアピールしたのではなかろうか。ダンク自体はシンプルで、左サイドでボールをリリースしてゴール付近に高くバウンドさせてから走り込み、空中の高い位置でボールを片手でつかみ取ってゴールにたたき込むというもの。しかし面白かったのはその流れの中でゴールにキスしようとしたことだ。
実際にはキスできなかったが、ほとんどできかけていたと言っていいほど、サイモンズの口はゴールのそばまで届いていた。驚くばかりのジャンプ力とボディーバランスだ。
イベント終了後の会見でもこの1本に対する質問が飛び、サイモンズはキスしようとしていたことを認め、笑顔で次のように回答していた。「練習で実際にできたことはなかったんですが、これで行ってやろうと思って。最後にはマウスピースを使おうかとも考えました。でも僕の口に合わなかったのでその考えは取りやめたんです。『ゴールに近づいて“チュー顔”を強調してキスしようとしているのをわかってもらおう』と思っていました」

 サイモンズ自身の英語による回答は以下のようなものだった。
“In practice I never like actually kissed the rim. But I was like you know, I gotta commit to it so. I tried to get and put the mouthpiece in last minute but it didn’t fit in my mouth so I tried to…, I just scratched it. And it was like, I’m just gonna emphasize the smooch face so people know that I’m right there next to the rim, trying to kiss it”.
生中継の解説陣もこの点で大騒ぎしていたので、確かにあの表情がウケていた気がする。しかもダンクは驚異的な高さから力強くたたき込まれていたので、言うことなしだった。
サイモンズは3年目の若手ガードで、今シーズンは32試合に出場して平均8.2得点、2.4リバウンド、1.3アシストというアベレージ。身体能力の高さも目を引くが、3P成功率41.1%もチームで3番目に高い数字だ。

 

文/柴田 健(月バス.com)

(月刊バスケットボール)



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