その他の海外

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2021/01/16

NCAAディビジョンIと日本をつなぐ女性コーチの生き方 - ロバート・モリス大アシスタント 森田麻文(1)

NCAAディビジョンIのロバート・モリス大(以下RMU)が、現在最終学年で主力の一人として活躍している池松ほのかを迎え入れる際、その橋渡し役を果たした日本人アシスタントコーチ、森田麻文。日本でバスケットボールを頑張りながら将来の飛躍を夢見る女性たちにとって、彼女の生き方はいくつもの前向きな要素を提示している。
取材・文/柴田 健(月バス.com) 写真/RMU WBB

 

NCAAディビジョンIの公式戦でベンチから指示を出す森田麻文Aコーチ。日本のバスケットボール界全体にとっても貴重な経験を積んでいる

 

本場アメリカ、NCAAディビジョンIでの武者修行

 

 最初に少し、彼女の経歴をまとめておこう。奈良県出身の森田Aコーチは関西大学在学時から学生コーチとしてチームを率い、渡米してさらに指導の腕を磨きたいという意欲に駆られてアイダホ州大に留学した。大学院に進むと学業の傍ら、2009-10シーズンにアリゾナウエスタン・カレッジで女子チームの指導機会に恵まれ、本場でのコーチングという最初の夢をかなえた(当時の縁もあり、今も同短大には日本人プレーヤーが在籍している)。
 その後一時帰国。母校関西大学のヘッドコーチを経て当時bjリーグに所属した滋賀レイクスターズでアシスタント兼通訳として経験を積み、2014-15シーズンからRMUに加わり現在に至っている。
 森田Aコーチ在籍期間のRMUは、就任2年目の2016年以降ノースイースタン・カンファレンスのチャンピオンシップを3度(2016、2017、2019)レギュラーシーズンタイトル4度(2017~2020)手にしている。ポストシーズンでは2018年のWNIT出場に続き、翌2019年にNCAAトーナメントに出場した実績が際立つ。1回戦で第1シードのルイビル大(当時全米ランキング5位)に敗れたが、当時2年生だった池松とともにカレッジバスケットボール最大のひのき舞台を踏んでいるのだ。


――RMUにAコーチとして加わるまでの経緯はどんなものだったのですか?
森田 日本にいた頃からもともとアメリカでコーチをやりたいなという思いがありました。修士号を取った後に1年間インターンシップで短大(アリゾナウエスタン・カレッジのこと)のアシスタントをやらせてもらったんですが、当時のヘッドコーチがコーチB(RMUのチャーリー・ブスカイアHC)のお父さんだったんです。そんな関係からその短大のプレーヤーをRMUに輩出していたこともあって、RMUがアシスタントを探していたときにたまたま私をご紹介いただくことができたという流れです。

――RMUの環境はどんなものですか?
森田 プライベートスクールのRMUはパブリックスクールに比べて規模が小さい代わりに、施設がきっちりしていたり整頓されていたり、ありがたい環境だと思います。規模的には学生数5,500人くらい。プレジデントが試合を見に来てくれたり、みんなが知り合いのような感覚があります。ウチは外国から来た選手が多いんですけど、プロフェッサーたちも遠征で出られなかった学生に授業について個人的なアドバイスを聞かせてくれたりします。学生にとっても住みやすいところだと思いますよ。はじめてアメリカに来る選手も多いので安全性も重要ですが、キャンパスに住むことができるので身の安全も心配する必要がありません。細かなところまで行き届いているのはプライベートスクールならではなのかなと思います。

――ムーンタウンシップというのが所在地の町の名前ですよね。ピッツバーグの近くだと思いますが、どんな町なのでしょうか?
森田 ピッツバーグのダウンタウンまではクルマでだいたい15~20分くらい。町と一緒になったような大学もありますが、RMUは「ここからここまでがキャンパス」というふうになっていますね。ピッツバーグは比較的クリーンな町で、私は今年7年目になりますが恐い思いをしたことが一切ないんです。地域的な文化の違いはありますけど、住みやすい方かなと思います。

――なぜアメリカに行こうと考えたのですか? 森田さんが最初にアメリカに行った頃、そういった意欲を持った人はそう多くなかったのではないかと思います。性差の議論ではないですが、特に女性では少なかったのが現実だったかと思うのですが。
森田 単純に言うとアメリカのバスケットボールが面白かったのと、大学生に教えることがしたくて。18歳から22歳くらいの子たちにとって、(学生時代は)人間の基盤ができる時期。バスケットボールではない部分もコーチの仕事にはありますよね。大学でのコーチはそういうところも含めていいなと思いました。
 学生たちにとって、バスケットボールを頑張ることは確かに重要なんですけど、ここ何年かやっていて思うのは…。バスケットボールには人間性がものすごく出るんですよね。勉強を頑張れない子はバスケットボールも一生懸命頑張れないんです。将来プロになる子もいれば、他の職業に就く子もいる中で、ここでの4年間は生きていくための力をつける時期なので、それをバスケットボールを通じて手助けをしているというのが、大学コーチという仕事の魅力ですね。(パート2に続く

 

遠征から前日深夜に帰った翌朝の取材にも森田Aコーチは笑顔でつきあってくれた

 

(月刊バスケットボール) 

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